ライフプランコラム「いま、できる、こと」vol.84(2020年1月24日)新婚夫婦が真っ先に検討すべき保険商品とは?

11月はとてもおめでたい月です。例えば、婚姻届が多いのは11月と3月です。また、結婚式の件数では11月か10月が毎年トップ争いを繰り広げています。つまり、婚姻届と結婚式をあわせると、11月は1年で結婚が一番多い、おめでたい月だと言えるのです。ですから、結婚をきっかけにして、11月に生命保険に入ったり、見直したりする方も多いのではないでしょうか。でも、「愛するパートナーのため、手厚い死亡保険に入ろう!」とするのは得策ではありません。なぜなら、我々は「人生100年時代」を生きているからです。どういうことでしょうか?

今や「人生100年時代」という言葉は流行語のように見聞きしますが、その本質的な意味合いは「人生の長さだけでなく、人生の幅も拡大している」ということだと思います。特に、「人生の幅」というのは、良い意味でも悪い意味でも、たくさんの選択肢や可能性がある、とも言い換えられるでしょう。でも、それら全てに備えようとすると…、いくらお金があっても足らないですよね。ですから、「人生100年時代」への備えを考えるときは、ライフステージやライフスタイルに応じて、今、避けるべき一番大きなリスクが何かを考えて、必要なものに必要な額だけ保険を利用する、という姿勢が大切になるのです

それでは、新婚夫婦(子どもなし)に必要な保険について考えてみましょう。まずは共働きのケースです。仮にどちらかが亡くなったとしても、もちろん残されたパートナーは悲しみに暮れることにはなりますが、それでも、生活ができなくなる、ということはないはずです。実は共働き夫婦が一番困るのは、どちらかが大きな病気や事故で働けなくなることです。一方が働けなくなると、パートナーも仕事を休まざるを得ないこともあり、大幅に収入が減ってしまうリスクもあるのです。そんなリスクへの備えには、働けなくなった場合に生活費を保障してくれる「就業不能保険」に入っておくと安心です。つまり、共働き夫婦は「死亡保険」よりも「就業不能保険」を真っ先に検討する必要があるのです。

次に、パートナーが専業主婦(主夫)の新婚夫婦(子どもなし)について考えてみましょう。稼ぎ頭が亡くなれば、パートナーが生活に困るのは目に見えているので、まず「死亡保険」を検討すべきでしょう。また、「パートナーが死んだ後は、自分で働いて何とかする」という価値観を共有しているのであれば、その保障額は一生困らない金額ではなく、2〜3年分の生活費程度で十分だと思います。むしろ、「死亡保険」で節約した分を「就業不能保険」に回す方が安心感も増すはずです。

なお、「就業不能保険なんて聞いたことない」とおっしゃる方もいるかも知れません。日本ではメジャーな保険ではありませんが、アメリカやドイツでは社会人になったら「就業不能保険」に入るのが常識だと言われています。そもそも、この保険は、男性も女性もみんなが働く、という前提の社会で生まれた商品です。したがって、人生100年時代の処方箋として、夫婦共働きというライフスタイルがさらに浸透すれば、日本でも「就業不能保険」がもっとメジャーな存在になると思います。

  • ※こうした考え方を含め、今回のコラムでは、「生命保険とのつき合い方」(出口治明著、岩波新書)という書籍を参考にしました。生命保険のことを分かりやすく解説してくれる良書だと思います。

大和証券 確定拠出年金ビジネス部
2019/11/8作成

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