これまでに学んできた、トレンド系指標やオシレーター系指標は、株価に注目した“株価グループ”の指標でした。
もちろん、テクニカル分析において、株価が一番大切です! その事実が揺らぐことはありません。
ですが、時には株価だけの判断では、心配な場面もあるでしょう。
そんな時は、“株価グループ”には属さない、独立した別の指標を使いましょう。
私がおすすめするのは、「出来高」や「売買代金」といった市場エネルギーに注目した
「エネルギー系指標(量的指標)」です!
テクニカル指標 第5回目の今日は、「エネルギー系指標(量的指標)」について学びましょう!
エネルギー系指標とは、「出来高」や「売買代金」といった、市場エネルギーに注目したテクニカル指標です。
では、まず用語の確認から始めていきましょう!
出来高とは |
株式市場で売買が成立した株数(取引量)のことです。 出来高が多ければ多いほど、取引が活発であると言えます。 |
---|---|
売買代金とは |
株式市場で売買が成立した金額(取引金額)のことです。 売買代金が多ければ多いほど、取引が活発であると言えます。 |
株式相場が活況なのか、低迷しているのかは、時として市場の持つエネルギーに左右されることがあります。
そんな時、“モノサシ”として用いられるのが、「出来高」と「売買代金」です。
それではここでひとつ、知っておいていただきたい相場格言をご紹介します。
「出来高は株価に先行する」
これは、株価よりもまず出来高が徐々に増え始め、次の段階で株価が上昇する。
というような相場の特徴を表しています。
将来の株価予想を行なう上で、エネルギー系指標の動きは昔から重要視されていたということですね。
それでは、株価と出来高の関係を簡単に把握しておきましょう!
株価 | 出来高 | 意味 |
---|---|---|
上昇 ![]() |
増加 ![]() |
強い。上昇が続く |
減少 ![]() |
天井が近い | |
下落 ![]() |
増加 ![]() |
大底が近い |
減少 ![]() |
弱い。下落が続く |
次の章では、代表的なエネルギー系指標を3つご紹介します。
マーケットが大きな動きを見せるとき、出来高を伴っているかどうかに注目してください。
出来高を伴っていない場合は、一過性の動きであることが多いです。
逆ウォッチ曲線とは?
逆ウォッチ曲線とは、株価と出来高の関係を折れ線グラフにしたものです。
縦軸に株価、横軸に出来高をとってグラフ化すると、描かれたチャートが左回りの曲線になる傾向があり、その動きが時計(ウォッチ)の動きと逆方向であるということから、「逆ウォッチ」と名付けられました。
現在の株価の位置が、“8角形の相場のサイクル”の中でどこにあるかを確認することで、売買のタイミングを計ります。
8角形の相場サイクル |
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計算方法を確認して、構造を知ろう!
作成方法(1) | 縦軸に株価をとりましょう。 |
---|---|
作成方法(2) | 横軸に出来高をとりましょう。 |
作成方法(3) | “8角形の相場サイクル”に当てはめて、今が買い時なのか?売り時なのか?を見極めましょう。 |
日付 | 出来高 (万株) |
株価 (終値) |
---|---|---|
(1) | 200 | 600 |
(2) | 250 | 650 |
(3) | 250 | 700 |
(4) | 200 | 750 |
(5) | 150 | 750 |

