ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.282(2023年12月1日)ライフプランセミナーFAQ⑭/住宅ローンの繰上返済に勝る投資とは?

40代向けのライフプランセミナーでの質問です。

「この類のセミナーを受けると必ず金融商品の紹介を受けるのですが、メリット・デメリットの理解が難しく、自分の結論としては住宅ローン返済の繰り上げの方が確実かつ高いリターンが見込めると判断し、思考停止しています。

  • 住宅ローン繰り上げ返済によるリターン(100%確実)と
  • 投資によるリターン(不確実)の比較により、

① ②いずれかの効果の高い方に投資すべきだとは思うのですが、現実社会のケースにおいて、②の方が効果が高いケース実例をご紹介いただきたいです。また、これを簡単に測定できる方法があれば、紹介いただきたいです。」

そうですね、「リスクとリターンの法則」でご説明しましょうか。この法則によれば、投資する/しないの判断は、以下の基準に基づいて行うことになります。

  • (ア)
    リスクが同じなら、リターンの高い方を選ぶ
  • (イ)
    リターンが同じなら、リスクの低い方を選ぶ

これら基準からすると、ご質問者の判断は正しいですね。なぜなら、①の住宅ローン繰上返済は「100%確実」なのでリスクはゼロ、②は「不確実」でリスクゼロではない、従って、リスクが違うので(ア)の基準では比較できず、たとえ①と②のリターンが同じでも、①の方が必ずリスクが低くなるので、(イ)の基準で①を選ぶ、ということになるからです。

一方、より高いリターンを得るためにリスクをどれだけ許容できるか、そこに②の投資を選択する余地が生まれるのだと思います。その選択は人それぞれ、専門用語で言えば、リスク許容度、少し平たく言うと、どれくらいの損失までだったら耐えられるか、ということ。これが分かれば、リスクとリターンの法則に基づき、②の投資も選択肢になる、ということです。

では、これを簡単に測定できる方法があるのか? 自分でやってみる、という方法もありますが、ここは金融リテラシーの1つとも言われる、「外部知見の活用」がおススメです。金融機関のホームページを検索すれば、ファンドラップサービスやロボアドバイザーであるとか、簡単ないくつかの質問に答えるだけで、ご自身のリスク許容度にあわせたリターン予想やおススメのポートフォリオ(資産の組合せ)を教えてくれます。ご自身の投資を検討する際の参考になるのではないでしょうか。

最後に1つ、②の方が効果が高いケース実例を紹介しましょうか。iDeCoで預金を選べば、所得控除が確実なリターンになるので、住宅ローンの繰上返済に勝る、そんな投資になるはずです。なお、iDeCoは長期・積立・分散投資が誰でもできる、資産形成にピッタリな制度ですので、預金での運用はあまりおススメしたくはないですけどね…(苦笑)。

大和証券
2023/10/20作成

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