[更新日:2010年2月16日] 第2回 セネガル農村のマイクロファイナンスの事例マイクロファイナンス機関(以下MFI)は、それまでは銀行など正規の金融機関に相手にしてもらえなかった人 々にも、貸付や貯蓄さらには送金などのサービスを提供してきました。それにより多くの人々がよりよい生活を送ることができるようになりました。マイクロ ファイナンスは一体どのように使われているのでしょうか?ここではセネガルの1事例を紹介します。 対象地域の金融事情
MFIの事例![]() あるMFIは農家が自ら資金を出し合って、小規模な所得創出活動を始めたことをきっかけとして設立されました。このMFIはメンバーの貯蓄を集める と同時に、メンバーに対して、1農業・畜産、2農産加工、3販売(ブランド化した米の販売など)を目的とした貸付を行っています。また、金融事業だけでな く農産物の生産や販売に関する支援もメンバーに対して行っています。 最初生産や販売のための支援業務と金融業務を同じ組織内で行っていました。しかし必ずしも金融知識を有していないメンバーが金融業務も行う過程で、 親戚に頼まれるなど金融業務従事者の縁故者への貸付が増えたり、その返済の督促が難しくなったりといった問題が生じたそうです。そのため、金融専門家と専 従スタッフ(マネージャー、キャッシャー、ガードマン)を外部より雇い、金融業務だけを行う貯蓄貸付事業組織を新たに立ち上げ、これが現在のMFIとなり ました。現在は40村落で約5,000人(金融業務のみは約1,100人)にサービスを提供しています。 ![]() このMFIは顧客の需要に応じて、様々な貸付を行っています。貸付条件も下記の表のように資金使途によって異なります。下記の他に、魚の購入・転売や、米の購入・精米といった小売業に従事する主に女性向けの貸付も行われています。
MFIの貸付の元手は、一般的にメンバーの貯蓄です。多くの場合、生活に必要な資金を頻繁に引き出すことの多いメンバーは1年超の貯蓄 を行えず、MFIにとって1年を超える中長期の資金を確保することは困難です。そのため、一般的にはMFIがメンバーの需要に応えて中長期の貸付を行うこ とは難しく、期間1年未満の短期貸付が中心となります。このMFIの場合も初めは自己資金を元手に貸付を行っておりました。しかし、貯蓄だけではメンバー の需要に見合う貸付を行うことが難しいことを認識し、外部からの資金調達について慎重に検討し始めました。現在、外国の支援基金から中長期資金を有償で借 り、メンバーに対する中長期貸付を行う元手としています。このように外国の支援を受けて農業機械購入や家畜飼育といった中長期資金の貸付も行い、人々の需 要に応えるMFIも出てきていますが、そのようなMFIはまだ非常に限られているのが現状です。 MFIのサービスを利用できない場合MFIは増えているとはいえ、その数にも限りがあり、セネガルでもMFIのサービスを使える人々は残念ながらまだ限られています。このコラム第1回 の「途上国における高利貸業の実態」でも触れたように、セネガルにも様々な高利貸が存在しています。MFIのサービスを使えない人たちからは、以下のよう な資金繰りを行っているとの話が聞かれました。 ・トレーダーから種子、肥料、農薬の購入資金を借りて購入し、収穫後に「籾」でトレーダーに返済する。借入時点で返済時の米の買付価格をトレーダー
により決められる。この方式では、あらかじめ決められたトレーダーによる買付価格が収穫時期の米の市場価格よりも低い場合、生産者(借手)には不利となり
ます。例えば80kgの籾の事前に決められた買付価格が7,000FCFAであった年の収穫時期の米の市場価格が10,500FCFA~
15,000FCFAだった事例もあるそうです。 次回は途上国の人々の貯蓄について紹介する予定です。
(鳥海直子) 本資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、当社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき作成したものです。本資料に記載された意見、予測等は、資料作成時点における当社の判断に基づくものであり、正確性、完全性を保証するものではなく、今後、予告なしに変更されることがあります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようにお願い申し上げます。
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