ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.97(2020年4月24日)芸能人も色々、投資家も色々

今年の元旦、「芸能人格付けチェック!」(テレビ朝日系)という正月特番を見ました。プロとアマの演奏を聴き分け、高級ワインや食材の味が分かるかどうかを競うこの番組で、一流芸能人として君臨しているのがミュージシャンのGACKT(ガクト)さん。この放送前まで58問連続正解中だったとか。もちろん今回も、その一流ぶりを遺憾なく発揮していました。

プロとアマの演奏の問題では、視聴者が回答者の立場で参加できるのもこの番組の楽しみ方の1つです。でも、いざチャレンジしてみると、この問題が難しい、というか、当たらない。。。今回出題された、国内屈指のプロ吹奏楽団とコンクール3年連続金賞の高校吹奏楽部の演奏なんて、私からすれば「どちらもお上手!」としか聴こえませんでした。

あくまでも私見ですが、この手の問題の正解者は2つに分かれるのではないでしょうか。1つは、たまたま正解した人、もう1つは、自分の中にある絶対的な基準や価値観に照らし合わせて正解を導き出せる人。例えば、学生時代に吹奏楽部だった人は後者でしょう。そして、音楽関連だけでなく、あらゆるジャンルで正解を導き出せるGACKTさんは、この番組が意図している一流芸能人としてのたしなみについて、絶対的な価値基準を持っている人なのだと思います。

投資の世界でもこんな価値基準を持っていると、例えば、ある企業の株価が割安なのか割高なのかも容易に判断できるかも知れません。でもその基準、言い換えれば、企業の本質的な価値がいくらなのか、それが容易には分からないことが投資の難しさでもあります。「たまたま」当たれば、一時的には儲けることができるかも知れませんが、格付けチェックのGACKTさんのように勝ち続けるのは難しいでしょう。少し大げさに言うと、勝ち続ける投資家になろうとすることは、芸能界においてGACKTさんを目指すのと同じくらい難しいことなのです。

「それじゃ、やっぱり投資は難しいからやらない方がいいんじゃないの?」と、そんな声が聞こえてきそうですね。でも、私はそんなことを申し上げたい訳ではありません。実は我々現役世代は、投資家としてGACKTさんを目指さなくてもいいのです。なぜなら、「平均的な投資パフォーマンスなら誰でも達成することができる。あらゆる資産を少しずつ買うインデックス・ファンドに投資すればよい」からです。これは投資家として有名なウォーレン・バフェット氏が「極めて稀に見る、実益のある本」として絶賛している書籍からの引用ですが、公私に渡って忙しい現役世代の皆さまが目指すべきは、そんな投資家だと思うのです。

そう言えば、番組内でGACKTさんの相方となったゴールデンボンバーの鬼龍院さんは、吹奏楽の問題も含めてまさかの不正解を連発してました。番組的には面白かったのですが、そんな鬼龍院さんも芸能人として大活躍しているじゃないですか!芸能人も色々、投資家も色々、それでいいのだと思います。

  • ※ハワード・マークス著・貫井佳子訳「投資で一番大切な20の教え」(日本経済新聞出版社)、一部下線と赤字で強調したのは筆者

大和証券
2020/1/17作成

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