資産運用のシミュレーションで重要なポイントとは 専門家が解説
人生100年時代の到来を受け、資産運用の目的も多様化しています。昔は投資といえば株式投資であり、単にリターンの最大化を目指す人が大半でした。しかし今では、老後資金の獲得に向けた国際分散投資や、長期資産形成に向けた積立投資など、さまざまな形で金融市場に向き合う人が増えています。このような環境下、個人投資家の中でも資産運用を行なうに際して、シミュレーションをすることが徐々に浸透してきています。シミュレーションを行なうことで、将来必要なリターンやその確保に向けた最善の運用手法、更には許容できるリスクの水準に至るまで、自身の投資目的に沿った運用イメージを詳細に検討することが可能となります。本記事ではそうした資産運用のシミュレーションにおいて重要となるポイントを解説します。
目次
資産運用とシミュレーション
将来必要な資産を算定し、どの程度の資産を、どの程度のリスク・リターンで運用すれば良いのか……。資産運用を行なうには、これらを予めシミュレーションすることが重要です。
シミュレーションせずに資産運用すると
では逆に、シミュレーションをしないと、どういったことが起こりうるのでしょうか?シミュレーションをしない、ということは、将来どの程度の資産が必要なのか、目標達成のためにはどの程度のリターンが必要なのか、どの程度のリスクなら受入れることができるのかといったことを、自身がよく分からないまま運用を行なうということになります。
結果、過剰なリスクを取って大きな損失を被ってしまうケースもあるでしょうし、また逆に必要なリスクを取れずに目標を達成出来ないケースもあることでしょう。
シミュレーションする人が増えています
昔は、事前に運用シミュレーションする人はほとんどいませんでした。余裕資金での株式投資を行なう人がほとんどであり、運用目的も「短期投資によるリターンの最大化」が大半だったからです。しかし足元では運用目的の多様化を受けて、目的に応じた必要リターンや運用手法、許容可能なリスク範囲の検討のため、資産運用のシミュレーションを行なう方が増えています。
まだ資産運用のシミュレーションを行なったことが無い方は、ぜひこの機会にご検討下さい。
資産運用のシミュレーションにおけるポイント
では実際に資産運用のシミュレーションを行なう上でのポイントを見ていきましょう。
資産運用の目的を明確化する
資産運用のシミュレーションを始めるにあたって重要なことは、運用目的の明確化です。すなわち、「何のために、いくら、いつまでに確保したいのか」ということを、具体的な数値として表すことです。
例えば、「将来の老後資金のために運用したい」とか「少しお小遣いを増やしたい」といった漠然としたイメージに過ぎない運用目的を、「老後資金獲得のために20年で1,000万円を確保したい」「一定の余剰資金を原資に、毎年30万円ずつ増やしたい」といった形で、運用期間と目標金額に落とし込むことが「明確化」です。
資産運用に使える資金を検討する
次に、運用に使う金額を検討します。日常生活もあるため、当然すべての資金を運用に使うことは出来ません。目的に応じて許容できる金額を検討しましょう。一括で資金を投下し運用を始めるのか、それとも定期的に積立てて運用を行なうのか、という点も念頭に置いて検討しましょう。
許容できるリスクを検討する
次に、許容できるリスクについて検討しましょう。許容できるリスクは、ご自身の投資経験や性格などによっても変わってきますが、原則的には運用目的と投下資金の性質に応じて検討することが重要です。老後資金確保のための投資ではリスクを取り過ぎて元本を毀損してしまっては元も子もありませんし、逆に余剰資金を使った投資では、リターン確保に向けて適切なリスクを取ることが重要です。
投資対象とその期待リターンを検討する
次に、実際に運用する投資対象とその期待リターンを検討します。
投資対象は一般的に資産や地域で大きく区分され、「国内株式」「国内債券」「外国株式」などに分けられます。期待リターンとは、その投資対象に投資した資金が一年間でおよそどの程度のリターンを生むかの期待値です。一般的に期待リターンは投資対象ごとに異なるとされており、過去の実績値やその投資対象の性質に応じて推計されます。なお、期待リターンが高い投資対象ほど、リスクも相対的に高くなる傾向があります。
ご自分で推計されるのが困難な場合は、証券会社などの専門家に相談しましょう。
資産運用のシミュレーション例
ここからは、簡易的な資産運用シミュレーションの方法を、具体的な数値例を使いながら解説します。
20年で3,000万円を確保するには、どのくらいのリターンが必要なの?
