ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.283(2023年12月8日)ライフプランセミナーFAQ⑮/住宅ローン 変動金利から固定金利への切替

40代向けのライフプランセミナーでの質問です。

「住宅ローンを変動金利で借りているが、今後の政策金利の変動を見据え、いずれ固定金利に切り替える必要があると考えているが、その判断基準やタイミングをご教示いただきたい」

まずは住宅ローンの現状の金利水準を確認してみました。2023年9月時点での金利になりますが、最長35年の全期間固定金利の住宅ローン、フラット35だと一番多い金利水準は年1.8%だとか。一方、変動金利だと年0.3%を切っている、そんな住宅ローンもあるんですね(驚)。以前と比べると、固定金利は少し上がり、変動金利はさらに低くなっている、そんな感じだと思います。

なぜ、住宅ローンの固定金利が少し上がっているのか?これは7月に日銀が政策変更したから、ですよね。これまで日銀は国債を市場から買い入れることで金利を低く抑えてきましたが、最近の物価高を受けて政策を修正、10年国債金利(長期金利)が1%まで上昇することを容認したのです。固定型の住宅ローン金利は、長期金利に連動しますので、この日銀の政策変更をきっかけに少し上昇している、というわけです。

一方、変動金利は短期金利に応じて見直されることになりますが、現時点で日銀は短期金利をマイナスとする政策を続けています。その水準は長年変わっていないのですが、金融機関の顧客提示金利は、そこからさらに優遇金利分だけ差し引くことになります。最近、変動金利がさらに低くなっているのは、住宅ローン獲得競争が激しさを増しているので、優遇金利の幅が拡大している、それが理由だと思います。

さて、ご質問された方は「いずれ固定金利に切り替える必要がある」と考えている、とのこと。つまり、これからの変動金利の上昇を予想されているのですね。その判断基準は、日銀がいつマイナス金利政策を解除するか、ということ。その日銀の判断基準は、2%の物価目標が持続的、かつ、安定的に実現することが見通せるか否か、ということですから、物価関連の指標は気にしておきたいところですね。

なお、短期金利が上昇すれば、その影響は長期金利にも及び、住宅ローンの固定金利がさらに上がる、ということも考えられるでしょう。そのタイミングで固定金利に切り替えることが適切なのかどうか、正直、それは神のみぞ知る、ということだと感じます。であれば、やはり、お金を借りるときの基本に立ち返ってみてはどうでしょうか。変動でも固定でも、金利負担を減らす基本は、なるべく借りないことですから、変動金利の負担が低いうちに、繰り上げ返済原資を貯めておく、これが金利上昇を見据えた「いま、できる、こと」だと思います。

大和証券
2023/10/27作成

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