唐突ですが、つみたてNISAって、毎年、毎年、ワインを仕込むような、そんな制度だと思います。そう言われても、制度が始まってまだ4年目、なかなかイメージできないかもしれませんね。そこで過去30年のデータで、先進国株式ファンドへ積立投資した場合のシミュレーション※1を行ってみました(下表)。
例えば、つみたてNISAを1991年からはじめた場合、毎月初に約3.3万円の積立投資を12ヶ月続けます。年間では40万円(白抜き数字)、つみたてNISAの1991年産を仕込み、その後は熟成を待つイメージです。青い網掛が5年後の熟成度合いで、1991年産だと54万円になった、ということです。10年後が赤い網掛で129万円、15年後が緑で150万円、20年後がオレンジで123万円、という具合です。つみたてNISAの場合、ワインとは異なり、仕込みの年だけでなく、収穫までの天候(≒相場)にも左右される、という感じですね。
そして、毎年、毎年、仕込みと熟成のプロセスを並べていく、これが前回コラムでご説明した「ヨコに並べる」というイメージです。退職世代へのお勧めは、10年で収穫して「自分年金」を作りませんか、というご提案です。
例えば、60歳からつみたてNISAをはじめても、70歳から10年間の「自分年金」を作ることができます。赤い網掛が10年後の「自分年金」、課税されない所得※2として収穫できる金額です。過去の試算ですが、基礎年金1人分くらいの収穫になりそうですね。一部、出来の悪い元本割れの年もありますが、それまでに豊作の年があれば、そのまま収穫してもいいですし、少し熟成を待つのも一つの手。つみたてNISAを10年で考えれば、収穫のタイミングも調整できるのです。こんな風に考えると、退職世代にも、つみたてNISAの利用がもっと広がると思います。
大和証券
2021/7/30作成