45歳の方が、65歳までに老後資金3,000万円確保するために運用するケースをシミュレーションしてみましょう。
前提条件は以下の通りです。
前提条件
- 運用期間
- 20年
- 初期投資金額
- 500万円
- 積立投資
- 年間30万円(毎月2.5万円)
- 投資対象
- 国内株式・国内債券・外国株式・外国債券へ均等分散投資
ご自分でもできる簡易的なシミュレーションのやり方
まず、投資による期待リターンを算出します。
投資による期待リターンは、各資産の期待リターンを、それぞれの配分比率で加重平均することで算出できます。ここでは、仮に年5.2%とします。
次に、将来の金融資産の推移を計算します。ここでは、毎年、期待リターン通りの結果が生じると仮定します。また積立投資は、年間の積立分を年末に一括で投資したものとします。シミュレーション結果は以下の通りとなります。
計算式:毎期初の金融資産額×投資による期待リターン+年間積立分=翌期初の金融資産額
※上図は一定の前提条件に基づくシミュレーションの結果であり、実際の運用成果ではありません。また将来の運用成果を保証するものではありません。運用にかかるコストは考慮していません。
目標3,000万円に対し、20年後で2,401万円しか獲得することができていません。つまり、現在の資産金額や運用方法では、目標を達成することができないことが分かります。目標を達成するには、以下の改善策を検討する必要があります。
- ・ 初期投資額や積立額の引上げ
- ・ より期待リターンの高い運用手法の検討(半面、リスクも高くなるため注意が必要です)
より複雑なシミュレーションのご紹介
ここまでは、エクセルなどの表計算ソフトがあれば、ご自分でも実行可能な簡易的なものをご紹介しました。では次に、リスクも加味したより複雑なシミュレーションをご紹介します。
前述の「簡易的なシミュレーション」と同じ条件でシミュレーションした場合の将来の金融資産の推移は、以下の通りです。なお投資の想定リスクは、当社が過去のマーケットの推移等から推計した値を用いています。
前提条件
- 運用期間
- 20年
- 初期投資金額
- 500万円
- 積立投資
- 年間30万円(毎月2.5万円)
- 投資対象
- 国内株式・国内債券・外国株式・外国債券へ均等分散投資
- 投資による期待リターン
- 年5.2%
- 投資の想定リスク
- 年9.6%
※上図は一定の前提条件に基づくシミュレーションの結果であり、実際の運用成果ではありません。また将来の運用成果を保証するものではありません。大和証券が推計した各アセットクラスの期待リターン・想定リスク、相関係数を用いて計算しています。運用にかかるコストは考慮していません。
簡易的なシミュレーションでは、毎年、期待リターン通りの結果が生じるとの前提のもと分析を行ないました。しかし、実際には期待リターン通りのリターンが毎年決まって得られるということはあり得ません。複雑なシミュレーションでは、どの程度の確率でうまくいくか、うまくいかなかった場合、どのくらいの損失が発生するか、といった確率の観点まで、分析を広げることが可能です。
シミュレーションは専門家にお任せ
今回ご紹介したような複雑なシミュレーションは、金融知識や市場データがないと、ご自分で行なうのは困難です。複雑なシミュレーションをされたい方は、まずは金融機関や専門家にご相談されるのがおススメです。
大和証券の資産運用プランニング
大和証券では、多様化・高度化するお客さまの資産運用ニーズにお応えするため、グローバルで高い実績を誇る資産管理ツールを活用し、中長期的な観点からお客さまの資産全体に対するコンサルティングを行なうサービスとして「資産運用プランニング」をご提供しています。
「資産運用プランニング」では、お客さまの運用目標やニーズを踏まえた綿密な将来シミュレーションを行なうことが可能です。またお客さまの運用目標にあわせた最適なアセットアロケーションの策定や、運用後のモニタリングについてもサポートいたします。
シミュレーションを活用して運用目標を達成!
本記事では、資産運用のシミュレーションにおけるさまざまなポイントについて解説してきました。ご自分の運用目標を達成するためには、「運用期間・目標金額」を具体的に数値化し、事前にシミュレーションを行なうことが重要です。本記事を参考にぜひ、資産運用シミュレーションにチャレンジしてみてください。なお大和証券の「資産運用プランニング」は、皆様の資産運用シミュレーションを手厚くサポートいたします。ぜひ一度当社にご相談ください。
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