ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.46(2019年4月19日)「ノーリスクとは?」を理解していれば投資詐欺には遭わない、という話

ライフプランセミナーの講師を務めていて一番難しいと感じるのは、いわゆる「(投資の)リスクとリターン」のことを参加者に理解頂くことですね。そして、この「リスクとリターン」は、とても基本的かつ重要な金融リテラシー(=お金の知識と判断力)と位置付けられています。というのも、金融経済教育推進会議が公表している「金融リテラシー・マップ※1」では、中学生以上が身に付けるべき金融リテラシーの一つとして、「リスクとリターンの関係について理解すること」が掲げられているからです。
それでは、「リスクとリターン」とはどういうことなのか、日本証券業協会のHP※2を参考に確認してみましょう。

金融商品の「リスク」とは「リターンの振れ幅がある」のこと。

  • (1)
    リターンとは、資産運用を行うことで得られる成果のことであり、収益が得られることもあれば、損失が出ることもあります。
  • (2)
    一方、一般的にリスクとは「危険なこと」「避けるべきこと」という意味で使われていますが、資産運用の世界では、リスクとは、リターンの不確実性の度合い(振れ幅)のことを表しています。

「リスク」と「リターン」には密接な関係があります。

  • (3)
    リスクを低く抑えようとするとリターンは低下し、高いリターンを得ようとするとリスクも高まります。
  • (4)
    従って、「リスクがなく(低く)、リターンが高い金融商品」は存在しません。

この説明の中で、特に注目すべきは(2)の件(くだり)ですね。要は、普段の生活の「リスク」と投資の世界の「リスク」は異なっている、ということです。だから、一般的な感覚として、なかなか投資の「リスク」のことが腹落ちしないのだと思います。そして、最近のセミナーでは、「リスク」を直接的に説明するのではなく、逆に「ノーリスクとは?」を考えてもらうと、参加者の反応が変わってきたと感じています。以下、どんな話なのかご紹介します。

まず、普段の生活で「リスク」と言えば、「危険なこと」「損すること」等ですので、逆に「ノーリスク」とは「安全」ということになります。一方、投資の「リスク」とは「リターンの上下の振れ幅」のことですが、こちらも逆に考えると、「ノーリスク」とは「リターンの上下の振れ幅がない」、すなわち、「儲かる可能性がない」ということです。つまり、「ノーリスク」とは普段の生活では「安全」ですが、投資の世界では「ノーリターン」ということなのです。

続いて、「ノーリスク」を普段の生活と投資とで混同しないでください、と申し上げています。例えば、「損したくないから投資しない」という考え方、それ自体はアリですが、実はこの考え方を「逆も真なり」として利用しているのが投資詐欺です、とお伝えしています。どういうことかと言うと、「損したくないから投資しない」は、その逆「損しないなら投資する」という考え方に繋がりやすく、投資のことなのに「損しない→(普段の生活の)ノーリスク→安全」と勘違いして、騙されてしまう人が後を絶たない、という訳です。一方、「投資のノーリスクは儲かる可能性がないこと」「リターンを得るにはリスクを取らなければならないこと」さえ理解していれば、投資詐欺に遭いそうになっても「何か変だぞ!」と気付くことができます、と説明しています。(「なるほど!だから金融リテラシーって大切だね!」と思って頂ければ幸いです。)

  • ※1 生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシーを、年齢層別に、体系的かつ具体的に記したもの
  • ※2 日本証券業協会HP 「投資の時間」より引用(数字は大和証券が付番)

大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/2/8作成

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