ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.197(2022年4月8日)20代のお金の知恵/「72の法則」が教えてくれないこと

「72の法則」は、お金が2倍になる年数を知るのに便利な算式で、72÷金利で計算することができます。最近、色々と調べていて驚いたのは、今では中学校の教科書でも紹介されているようですね。これまで2回に渡ってお伝えしたことも、今20代の皆さまにとっては、「知ってるよ、そんなこと」的な常識だったのかもしれません。申し訳なさを感じつつ、でもそれならと開き直り、今回は、「72の法則」が教えてくれないこと、そんな話しをしたいと思います。

さて、「72の法則」でお金の増え方をイメージするには、以下のようなグラフで「複利」と「単利」の違いを説明します。アインシュタインは「複利は人類の最大の発明だ」との言葉を残したそうですが、利子に利子がつく「複利」は、年々、お金の増え方が加速する、そんなことが理解できるグラフです。

100万円を年利5%で15年運用した場合

100万円を年利5%で15年運用した場合

でも、お金の運用イメージとしては、上のグラフは要注意。なんとなく、毎年必ず、お金が増えていくイメージをもってしまうからです。一例ではありますが、年利5%相当で15年運用してお金が2倍になる実際のイメージを作ってみました。

15年間、年利5%相当で運用した場合の一例

15年間、年利5%相当で運用した場合の一例

「72の法則」だと、72÷5=14.4、年利5%だと15年弱でお金は2倍になるのですが、その経路は右肩上がり一本調子ではありません。上がったり下がったり、時には元本を割り込んだりするのです。このイメージをもってないと、長期投資を始めたのに、急に怖くなって途中で止めてしまうのです。

もちろん、「72の法則」には何の罪もありません。でも、「72の法則」を運用で味方につけるには、「72の法則」が教えてくれない、実際のお金の運用イメージ、つまり忍耐力も大切になるのです。両方兼ね備えれば、鬼に金棒だと思います。

  • ※参考文献:駒村康平(2021)『みんなの金融』、新泉社

大和証券
2022/1/28作成

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