日々のブレを排除するために、それぞれ5週(25日)移動平均値を使うようにしましょう!
チャートで確認! |
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![]() |
【スタート】は計算をはじめた時点なので、実際に逆ウォッチ曲線チャートを描いてみないと、今がどの局面にいるのかわかりません。
安値圏での出来高の増加は、いずれ株価上昇の動きを伴うという特徴がありますから、これまで売りの局面だった相場でも、出来高が増加し始めると、逆ウォッチ曲線のチャートは右に移動し始めます。そのタイミングで株価の上昇を伴うようになれば、買いのシグナルとなります。
逆ウォッチ曲線は、第1章でご紹介した、相場格言の「出来高は株価に先行する」という教えを、最も良く表現していて、その真意を学ぶための教材にぴったりです!
ボリュームレシオとは?!
ボリュームレシオ(Volume Ratio)とは、株価の上昇時、下落時の出来高の動向を数値化して、相場の過熱感(「買われ過ぎ・売られ過ぎ」)を判断する指標です。
イメージで捉えるなら、先ほど学んだ“逆ウォッチ曲線の理論”をテクニカル指標っぽくしたもの。
簡単に言ってしまうと、「RSIの出来高バージョン」です。
計算方法を確認して、構造を知ろう!
ボリュームレシオは、一定期間内の株価上昇日の出来高合計と、株価下落日の出来高合計の割合を計算し、「%」で表示します。
計算式には以下の2通りがあります。
計算式(1) |
|
---|
計算式(2) |
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---|
U : 期間内株価上昇日の出来高合計
D : 期間内株価下落日の出来高合計
S : 期間内株価が前日比変わらずの日の出来高合計
|
ボリュームレシオの範囲と目安
範囲 | 底値圏(買い)の目安 | 高値警戒圏(売り)の目安 | |
---|---|---|---|
計算式(1) |
0%~無限∞
※100%~150%が中心水準になることが多いです。
|
70%以下
|
450%以上
|
計算式(2) |
0%~100%
|
30%以下
|
70%以上
|
ボリュームレシオは、株価が上昇すると値が大きくなり、株価が下落すると値が小さくなります。
最小値は0%ですが、最大値は銘柄によりまちまちです(計算式(1)の場合)。
オシレーター系指標のように、0%~100%と決まっていないので気を付けましょう。
チャートで確認! |
---|
![]() |
※日経平均と東証1部出来高の場合の目安
400%超で高値警戒圏(300%程度でピークアウトすることもあるのでご注意ください!)
60%未満で底値圏(底値形成後に、120%を上回ってくると、底入れの確度が高まります!)
価格帯別出来高とは?!
価格帯別出来高とは、チャートに表示されている期間において、売買が成立した出来高を価格帯ごとに集計してグラフ表示したものです。ダイワの多機能チャートでは、株価チャートの右側に棒グラフで表示されます。
この価格帯別出来高を使うと、株価がどのくらいまで上昇・下落するのか、節目を予測することができます。
出来高が多い価格帯
その価格で買ったり売ったりした投資家がたくさんいるので、反対売買が多く出やすく、値動きが重くなります。
投資家の心理を想像してみよう!
傾向 | 理由 | |||
---|---|---|---|---|
株価が上がってきた場合 | 価格帯別出来高が多い株価に近づくと、株価の上昇が止まるという傾向があります。 |
|
||
株価が下がってきた場合 | 価格帯別出来高が多い株価に近づくと、株価の下落が止まるという傾向があります。 |
|
出来高が少ない価格帯
その価格で買ったり売ったりした投資家は少ないので、反対売買は少なく、値動きが軽くなります。
つまり、株価が出来高の多い価格帯から抜け出してきたときは、株価が速く大きく動くチャンスと考えられます。
チャートを確認しよう! |
---|
![]() |
ここまで説明して何ですが...。「価格帯別出来高」は、あくまで目安として使う程度にしてください!というのも、指標として「こう使う!」といった一貫性がなく、指定する期間によって大きく変わってくるのでご注意ください。
それでは本日の締めくくりに、本日解説した3つの指標を確認しましょう!
大和証券のオンライントレードの「多機能チャート」には、テクニカル分析に強くなる機能がたくさん揃っています。
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検索窓から銘柄を検索
※4桁の銘柄コードでも銘柄名でも、どちらでも検索できます。
多機能チャートをクリック
ダイワの多機能チャートなら、本日解説した“3つの指標”を簡単に表示することができます!
<逆ウォッチ曲線>

<ボリュームレシオ>

<価格帯別出来高>
出来高にチェックを入れると表示されます。

テクニカル指標編【第5回のまとめ】
ある意味、株価は空中に浮いているようなもので、支える人がいないと下がってしまいます。
「重力」のようなものが働いているといえます。
支える人がたくさんいると、株価は上がります。
支える人が少ないと、株価は下がります。
いかがでしょうか?
この"支える人”を“出来高”と置き換えると、「出来高は株価よりも先行する」ということが、スッと理解できるのではないでしょうか?

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