前回コラムの最後、念のため、という但し書きで、iDeCo一時金を「60歳で受取らず、より長く、より多く積み立てて、iDeCo資産自体を増やすという選択肢があること」をお伝えしました。これは、退職金とiDeCoの関係で言えば、まず退職金を受取り、その後、異なる年にiDeCo一時金を受取るパターンになりますが、この場合、iDeCo一時金の退職所得控除を調整するルールは以下のようになります。
つまり、退職金を先、iDeCo一時金が後の受取パターンは、退職所得控除の調整対象期間が長いので、iDeCo一時金を受取るときは、退職所得控除の調整が必要になると考えたほうがいいでしょう。なお、その調整方法ですが、「前年以前19年内」に受取った退職金で、退職所得控除を使い切っているか、使い残しているかで違ってきます。
ですから、今回はまず、退職金を先、iDeCo一時金を後の受取パターンで、退職金を受取ったときに退職所得控除を使い切っているケースを一緒に確認したいと思います。具体例として、令和6年度に60歳となる公務員が62歳で2027年3月に定年退職し、その後も働いてiDeCo積立も続け、65歳になる2029年にiDeCo一時金を受取るケースを考えてみましょう。以下が前提条件になります。
順を追って説明すると、退職金を受取る2027年、退職所得控除は2200万円(=40万円×20年+70万円×20年)、退職金も2200万円ですから、税金はかかりませんが、退職所得控除を使い切ることになります。
次にiDeCo一時金の2029年、「前年以前19年内」に受取った退職金で退職所得控除を使い切っていますから、iDeCoの退職所得控除の計算では、上記重複期間の退職所得控除を差し引くことになります。そして、iDeCo積立期間に対応する退職所得控除額は520万円(=40万円×13年[1年未満切上])、重複期間分の控除額は400万円 (=40万円×10年[1年未満切捨])となり、調整後の退職所得控除は120万円(=520万円ー400万円)、課税対象額は115万円(=[350万円ー120万円]×1/2)と計算されます。重複期間分の控除額計算では1年未満の端数は切捨、つまり、納税者有利になっているのがポイントですね。ご参考まで。
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2025/1/17作成
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