コラム

専門家が解説!株式の相続方法やその注意点

2021年 11月18日 公開

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株式の相続手続きを行うイメージ

煩雑な相続手続き。その中でも特に株式の相続は複雑で分かりにくく、手間もかかります。本記事では、株式のうち「上場株式」について、相続の大まかな流れや、相続時におけるその評価方法、相続にあたっての注意点などを解説します。

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上場株式の相続方法

まずは、上場株式の相続方法について見ていきましょう。

相続の大まかな流れ

相続が発生したとき、上場株式は相続人へどのように引継がれるのでしょうか。まずは全体の流れから確認していきましょう。

株式相続の大まかな流れ 株式相続の大まかな流れ

1 株式の有無を確認する

まず、相続開始時(死亡時点)に被相続人が株式を保有していたかを確認します。被相続人が利用していた証券会社に問合わせて残高証明書などを発行してもらい確認するのが一般的です。もし被相続人が利用していた証券会社がわからない場合は、被相続人に届いていた取引残高報告書や年間取引報告書、目論見書などの郵送物から推察すると良いでしょう。最終的な手段としては、「証券保管振替機構(略称:ほふり)」を利用して、被相続人が保有していた証券会社の口座を調査してもらう(有料)ことも可能です。
また注意が必要なのが、「複数の証券会社を利用していた」「ネット証券など店舗を持たない証券会社を利用していた」といったケースです。この場合、相続人が口座の存在を見落としがちで、万が一の場合は、株式を相続できなくなってしまう可能性もあります。

2 遺言書の有無を確認する

被相続人が株式を保有していた場合、銀行預金や不動産と同様、誰がその株式を引継ぐのかを決める必要があります。遺言書があるかは必ず調べましょう。

遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があり、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」は自宅や貸金庫などで各自保管、「公正証書遺言」は原本が公証役場に保管され、正本は遺言者に交付されて自宅などで各自保管します。

3 相続人を確認する

次に、誰に相続権があるのかを確認します。相続権は、配偶者+子(第一順位)、親(第二順位)、兄弟姉妹(第三順位)の順で発生します。なお、子がいないと思う場合であっても、非嫡出子などがいないかを確認するために、生まれてから亡くなるまでの戸籍を全て取り寄せて確認等を行なう必要があります。

4 相続放棄するか判断する

相続は現預金や不動産、株式など換金価値のあるものだけでなく、借金や連帯債務など、負担すべきものも合わせて引継ぐかどうか判断しなければなりません。もし資産よりも負債の方が多い場合には、相続を放棄することができます。相続を放棄する場合には、相続開始日から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

5 遺産分割協議書を作成する

遺言書がない場合には、遺産分割協議によって財産を分割します。最終的には全ての財産を分割することになりますが、先に株式を売却したい場合など、必要があるときは財産の一部だけ先行して分割協議することもできます。

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要であり、合意したことを証明するために「遺産分割協議書」に相続人全員が実印を押印します。相続人のうち一人でも遺産分割協議書に押印しない人がいると、遺産分割協議は完了しません。その場合には家庭裁判所に「遺産分割調停」を申立て、調停でも合意されなければ「遺産分割審判」として裁判官が決定することになります。

6 株式の名義変更を行なう

遺言書がある場合には遺言書を、ない場合には遺産分割協議書を使って株式の名義変更を行ないます。名義変更の際に、相続人であることを証明するために相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書なども用意する必要があります。

名義変更に必要な書類例
共通
  • ・証券会社指定の相続届出書
  • ・相続人名義の証券口座振替申請書
遺言書がある場合
  • ・遺言書
  • ・検認済証明書(自筆・秘密証書遺言の場合)※
  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
遺言書がない場合
  • ・遺産分割協議書(原本)
  • ・被相続人の出生から死亡までが確認できる戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書
名義変更に必要な書類例

※自筆証書遺言で法務局保管制度を利用している場合は不要

銀行口座と異なり、証券会社の証券口座は名義そのものを相続人へと変更することはできません。そのため、相続人が証券口座を持っていない場合は、新しい口座の開設が必要です。株式の名義変更と合わせて、口座開設のための必要書類も証券会社に確認しておくとスムーズでしょう。

