今回は、個人投資家のNISAをめぐる動向についてご紹介させていただきます。日本証券業協会(以降、日証協)が実施したアンケート調査では、新NISAの利用者属性は、年収300万円未満の層が約4割を占めるなど幅広い所得層で利用されていることが分かりました。
図1 新NISA利用者の属性(年収分布)
また、投資経験10年未満の利用者が65%以上を占めており、NISAが投資のきっかけになった様子が伺えます。家族でNISA口座を開設している割合も過半数を超えており、NISAの浸透が家庭単位で進んでいる様子が分かります。
図2 新NISA利用者の属性(NISA口座を開設する家族)(複数回答)
NISA口座の開設年について最も多いのは、制度が刷新された2024年に開設した人で特に20代以下の若年層でその傾向が顕著です。
利用開始のきっかけとして、若年層ではインターネットや周囲の影響が大きく、高齢層では、制度改善や税制優遇が動機となっており、利用目的は、「将来・老後の生活資金」の割合が最も高く、つみたて投資枠でその傾向がより強くみられています。
購入資金の出所としては、「預金・給与所得・年金」が約75%を占めており、新たな資金がNISAに流入していることが示唆されています。
2024年における各月の買付額上位10銘柄をみてみると、複数の月で新規上場銘柄が含まれておりました(日証協が調査対象とした証券会社10社での調査)。NISAを通じた新規上場銘柄の取引が行われ、株式市場へニューマネーが供給されていたことがこちらからも伺えます。
新NISA調査では、つみたて投資枠・成長投資枠の両方とも利用した人の割合は各々の利用者からみて約半数であるとの結果が出ています。
図3 新NISA購入枠の概況
購入金額の平均は、つみたて投資枠で約47万円、成長投資枠で約103万円となっており、年収が高いほど非課税投資枠の上限まで活用する傾向がありました。
購入銘柄は、つみたて投資枠では全世界株式のインデックス型投資信託が主流であり、成長投資枠では日本国内株式が約半数を占めています。
図4 2024年中の新NISAにおける購入銘柄のタイプ
2025年1月に実施した新NISA調査では、2024年中につみたて投資枠及び成長投資枠において、1銘柄も売却していない者が約8割であると確認できています。このことからも、中長期的な視点でNISAは利用されている可能性があると考えられます。
「貯蓄から投資へ」の流れは明らかに動き始めており、NISAはより一層、今後の資産形成の一助となることが想定できます。
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