ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.68(2019年9月27日)イチロー選手の引退会見から考える「老後2,000万円問題」

ふと気づけば、今年も半分が過ぎていますね。月日の経つのは早いものです。この半年を振り返ってみて、私にとって一番印象に残っている出来事はイチロー選手の引退です。今回はイチロー選手の引退会見から、いくつかのコメントを「老後2,000万円問題」と関連付けてご紹介します。

引退の決断に後悔はあるか?

もちろん、もっとできたことはあると思いますけど、結果を残すために自分なりに重ねてきたこと、他人よりも頑張ったということはとても言えないですけど、…自分なりに頑張ってきたということははっきりと言えるので、これを重ねてきて…重ねることでしか後悔を生まないということはできないのではないかなと思います。

通算4,367本もの安打を放ち、数々の金字塔を打ち立ててきたイチロー選手も、本人がやってきたことと言えば、自分なりの頑張りを重ねることでしかなかった、と振り返っています。我々現役世代が老後に後悔しないためにできることも、同じではないでしょうか。つまり、早い時期から将来に向けて、少額からでもいいので、長期・積立・分散投資による資産形成を積み重ねていく、ということです。

一方、そのような積み重ねを進めていくにしても、今の自分と将来のあるべき姿にギャップがありすぎると、やる気も萎えてしまいます。これがまさに、2,000万円という数字だけがクローズアップされ、金融庁の意図していたことが理解されなかった、という「老後2,000万円問題」の本質ですが、イチロー選手の引退会見でも興味深いコメントがありました。

イチロー選手の生き様で、ファンに伝わっていたら嬉しいことは?

少しずつの積み重ねが、それでしか自分を超えていけないっていうふうに思うんですよね。一気になんか高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと僕は考えているので、地道に進むしかない。進むというか、進むだけではないですね。後退もしながら、ある時は後退しかない時期もあると思うので。でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく。

特に、「…進むだけはないですね。後退もしながら…自分がやると決めたことを信じてやっていく」という部分は、長期・積立・分散投資で最も大切なこと、つまり、「価格が下落してもひるまず、コツコツと積み立てを続けること」に通じますね。

引退会見の最後の言葉

アメリカでは僕は外国人ですから。…外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは…本を読んだり、情報を取ることはできたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。…その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと、今は思います。

体験でしか得られないことがある、というのは「投資」でも同じですね。そして、その「投資の体験」は人生100年時代の未来の我々にとって大きな支えになるんだろうと、私は思います。

  • ※出所)国際情報研究所・編集『イチロー引退会見全文』ゴマブックス(但し、一部コメントについて、大和証券が下線・赤字で強調)

大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/7/19作成

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