ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.210(2022年7月15日)20代のお金の知恵/“貯めどき”のファクトフルネス

「人生の“貯めどき”は3回ある」と言われます。① 結婚までの独身期間、② 結婚から子どもが小学校や中学校に入学するまでの期間、そして、③ 子どもが社会人になってから定年までの期間ですね(諸説あります…)。特に① の独身期間、まさに今、多くの20代の皆さまが過ごされている期間です。
また、最近は晩婚化・晩産化の時代、③ の子どもが独立して定年までの期間がほとんどない、実は最後の“貯めどき”がなくなりつつある、そんな指摘も聞こえてきます。

こうした“貯めどき”の観点から、「20代からお金を貯めておいたほうがいい」とのアドバイスをよく聞きます。それ自体、間違っているわけではありません。でも最近、あるデータを眺めながら、「最後の“貯めどき”って、昔も今も変わらないのでは?」と思い直しました。どういうことなのか、ご説明しましょう。

下の表、約50年前の1970年と今、2019年を比べると、結婚も子どもを授かる年齢も5歳ほど違います。晩婚化と晩産化の傾向ですね。次に死亡年齢を見ると、長寿化の傾向は明白、50年前より10歳以上も長生きするのです。注目すべきは夫の定年年齢。50年前は55歳、今と5歳違う分、2番目の子どもが大学を卒業してから夫の定年までの期間に、大きな違いはないのです。さらに昔は子どもが多かった分、夫の定年後に3番目の子どもが大学卒業、そんなライフサイクルも見てとれます。つまり、最後の“貯めどき”とは、昔も今も、あまり期待できないもの、そういうことだと思います。

ライフイベントの平均年齢(=ライフサイクル)の変化※1

ライフイベントの平均年齢(=ライフサイクル)の変化

そんなふうに考えると、昔よりも今のほうが人生の選択肢が増えている、とも思います。なぜなら、今や、長く働き続けることが一般的になっているからです。晩婚化・晩産化の時代でも、長く働けば、最後の“貯めどき”を確保できる、ということです。ですから、結婚にせよ、子育てにせよ、焦ることはないですね。20代の皆さまはじっくり構えて欲しいと思います。

ただ、50代の私事(わたくしごと)を申し上げると、去年、娘が社会人になって、我が家の家計はメチャクチャ楽になりました!
「これが最後の“貯めどき”かぁ〜」と自分事(じぶんごと)として実感しています。だから、個人的にアドバイスを求められたら、「結婚は早いほうがいいよ(^^♪」って言いますけどね(笑)。

  • ※1 データ出所:公益財団法人 生命保険文化センター「ライフプラン情報ブック(2022年2月改訂版)」、P.7
  • ※2 死亡年齢は1970年における50歳の平均余命、2019年における60歳の平均余命による

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2022/4/28作成

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