ふるさと納税の返礼品を巡り、総務省は「ふるさと納税の意義に沿わない」として注意喚起を継続しつつ、規制強化を進めています。2019年の6月からは、「返礼品は地場産品で返戻割合は3割以下」等の基準を満たさない自治体への寄附は税制優遇の対象外になる予定です。そこで改めて、「ふるさと納税の意義」を総務省HPで確認してみました。
(前略)税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか。
そのような想いのもと、「ふるさと納税」は導入されました。ふるさと納税には三つの大きな意義があります。
出所:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」
これはあくまでも個人的な意見ですが、1つ目の意義については、納税者が寄附先を選択するきっかけになる、という意味で、返礼品競争も一役買っていると感じます。もちろん、返礼品に偏重した使われ方では、気高い納税意識が育まれるとは思えませんので、その意義の充足度は半分、ということでしょう。
第二の意義、つまり、恩返しや応援したいという想いを寄附に乗せて届ける、という考え方はとても大切ですね。典型的な例としては、ふるさと納税を通じた被災地支援が挙げられますが、最近は、街興しや教育・子育て、伝統芸能の継承等の特定のプロジェクトに対して、ふるさと納税を利用して寄附することができる機会も増えてきました。これは返礼品競争の中では芽生えてこない考え方だと思います。むしろ、こうした意義がふるさと納税にはある、ということが、返礼品競争の陰に隠れてしまうことが問題なのかも知れません。
最後の第三の意義は、ふるさと納税が自治体の新たな資金調達手段になっている、と言い換えることもできます。「ふるさと納税とは、自治体版のクラウドファンディング※だ!」とおっしゃる方もいますが、言い得て妙ですね。今後は、第二の意義と第三の意義が相俟って、ふるさと納税の理念(=ふるさと納税で地方創生)が広く実現することを期待したいですね。
でもやっぱり思うのは、納税者のお得感を刺激する返礼品競争は、ふるさと納税の普及にとって欠かせないものだった、ということです。意義や理念といった、ある意味、「意識の高さ」だけではここまで広まらなかったでしょうし、これからもそうだと思います。
大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/2/1作成