1年ってどうしてこんなにあっという間に過ぎてしまうのでしょうか?
歳を重ねる毎にそのスピードは加速するばかりです。
あるタクシーの運転手さんは言いました。
「年齢=時速なんですよ。だから歳を重ねる度に早く感じるんですよ」と。
みなさんは時速何キロで人生を走られていますか?
「気が付いたら1年終わっていた…」なんてことにならないように、
季節ごとに立ち止まり考えるヒントをお伝えします!
テクニカル分析講座 最終回の今日は、「マーケットの季節性」について解説します!
代表的なマーケットの季節性
- (1)1月効果
- (2)4月は円安(円/ドル ピーク)
- (3)セル・イン・メイ!(5月に株を売れ!)
- (4)原油価格はOPEC総会後に変化する!
- (5)日本株は11月がチャンス!
- (6)掉尾の一振(とうびのいっしん)
【番外編】業種別の季節性
マーケットに多く存在するサイクルの中には、毎年ある時期になると決まって現れる特徴を持ったものがあります。
それを「季節性」と呼びます。
たとえば台風は夏から秋にかけて多く発生しますが、その発生には理由があります。台風は、暖かい海水から蒸発される水蒸気をもとに発生します。そのため、海水温が上昇する夏から秋にかけて、台風が多く発生するのです。
マーケットの「季節性」は、台風の発生原因のようにちゃんと理由が存在するからこそ、毎年ある時期になると決まって現れるのです。似たものに「アノマリー」と呼ばれる、理由は明らかでなくても相場で度々起こることがありますが、それもよくよく考えると多くは理由が存在するものです。
それでは次の章では、代表的なマーケットの「季節性」をご紹介します!
欧米では多くは1月から企業の新年度がはじまります。
ここで注目いただきたいのが、「ヘッジファンドの年度末決算」です。
ヘッジファンドの顧客の中心が、欧米の金融機関や大企業ということもあり、多くのヘッジファンドが、1月の新年度に合わせて12月決算を採用しています。
ヘッジファンドが投資家に提出する「年度末の運用報告書」には、投資家に説明しやすい(納得してもらいやすい)主力株が構成銘柄の中心となりがちです。
その反動もあり、新年度に入ると知名度は低くても高成長が期待できる中小型株や新興市場などに投資資金が入りやすくなります。その結果、1月は新興市場のパフォーマンスが特に良くなる傾向が見られます。
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日本では4月から企業の「新年度」がはじまります。
それに伴い、企業が新たに外貨資産投資を始めることから、4月前後には円安(円/ドルピーク)が起こる傾向が見られます。
また、4月末にはゴールデンウィークを利用した日本人の海外旅行者が増えるため、旅行先の通貨へ両替する(円を売って外貨を買う)動きが増えることも、円安を後押しすると言われています。
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「セル・イン・メイ!(5月に株を売れ!)」の言葉は、投資経験者なら1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?とても有名な相場格言ですが、ではなぜ5月に株を売らないといけないのでしょうか??
それは、アメリカで毎年1月末頃から5月にかけて行なわれる「税還付」に鍵があります。
アメリカでは日本と違い、たとえ短期間・少額であったとしても、またアルバイトやパートであっても、収入がある限り、国民全員が確定申告(タックス・リターン)をしなくてはいけません。
確定申告の締切日(4月15日)までに、前年(1/1-12/31)の収入状況を国と州にそれぞれ報告し、余分に払いすぎた税金を返してもらいます。この還付される金額、予想を遥かに超えます。
そして、莫大な税還付金が消費や投資に回されることから、5月まで米国株相場は「強い」という訳です。
ですので、相場が好調な5月頃に株を売って利益を出すことが賢明だという格言になります。
ちなみにこの「税還付額」の1世帯当たり平均税還付額(2016年度)は、2,860ドルだそうです。
1世帯あたり約30万円も還付があるなんてすごいですね。
これだけ金額が大きいからこそ、経済動向にも影響を与えるのですね!
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NYダウは5月近辺を高値に、その後夏場にかけて下落するケースが多いと言えそうです。
「セル・イン・メイ!」のあとには続きがあって「秋には買い戻せ!」となっています。
この秋とはいつなのか...?!「代表的なマーケットの季節性(5)日本株は11月がチャンス!」
に注目です!!
