現状、公務員(共済組合員)がiDeCoを利用する場合、積立金の上限金額は月額1.2万円です。国民年金基金連合会の調べ※1では、公務員は平均で月10,969円、87%の人が毎月1万円以上の積立をしています。iDeCoの掛金は5千円以上、千円単位になるので、iDeCoを利用している公務員の多くは、毎月、上限金額の1.2万円で積み立てている、ということだと思います。セミナーでもご意見としてよくお伺いしますが、公務員の中には、「iDeCoは掛金が少ない」と思っている人もいるでしょう。
まだ先の話になりますが、令和6年(2024年)12月から、公務員のiDeCo積立金は、上限金額が“実質的に”月額2万円に引き上げられる予定です。“実質的に”なんて、少し歯切れの悪い言い方ですが、今回はその理由も含めてご説明しましょう。
さて、厚生労働省の審議会では、昨年12月に閣議決定した令和3年度税制改正大綱の内容を踏まえて、iDeCo等の拠出限度額見直しについて検討を進めてきました。今年5月下旬に意見募集(パブリックコメント)に付された政令案によると、公務員のiDeCo積立金の上限金額は令和6年12月からは以下の式で計算されることになります。
月額5.5万円 - (企業型DC事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額)
【上限:月額2.0万円】
これは公務員だけでなく、企業年金に加入している人のiDeCo積立金の上限金額について計算式を一本化する、ということです。なお、公務員には企業型DCはありませんので、「企業型DC事業主掛金」はゼロになります。あとは「DB等の他制度掛金相当額」がいくらになるのか、ということですが、厚労省審議会の資料※2には「DBには年金払い退職給付を含む」との注釈がありました。つまり、年金払い退職給付の掛金が月額3.5万円よりも少なければ、iDeCo上限金額は月額2.0万円になるのです。
年金払い退職給付とは、平成27年10月、共済年金の厚生年金への統合時に創設された公務員(共済組合員)独自の制度。ざっくり言えば、労使折半で毎月、給料とボーナスの1.5%を積み立てます。例えば、月額3.5万円だと年額42万円、これを1.5%で割り戻すと年収は2,800万円ですから、年金払い退職給付の掛金が月額3.5万円を超える人はそうそういないでしょう。ですので、公務員のiDeCo上限金額は、“実質的に”月額2万円に引き上げられる、と思うのです。
なお、公務員の「DB等の他制度掛金相当額」は「共済掛金相当額」と言うそうですが、その算定方法も含めて、詳細は今後明らかになる予定です。でも、「iDeCoは掛金が少ない」と嘆いていらっしゃる公務員の皆さまには朗報だと思いまして、少し早めにお伝えした次第です。ご参考まで。
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2021/8/20作成
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