相続する上場株式の評価方法と相続税の軽減対策

次に、相続する上場株式の評価方法や相続税の軽減対策を確認していきます。

相続する上場株式の評価方法

上場株式に対する相続税は、相続開始時点の時価をもって評価します。具体的には、下記の4つの価格のうち最も低い金額となります。

  • ・ 相続開始日の終値(相続開始日に株式市場が休みの場合は、相続開始日に最も近い日の終値)
  • ・ 相続開始日の当月の終値平均
  • ・ 相続開始日の前月の終値平均
  • ・ 相続開始日の前々月の終値平均

上場株式に対する相続税の軽減対策

株式の相続に関しては原則、相続開始日をもってその評価額が確定するため、相続が発生してからの調整はできません。「株価が下がったタイミングで都合よく相続が発生する」ということはそうそう起きないため、相続が起こる前に対策を考える必要があります。

しばしば言われる「株式の相続税の軽減対策」としては、生前に株価が下がったタイミングで相続人へ贈与する方法があります。贈与には相続時精算課税(総額2,500万円まで贈与時に贈与税がかからない)という制度があり、ここぞというタイミングで一気に贈与してしまうということも可能です。但し、目論見が外れて相続時に更に株価が下落していると、贈与しなければ相続時の低い時価を取れたのに結果的に贈与は失敗だった、ということも起き得るため注意が必要です。

上場株式を相続する際の注意点

ここでは、株式を相続する際に注意すべきポイントについて解説します。

誰がどの銘柄を相続するか予め決めておく

株式は金融商品のため、当然ながら価格が上下します。相続発生時点の評価額に比べて、時価が上昇することもあれば、下落することもあります。よって、遺産分割の際に「〇〇の株式が欲しい」など、自分に有利になるような主張をする相続人が出てくる場合があり、遺産分割がいつまでも完了しないといったケースがあります。

上記のようなケースを防ぐため、「遺言書を作成してもらう(可能な限り、誰がどの株式を相続するか決めておいてもらう)」「自身に株式を相続したくない意志があるのであれば事前に伝え、生前に売却して換金しておいてもらう」など、被相続人と話し合った上で、事前に対策してもらうよう促すことが重要となります。

株式の運用や売却について方針を定めておく

また、相続が発生すると、原則として10カ月以内に相続税の申告、納税が必要になります。相続税を支払うために株式を売却して納税資金を捻出しようと思っても、株価が下がっていて売りにくい状況になることもあります。また、遺産分割協議の完了、必要書類の提出を経て株式を引継いでからでないと株式は売却できないため、相続した株式の売却には意外と時間がかかります。手続きに手間取っているうちに相続税の申告期限が迫り、焦って安値で株式を売ってしまうケースも起こり得ます。

そうしたことを防ぐために、相続される株式については予め、運用や売却に関する方針を定めておくことが重要です。事前に計画を立てておけば、焦った上での判断ミスも回避することが可能です。一人で方針を定めることが難しい場合には専門家に相談してみることも有効です。

円滑な上場株式の相続のためには

これまで見てきた通り、株式の相続には手間と時間がかかります。また場合によっては、思わぬ損失をこうむったり、家族間の争いの種となってしまったりする可能性もあります。こうした最悪のケースを避けるためには、やはり事前の準備と専門家によるサポートが重要です。

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株式の相続に向けた事前準備は、証券口座の把握から運用方針の策定、相続税の軽減対策まで、多岐にわたります。相続人の皆さまやご家族で全て対応できればそれがベストですが、やはり専門家のサポートを受けた方が、より負荷なく効果的に事前準備を行なうことが可能です。大和証券の財産承継プランニングでは、経験豊富なプロフェッショナルが、高度なシミュレーションツールを活用しお客さまの相続における課題を分析、お客さまが思い描く理想の財産継承を可能にするためのサポートをご提供します。こちらからオンライン相談、店頭相談のご予約も可能です。ぜひ一度、ご活用をご検討ください。

執筆:アイレップ

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