20代と30代向けのライフプランセミナーでの質問です。
「資産運用等をしなければ平均寿命くらいまで生きた場合、年金と貯蓄だけでは足りないのか」
そうですね、このご質問を聞いて思い出すのは4年前のこと、世間で話題というか炎上した「老後資金2000万円問題」のことですかね。もうコロナ禍前のことになりますので、改めてこの問題を振り返ってみましょうか。
事の発端は金融審議会市場ワーキンググループ報告書※、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均的な姿を見ると、毎月の赤字額が約5万円となっている、とのこと。そして、不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の(金融資産の)取崩しが必要になると指摘しました。
この指摘を受けて、SNS等で「老後は年金だけでは過ごせないのか?これでは話しが違うじゃないか!」と炎上したわけですが、よくよくこの報告書を見てみると、こんな記述もあるのです。
「老後の生活においては年金などの収入で足らざる部分は、当然保有する金融資産から取り崩していくこととなる。65 歳時点における金融資産の平均保有状況は夫婦世帯、単身男性、単身女性のそれぞれで、2252万円、1552万円、1506万円となっている」
ですので、かつて大炎上した「老後資金2000万円問題」の報告書にある分析や記述に基づいて、ご質問に回答するのであれば、「平均寿命くらいまで生きた場合、年金と貯蓄だけで足りないことはない」と言えるのではないでしょうか。
最後に、この報告書を読み解く上で、支出と貯蓄、そして収入に関する留意事項を申し上げておきます。ご参考まで。
大和証券
2023/9/15作成
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