原油価格を左右する重要な会議があります。それは、OPEC(石油輸出国機構)の総会です。通常、年2回(6月頃と12月頃)定期的に開催され、イラクを除くOPEC加盟国の原油生産方針等が決められます。
近年では、OPEC総会後から原油価格に大きな変化が見られることが多くなってきているので、TVや新聞等で「OPEC」という単語を見聞きしたら注意を払うようにしましょう。
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この要因による価格変動は2カ月程度で一巡します。
投資期間は人それぞれだと思いますが、中長期で日本株への投資を考えている方に耳よりな情報をお伝えしたいと思います。
以下のグラフは、1月から12月までのそれぞれの月に日経平均株価を買い、3カ月後(上段図)または6カ月後(下段図)に自動的に売る投資法を繰り返した場合の、勝率と平均パフォーマンスを示しています。
3カ月程度の投資を考えている方へ ⇒ 11月に買って、2月に売りましょう。
半年程度の投資を考えている方へ ⇒ 11月に買って、5月に売りましょう。
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いかがでしょうか?グラフにしてみると顕著ですよね。
これは、米国での秋~年末のタックスロスセリング(損出しのための株売り)や、年明け(欧米では新年度入り)から外国人投資家の資金が流入しやすいこと、米国株の5月高値の傾向などが影響しているためです。
外国人投資家の影響が大きい日本の株式市場の特徴をよく表した「季節性」だと言えるでしょう。
「掉尾の一振(とうびのいっしん)」とは、年末の1週間程度の株価が上昇しやすいことから名付けられた相場格言です。株式市場では大納会(例年12月30日)付近によく耳にする言葉です。
「掉尾(とうび)」とは、物事や文章の終わりに勢いをふるうこと、また最後という意味です。
「一振(いっしん)」とは、ひと振りすることです。
年 | 日経平均 年末値(円) |
年最終5営業日 の騰落幅(円) |
---|---|---|
1997 | 15258.74 | +459.34 |
1998 | 13842.17 | + 62.72 |
1999 | 18934.34 | +472.41 |
2000 | 13785.69 | +358.61 |
2001 | 10542.62 | +108.10 |
2002 | 8578.95 | +172.07 |
2003 | 10676.64 | +304.13 |
2004 | 11488.76 | +279.32 |
2005 | 16111.43 | +170.06 |
2006 | 17225.83 | +120.87 |
年 | 日経平均 年末値(円) |
年最終5営業日 の騰落幅(円) |
---|---|---|
2007 | 15307.78 | +276.18 |
2008 | 8859.56 | +135.78 |
2009 | 10546.44 | +168.41 |
2010 | 10228.92 | ▲117.56 |
2011 | 8455.35 | + 60.19 |
2012 | 10395.18 | +355.85 |
2013 | 16291.31 | +420.89 |
2014 | 17450.77 | ▲184.37 |
2015 | 19033.71 | +147.01 |
2016 | 19114.37 | ▲313.30 |
データで確認すると、「掉尾の一振」は傾向としてはっきり現れていますね。
年末の5営業日間の日経平均の騰落を見てください。2016年までの20年間では17回上昇しています。
そして、上昇した際の平均上昇幅は、約239円です!
米国版「掉尾の一振」も存在します。その名も「サンタクロースラリー」。
何と分かりやすいネーミングでしょう。素敵なプレゼントを運んできてくれそうですよね!
小売株(コンビニやスーパー等)はわたしたちにとって身近な業種ですね。
ですので、その動向(セールや大売出し等)を目で見て肌で感じることができると思います。
まず、小売株の株価の特徴ですが、2月頃から日経平均やTOPIX等のベンチマークと比較して、パフォーマンスが良好になる傾向が見られます。特に、春頃までは堅調となりやすいです。
その理由は、さまざまです。
- (1)新学期や新生活の準備のための購買
- (2)アジアからの旧正月旅行客の'爆買い’
- (3)年度末(2月または3月:小売業は2月期決算が多いため)の決算を控え業績をUPさせるため、小売り各社がセールや大売出しを行なう
いかがでしょう。思い当たる点はありませんか??
これらの理由が複合的に重なり合い、株価に反映されているのだと思われます。
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小売株についてもっと詳しく知りたい方は!
動画「セクターアナリストの視点~大手小売株~」をぜひご視聴ください!
