50代と60代向けライフプランセミナーでの質問です。
「退職後の資金として定期預金、株、投資信託などを利用して貯蓄した場合、取崩す順番はどうすればよいか?」
2つのケースに分けて考えてみましょうか。1つは一時的な支出をまかなう場合、例えば、自宅のリフォーム費用をイメージして下さい。もう1つは定期的な支出、これは年金収入だけでは足らない生活費を補う、そんなイメージです。
まずは一時的な支出、突発的なものなら、お金の調達が最優先、流動性が一番高い資産(すぐ売れるという意味)を取崩すことになります。一時的でも計画していた支出なら、そのために積み上げてきた資産から取崩せばよいでしょう。
でも順番を迷うってことは、どれを取崩してもいいってことですかね?羨ましくも思えますが、儲かってるなら株や投資信託を売ってみては、とアドバイスしたいですね。「いやいや、これからもっと儲かるかもしれないし…」と思われるなら、定期預金を解約すればいい話しですが、「これから株や投資信託が下がるかも…」なんて堂々巡りになりそうですね(苦笑)。そんなときの私からのファイナルアンサーは「必要なお金の半分は株や投資信託を売って、半分は定期預金を解約」です。これから値上がりしてもまだ株や投資信託が残ってますし、値下がりしても一部を売っておいて良かったことになる、つまり、一部売却が一番後悔が少ない売り方になるからです(笑)。
さて、もう1つの定期的な支出、何歳まで長生きすると考えているのか、年金生活でどれくらい補てんが必要なのか、今、どれくらい資産をお持ちなのか等々、それら次第でアドバイスも変わってきますね。もし、一般論で申し上げるとすれば、年齢を重ねるにつれて判断能力は低下していくもの。ですから、取崩す順番としては、株や投資信託などの値動きのある商品が先になるでしょう。
そして、値動きのある商品を定期的に取崩すときのNGは、毎回同じ金額(=定額)で売却していくこと。不足分を補うなら、定額の方が都合が良さそうですが、値動きのある商品を定額で取崩すと、高い時に少ししか売らず、安い時にたくさん売ることになるので、資産寿命が短くなってしまうのです。
それでは、どうすればいいのか?よく言われているのが、定額ではなく定率、例えば4%ずつ取崩す、というやり方。取崩す金額を率で決めれば、高い時にたくさん売って、安い時に少ししか売らないことになるので、資産寿命が長くなるのです。
なお、値動きのある商品を定期的に定率で取崩すと、その手取り金額は毎回違ってきますよね。手取り金額が多くなったら預金して、少なかったら預金を取り崩す、そこは順番じゃなくて合わせ技で考えれば良いと思います。ご参考まで。
大和証券
2023/8/4作成
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