ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.300(2024年4月5日)新NISA批判へ回答③/中間層と低所得者層で不公平?

「新NISAは中間所得層の資産形成の促進策であって、投資に回せる余裕のない低所得者層には恩恵がないことを考えれば、中間所得層と低所得層の間の不公平に繋がらないか。これらの批判についてコメントを頂戴したい」

新NISA批判への回答も、今回が3回シリーズの最終回、新NISAは不公平な制度なのでしょうか?ご一読ください。

新NISAは中間所得層と低所得層の間の不公平に繋がらないか?

利用できる人とできない人との間で不公平感がある、そんなご指摘ですが、この点は、旧NISAと新NISAを比較すると、違う景色が見えてくると思います。

旧NISAのつみたてNISAが今でも続いていたら、と考えてみましょうか。つみたてNISAは非課税保有期間が20年間ですが、新たな投資は2042年まででした。例えば、2023年からつみたてNISAをはじめた人は、年間投資枠40万円を2042年まで20年分利用できますので、非課税で投資できる総枠は800万円(=40万円×20)。一方、10年後の2033年からつみたてNISAをはじめた人は、2042年まで10年分しか利用できないので、非課税で投資できる総枠は400万円(=40万円×10)にしかなりません。

実は、早くはじめた人ほど、非課税で投資できる総枠が多くなる、これが旧NISAだったのです。逆に言えば、投資に回せる余裕のない低所得者層にとっては、今、NISAを利用できないことは非課税で投資できる総枠が減ってしまうという意味で、NISAを利用できる人と比較すると、取り返しのつかない差が生まれていたと言えるでしょう。

これが新NISAになって、どのように変わったのか。低所得層にとって一番意義深いと思うのは、NISA制度自体が恒久化されたことですね。つまり、新NISAの利用を開始するタイミングはいつでもいい、とても自由な制度だということ。今、投資に回せるお金のない低所得者層も、将来、懐に余裕ができた暁には、新NISAをはじめることができるのです。

そしてもう1つ、注目に値するのが「非課税保有限度額」という新しいルール、1,800万円という非課税で保有できる上限金額が定められたことだと思います。つまり、新NISAの利用を今、開始しても、例えば10年後にはじめても、非課税の投資機会という意味では同じ、とても平等な制度だということ。今、投資に回せるお金のない低所得者層も、将来、懐に余裕ができた後であっても、新NISAで同じだけ非課税投資できる機会があるのです。

こんなふうに旧NISAと比べることで、新NISAがより自由で、かつ、より平等な制度であるとご理解いただければ、今、利用できるか否かという観点だけで、新NISAが中間所得層と低所得層の間の不公平に繋がるとは言えない、そんなふうに思います。

大和証券
2024/3/22作成

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