ほとんどの方が携帯電話をお持ちだと思いますので、情報通信株もわたしたちにとって身近な業種ですね。
テレビでも、各社趣向を凝らした楽しいCMがたくさん放映されているので、それらを目にされる機会も多いかと思います。
そんな情報通信株の狙い時は、ずばり春頃です。
春頃から情報通信株のパフォーマンスが良くなる理由としては、年度末の3月には携帯電話の新規契約者が大幅に増える傾向があり(皆さまの中にも進学や就職等の機会に新たに契約された方もいらっしゃると思います)、その実績が明らかになることによって各社の業績拡大期待が高まることが挙げられます。
春頃から情報通信株のパフォーマンスが良くなる理由としては、年度末の3月には携帯電話の新規契約者が大幅に増える傾向があり(皆さまの中にも進学や就職等の機会に新たに契約された方もいらっしゃると思います)、その実績が明らかになることによって各社の業績拡大期待が高まることが挙げられます。
そして、この動きは秋頃に一巡することが多いのですが、そこでのキーワードは「新型iPhone」です。日本で人気の高いiPhoneは、例年秋に新型が発表されるため、そこまでは期待感が継続しますが、発表以降は当面の材料出尽くしで株価パフォーマンスも一巡すると考えられます。
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通信株についてもっと詳しく知りたい方は!
動画「セクターアナリストの視点~通信株~」をぜひご視聴ください!
近年では、建設株は年の半ば頃から後半にかけてパフォーマンスが良いパターンが続いています。
その中でも8月のお盆前後に一旦押し目を形成したあと、上昇を加速させる展開が多いのですが、これにもきちんと理由があります。
建設株は公共事業と密接に絡み合っています。
公共事業(国税分)は、国会で採決されます。
国会議員の方々は、お盆休みになると地元の選挙区に帰って、地元の人たちの要望を聞いたり、リップサービスをしたりします。
そして、それらのネタをまずは例年秋からの臨時国会の補正予算に、その後も冬からの通常国会の翌年度予算に盛り込もうとします。秋頃から冬にかけては経済対策も含めた財政支出期待が高まりやすいことで、建設株価にもそれが反映されたと考えられます。
公共事業(国税分)は、国会で採決されます。
国会議員の方々は、お盆休みになると地元の選挙区に帰って、地元の人たちの要望を聞いたり、リップサービスをしたりします。
そして、それらのネタをまずは例年秋からの臨時国会の補正予算に、その後も冬からの通常国会の翌年度予算に盛り込もうとします。秋頃から冬にかけては経済対策も含めた財政支出期待が高まりやすいことで、建設株価にもそれが反映されたと考えられます。
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テクニカル指標編【最終回のまとめ】
1年のサイクルで訪れる「季節性」を知っておくと、
今マーケットで起きていることを理解しやすくなります。
これまでの12回の連載でお話ししてきたことは、基本的なことばかりですが、この基本をしっかり理解できるようになれば、これまでとは違った側面から投資に取り組んでいただけると思います!
売買だけが投資ではありません。
見るのも待つのも、そして勉強するのも投資です。
この12回の連載がみなさんのよりよい投資ライフの一助となれば幸いです。
本ページは、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する最終決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
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また、本ページに記載された意見や予測等は、ページ作成時点の当社の判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。
お取引にあたっての手数料等およびリスクについて
手数料等の諸費用について
- 株式等の売買等にあたっては、「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大1.26500%(但し、最低2,750円)の委託手数料(税込)が必要となります。また、外国株式等の外国取引にあたっては約定代金に対して最大0.99000%の国内取次手数料(税込)に加え、現地情勢等に応じて決定される現地手数料および税金等が必要となります。
ご投資にあたってのリスク等
- 株式等の売買等にあたっては、価格等の変動(裏付け資産の価格や収益力の変動を含みます)による損失が生じるおそれがあります。また、外国株式等の売買等にあたっては価格変動のほかに為替相場の変動等による損失が生じるおそれがあります。
- 信用取引を行うにあたっては、売買代金の30%以上で、かつ30万円以上の委託保証金が事前に必要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、損失の額が差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
ご投資にあたっての留意点
- 取引コースや商品毎に手数料等およびリスクは異なりますので、上場有価証券等書面、契約締結前交付書面、目論見書、等をよくお読みください。
- 外国株式の銘柄には、我が国の金融商品取引法に基づく企業内容の開示が行われていないものもあります。