ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.337(2024年12月20日)在職老齢年金、意外な事実とまだある誤解!?

在職老齢年金について、令和2(2020)年改正では、60歳台前半(“低在老”と呼ばれます)の支給停止基準額が、65歳以上(“高在老”)に揃えられ、60歳台前半の支給停止が緩和されることになりました。

また、厚生年金の支給開始年齢の段階的引上げが完了する2025年度(女性は2030年度)以降は、“低在老”の対象者はいなくなりますので、今回は話しをシンプルに、“高在老”の仕組みについて、その変遷を一緒に確認したいと思います。

厚生年金全面改正時

  • 制度全面改正(昭和29年)当初は、在職中は年金を支給しない制度でした。

昭和40(1965年)改正

  • 65歳以上の在職者に支給される年金として在職老齢年金が導入されました。
  • 支給割合は、本来の年金額の一律8割でしたが、条文上は、本来の年金額の2割を支給停止する、という書きぶりだったようです。
    →「8割支給する」と言うのか、「2割カットする」と言うのか、どちらも同じ意味ではあるものの、受ける印象は違いますよね。条文上も前者のような書きぶりであれば、在職老齢年金の印象も違ったものになっていたのではないでしょうか。

昭和60(1985年)改正

  • 厚生年金の適用年齢が65歳未満と設定され、65歳以上は年金が全額支給されることになりました。
    →つまり、 “高在老”は廃止されたのです。意外な事実とも言えますが、当時は長く働き続けるのが当り前ではなかったので、制度廃止の恩恵を享受できた方は多くなかったのかもしれません。

平成12(2000年)改正

  • 厚生年金の適用年齢が70歳未満へ引き上げられ、60歳台後半の在職老齢年金が再度設けられました。
    →“高在老”の復活、ということですが、当時はまだ、「60歳台後半」まででした。実は……。

平成16(2004年)改正

  • 就労している70歳以上の受給者にも、60歳台後半と同様の在職老齢年金が導入されました。
    →70歳になって厚生年金の保険料を払わなくなったので、年金は全額受給できると思いきや、実は厚生年金の適用事業所で働いていると、“高在老”は続くのです。これが在職老齢年金でまだある誤解。正直、いくらなんでも、こんな年齢まで追っかけなくてもいいのに、と思いますけどね(苦笑)。

大和証券
2024/11/22作成

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