つみたてNISAは2018年から始まった非課税投資制度です。対象商品は金融庁が定めた「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」になりますが、その要件や仕組みを読み解くと、つみたてNISAの魅力が浮かびあがってきます。今回はその魅力を金融庁作成の資料※1から探ってみましょう。
つみたてNISAの対象商品※1
ご覧のように、つみたてNISAの投資信託は「販売手数料は0%」で「毎年の運用管理費用にも上限を設け、低コストの商品に限定」されています。わかりやすく言うと、この投資信託の会員(受益者と言います)になるには、入会費がタダで年会費も割安ということ。入会特典は運用益の非課税!長期投資のコストとは手数料と税金ですので、その両方がかからないか格安なのが、つみたてNISAなのです。コストは安いに越したことはありませんが、その意味合いを深掘りしてみましょう。
まず、販売手数料は投資信託の購入代金とは別に、投資家が販売会社に支払う手数料のこと。購入時に一回のみ発生する手数料ですから、「長期投資が前提なら、1年あたりのコスト負担は軽減されます」との説明があるあるです。でも、積立投資の開始当初は損得が気になりますよね、特に初心者はそうでしょう。販売手数料を含めた損得を気にするあまり、積立を止めてしまっては元も子もありません。そこで登場したのが、お得なつみたてNISA。つまり、販売手数料が0%なので、長期投資の経験のない初心者も、安心して資産形成を続けられるようになった、と言えるのです。
一方、運用管理費用や税金は投資信託の財産から支払われるコストのこと。ざっくり言えば、投資信託で儲かった分を、投資家と金融機関と国の三者で分ける、そんなイメージです※2。でも、つみたてNISAの投資信託は低コストなので金融機関の実入りは僅か、運用益も非課税なので国も潤いません。要するに、投資家の取り分が多くなる、そんな仕組みが、つみたてNISAなのです。これは言い換えれば、投資の成功体験をつみたてNISAで広めていく、官民挙げての取組みなのだと思います。
最初に申し上げたように、「つみたてNISAの対象商品」は長期投資のコストが抑えられています。これはつみたてNISAの魅力の一つですが、コストの話から、この制度が登場した意義や国と金融機関の取組みに思いを馳せると、その魅力がさらに輝きを増してくる、そんな風に思います。
大和証券
2020/12/18作成
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