50代と60代向けのライフプランセミナーでの質問です。
「60歳以降の収入イメージで、給料がダウンする分所得税もダウンすると思うのですが、手取額がどのくらいの減少になるのか、分かればご教示ください(夫婦共働きで配偶者控除なし、扶養者なしとした場合で)」
このご質問があったセミナーは公務員の方々向け、今年度から始まった公務員の定年引上げの影響について説明しました。60歳以降の給料は、60歳までの給料の7割になりますが、問題は手取額が給料以上に減ること。その理由は以下のとおりです。
給料が大きく減った当初、手取額はもっと減ることになるのです。でも、これは公務員の方々に限ったことではなく、民間企業にお勤めの方々でもよくある話し、いや、民間企業の場合、60歳定年時だけではなく、例えば、55歳役職定年時にもあり得ることですね。ですので、お勤めの方々、特に50代、60代の皆様にとっては、まさに自分事(じぶんごと)として認識しておくべき、そんな話しなのだと思います。
それでは、ご質問に対する回答ですが、以下の事例を想定して、年収ベースで考えてみましょうか。
【事例】60歳以降も60歳までと社会保険料と住民税が変わらない場合、60歳以降の手取額は?
まずは60歳まで、年収600万円だと給与所得控除が164万円(=600×20%+44)、社会保険料控除は90万円(=600×15%)、基礎控除は所得税で48万円、住民税で43万円ですから、課税所得は所得税で298万円(=600-164-90-48)、住民税で303万円になります。税額は所得税※1が20万5百円(=298×10%-9.75)、住民税※2が30万3千円(=303×10%)、手取額は459万6千5百円(=600-90-20.05-30.3)になります。
つぎに60歳以降、年収420万円で同じように※3計算すると、所得税は9万500円になりますが、社会保険料と住民税が年収600万円と同じだとすると、手取額は290万6千5百円(=420-90-9.05-30.3)と計算できます。
つまり、年収は600万円から420万円と7割水準なのに、手取額は459万円から290万円と6割少しの水準になる、ということです。あくまでも一つの試算ですが、ご参考まで。
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2023/8/25作成
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