先日、日経新聞にこんなコメント※がありました。
「現在50歳代の人は、自分が社会人になったときには定年が55歳だと思って働き始め、今では70歳を視野に就業を考えることになります。自らの就業人生が当初考えていたものよりかなり延長し、人生設計の見直しを迫られる人も多いと思います。」
確かに、働く期間が15年も延びると、ライフプラン(=人生設計)は大きな見直しが必要になりますね。
片や、最近では、FIRE(=Financial Independence, Retire Early movement)なる早期退職を目標にした働き方やライフスタイルを見聞きすることが多くなりました。FIREを実現するためには、投資による資産形成も手段の一つになります。近年、ネットやSNSを中心に投資や資産形成に関する情報が拡散し、投資を始める若い方々が増えているのも、FIREという考え方が後押ししている部分もあるのでしょう。
でも、「長く働かなきゃ!」と言われる一方で、「早く退職しようよ!」とも薦められるわけですから、「長く働くのか、早く退職するのか、結局、どうしたらいいの?」と頭を抱えている人もいるかもしれませんね。セミナーで講師を務めた際にも、この手のご質問をよく受けるのですが、私はいつも決まって、こんな風にお答えしています。
「退職世代でも現役世代でも、まず考えるべき一番大切なことは、定期的な収入を確保することです。」
例えば、退職世代は、働き続けることで給料という定期収入を長く確保することができます。また、長く働けば、将来、年金という定期収入も増えることになります。
現役世代も考え方は同じです。新社会人には「国民年金の学生納付特例を利用していたら、まずは保険料を追納しましょう!」と申し上げます。これは老後の定期収入を確保するためのアドバイスです。共働き夫婦には、今、給料という定期収入を確保し、老後に年金という定期収入を確保するためにも、共働きを長く続けたほうがいいですよ、との応援メッセージを送ります。自営業の人には、国民年金基金を利用した終身の定期収入確保をお薦めします。現在の金利環境において、国民年金基金並みの終身年金を設計することは、民間の金融機関では難しいと考えるからです。
FIREという考え方も、その狙いは生涯に渡る定期的な収入の確保にあります。それが不動産からの家賃収入や投資先からの配当収入だったり、築き上げた資産からの取り崩しだったりする、そういうことではないでしょうか。
つまり、長く働くのもFIREも、どちらも目指しているのは定期収入の確保。アプローチは違えど、本を正せば同じことなのです。こんな考え方がライフプランの参考になれば幸いです。
大和証券
2021/8/13作成
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