ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.69(2019年10月4日)イチロー日米通算4000本安打会見から考える「投資教育」のあり方

前回ご紹介した『イチロー引退会見全文』という書籍には、引退会見のほか、これまでイチロー選手が打ち立ててきた数々の記録の、それぞれの節目で行われた会見の様子も収録されています。今回は日米通算4000本安打を達成した2013年8月のトロントでの会見から、現在「投資教育」を生業とする私が、とても示唆深いと感じたイチロー選手のコメントをご紹介します。

どうすれば、年齢に対する見方を変えられるか?

具体例が出てこないと変わりません。何十年もかかること。いくら論理的に説明しても具体例がないと、説得力がない。そういう選手がたくさん生まれないと変わりません。

この「年齢」という言葉を、「投資」という言葉に置き換えれば、イチロー選手の言っていることは、本当に示唆深く感じます。「長期・積立・分散投資」という投資の3大原則が、現役世代が取り組むべき資産形成方法として論理的に正しいことは間違いないのですが、そこに説得力がない、つまり、現役世代の皆さまが投資の第一歩を踏み出す、という行動に繋がらないのは、「具体例が出てこないと…」ということなのでしょう。そして、その具体例というのは、「投資の成功体験」ということだと思いますし、そうした成功体験が広がるには「何十年もかかること」といった覚悟が、我々にも必要なのかも知れません。また、成功体験に関しては、イチロー選手はこんな風にも語っています。

自分に満足しないから、長い間プレーができるのですか?

いえいえ、僕はいっぱい満足します。今日も満足。それを重ねないとダメだと思うんです。『満足したら終わり』って、とても弱い人の発想。僕は満足を重ねないと次は生まれないと思います。小さいことでも満足するし、達成感を感じることで次が生まれるんです。

これは「長く投資を続けるための秘訣」にも通じる考え方だと思います。小さくてもいいので「投資の成功体験」を積み重ね、その輪が広がっていくといいですね。

最後にイチロー選手のファンへの想いをご紹介しましょう。

何でもいいですよ。僕を見てスカッと気晴らししても、大嫌いでもいい。
大嫌いでも、この会見を見てくれたり、僕のために時間やエネルギーを使ってくれることがうれしいのです。無関心が一番しんどいですね、無関心を振り向かすのは無理ですよ。

無関心な人を振り向かすのは、さすがのイチロー選手でも無理だと断言しています。でも私はあきらめが悪いので、だからこそ、半ば強引に、イチロー選手と「投資教育」を結びつけて、こんなコラムを書いているのですが…(笑)。

  • ※国際情報研究所・編集『イチロー引退会見全文』ゴマブックス(但し、一部コメントについて、大和証券が下線・赤字で強調)

大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/7/26作成

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