ちょうど新NISA前夜の昨年末、私のもとに以下のような取材依頼がありました。
「新NISAは金持ち優遇制度なのではないか。あるいは、新NISAは中間所得層の資産形成の促進策であって、投資に回せる余裕のない低所得者層には恩恵がないことを考えれば、中間所得層と低所得層の間の不公平に繋がらないか。これらの批判についてコメントを頂戴したい」
前回お伝えしたように、この取材で私はまず、「年間投資枠の大幅拡大も、非課税保有期間の無期限化も、新たに導入された非課税保有限度額とセットで考えれば、新NISAは金持ち優遇制度だとは言えない」と申し上げました。今回は、新NISAが中間層の資産形成の促進策だと言えるのかどうか、検証してみます(なお、中間所得層と低所得層の間の不公平感に繋がるか否かは、次回お伝えする予定です)。
新NISAは中間所得層の資産形成の促進策なのか?
さて、そもそも新NISAとは中間所得層の資産形成の促進策なのでしょうか?NISAの利用状況を踏まえると、その答えはYes。昨年12月に開催された日本証券業協会の証券戦略会議の資料※から、いくつかのデータを紹介しましょう。
■NISA口座の所得区分別利用状況
■NISA口座の保有金融資産別利用状況
上記データに基づき、一般NISAとつみたてNISAをあわせて考えると、NISA利用者の約7割は年収500万円未満であり、過半数は金融資産1,000万円未満となるので、NISA制度は中間層の資産形成のために活用されていると言えるでしょう。
大和証券
2024/3/15作成