ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.298(2024年3月22日)新NISA批判へ回答①/金持ち優遇制度ではないか?

ちょうど新NISA前夜の昨年末、私のもとに以下のような取材依頼がありました。

「新NISAは金持ち優遇制度なのではないか。あるいは、新NISAは中間所得層の資産形成の促進策であって、投資に回せる余裕のない低所得者層には恩恵がないことを考えれば、中間所得層と低所得層の間の不公平に繋がらないか。これらの批判についてコメントを頂戴したい」

取材ではもちろん、私なりの考えをお話しさせていただきました。でも、残念ながら、今に至るまで、取材元の媒体で私のコメントを目にしたことはありません(苦笑)。ニュースバリューがないと判断されたのか、それとも、私の話しにご納得されたのか、その点は定かではありませんが、今回から3回シリーズで、新NISA批判に対する私の回答を披露させていただきます。

新NISAは金持ち優遇制度ではないか?

2024年からの新NISA、2023年までの旧NISAと比較すると、年間投資枠については、つみたてNISAの年40万円が、つみたて投資枠では年120万円になり、一般NISAの年120万円が、成長投資枠では年240万円になりました。また、つみたて投資枠と成長投資枠は両方利用できますので、合計で年360万円の非課税投資ができることになります。さらには、非課税保有期間は無期限化され、制度自体も恒久化されましたので、お金を持っていれば持っているほど有利になる、新NISAは一見すると、そんな制度にも思えるのです。

ただ、こうした富裕層優遇批判は、制度設計時から想定されていたことですね。例えば、令和5年度税制改正大綱には、以下の記載があります。

1.成長と分配の好循環の実現

(1)NISAの抜本的拡充・恒久化

一方、投資余力が大きい高所得者層に対する際限ない優遇とならないよう、年間投資上限額とは別に、一生涯にわたる非課税限度額を設定することとする。その総額については、老後等に備えた十分な資産形成を可能とする観点から、現行のつみたてNISAの水準(800万円)から倍増以上となる1,800万円とする。また、「成長投資枠」については、その内数として現行の一般NISAの水準(600万円)の2倍となる1,200万円とする。

そうです、新NISAで新たに導入されたルール、「非課税保有限度額」のことですね。年間投資枠の大幅拡大も、非課税保有期間の無期限化も、この新ルールとセットで考えれば、新NISAは金持ち優遇制度だとは言えない、そういうことだと思います。

大和証券
2024/3/8作成

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