ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.325(2024年9月27日)今、60歳の人の立場で見る、公的年金の財政検証

2024年7月、厚労省より公表された公的年金の財政検証結果、5年前と比べ、65歳モデル世帯の所得代替率は改善しました。その理由は女性と高齢者の労働参加が進んだから、そして積立金の運用が好調だったから。さらに、モデル世帯だけでなく、男女別に50歳、40歳、30歳の人が65歳で受け取る平均年金額の試算も示され、特に若年世代の女性の平均年金額が大きく伸びることも確認できました。
言わば、良いこと尽くめの結果ですが、抜けている年代が一つありますね。おそらく今、一番、公的年金のことが気になりはじめている60歳前後の皆さま。以下のような概略を目にすると、自分が受け取ることになる年金は、これからも下がり続けるのではないかと心配しているかもしれません。
令和6(2024)年財政検証結果の概略※
― 5年後(2029年度)及び調整終了後の所得代替率 ―

確かに所得代替率は、2024年度の61.2%から低下していく見込みです。さらに長期的には50%を確保するとされていますので、これからは公的年金が2割ほど下がると思われても致し方ないですね。でも、所得代替率ではなく、年金の実質額※2で見てみると、違った景色も見えてくるのです。
1964年度生まれ(現在60歳)のモデル年金額※3

財政検証で示された4つの経済想定のうち、真ん中の2つのケースでは、所得代替率は低下するものの、年金額は増加するか(左)、減るにしても所得代替率ほどは減らない(右)、そんなことが確認できるのです。実際、これからのライフプランを考える上では、年金の実質額のほうがイメージしやすいと思いますので、今、60歳前後の皆さまは、“率”よりも“額”、こんな留意点を覚えておくとよいかと思います。ご参考まで。
大和証券
2024/8/2作成
ライフプランコラム
「いま、できる、こと」トップページ