前回までのコラムで、今、「貯蓄から投資へ」と日本が動き出しているのは、国がスローガンを掲げ、NISA制度が整い、日本企業が変わったからだとお伝えしました。でも、それだけじゃない。私はやはり、個人の消費者としての我々自身が変わってきているからだと思うのです。つまり、我々が長く過ごしてきた平成の時代と、これからの令和の時代は、個人の消費者を取り巻く環境が大きく異なる、ということです。
今、まさにその転換点を迎えているわけですが、まず1つ目、長く続いたデフレの時代は終わり、2021年以降、日本でもインフレが拡大しています。下図の左側、消費者物価指数を見ても分かりますし、皆さまご自身の身近なものの値上げでも、肌感覚としてご理解いただけるのではないでしょうか。例えば、5年前であれば264円で買えた1kgの小麦粉が、今は333円に値上りしています。つまり、5年前の264円という現金の価値が下がった、ということ。ですので、インフレの時代には、現金の購買力を維持、向上させるためにも資産運用や資産形成が必要になっている、ということです。
拡大するインフレ、日米金利差拡大と円安
2つ目が円安です。もちろん、日本もインフレの時代に突入しましたので、これまでの超低金利時代が続くわけではありません。実際、7月末には日本銀行が利上げを決めましたし、その際、日本とアメリカの金利差が縮小し、一方的な円安基調に歯止めがかかりました。でも、平成の時代、一時期は1ドル80円を切る水準でしたし、1ドル100円前後が長く続いた頃と比べると、今でも大幅な円安です。
円安とはどういうことか?先ほどはインフレで現金の価値が目減りする、と申し上げました。同じように考えると、円安になると円の価値が下がるということですので、円安の時代には、円の購買力を維持、向上させるためにも、特に外貨資産も含めた資産運用や資産形成が必要になっているのです。
つまり、個人の消費者としてのリアルな実感を伴った、「デフレからインフレへ」という大きな環境の変化が、「貯蓄から投資へ」の流れを大きく後押ししている、そんなふうに思います。
次回はこれまでの4つのコラムのまとめ、なぜ、今、「貯蓄から投資へ」なのか、整理してみたいと思います。
大和証券
2024/10/25作成
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