つみたてNISAの口座数が増えています。でも、口座を作っても利用していない人もいるようですね。先日、日本FP協会の会報、『FPジャーナル』※1でこんなコメントを見つけました。
金融庁が2021年6月15日に公表した「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査[2020年12月末時点(確報値)]」によると、2020年12月末までに開設された「つみたてNISA」口座は約302万口座あるものの、2020年に一度も買付がなかった口座は約98.28万口座と、全体の約32%にのぼる。(赤字・下線は筆者)
「口座は増えたけど、その中身はどうなの?」なんて批判も聞こえてきそうですね。でも、この数字は少し深堀りして見るべきかもしれません。まずは、「約32%」という買付0円口座の割合を他の制度と比べてみました。以下、ご確認ください。
(2020年12月時点)
買付0円口座の比較※2
つみたてNISAの買付0円口座の割合は、iDeCo以上でNISA以下ですね。そして、iDeCoの買付0円口座(=運用指図者数)は、つみたてNISAとは定義が異なるので単純には比較できません。ですから、「約32%」という水準自体は必ずしも高いとは言えない、そんな感じだと思います。
つぎに、つみたてNISAの買付0円口座の割合について、制度開始以来の推移を以下の表で確認してみましょう。
(各年末時点)
つみたてNISA買付0円口座の割合※4
2020年、つみたてNISAの買付0円口座の割合は大幅に低下しました。特に、つみたてNISAの口座が最も増えている、30代、40代、そして20代では10%以上も減っているのです。コロナ禍でも若者は実にしたたかで頼もしい、そんな風に思います。
以上のように、つみたてNISAの「買付0円問題」の真相を探ってみると、口座の多寡を問題視する以上に、つみたてNISAの利用が若者を中心に名実ともに進んでいる様子が浮かび上がってきました。とは言え、せっかくの税制優遇の口座なのに、利用しないのはもったいないですね。なぜ、利用しない人がいるのか、次回はその理由を探ってみましょう。
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2021/9/24作成
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