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将来お金に困らない大人になるために! 海外在住者に聞く、世界のマネー教育事情 (後編)


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    「将来お金に困らない大人になるために!海外在住者に聞く、世界のマネー教育事情」の後編では、アメリカの金融教育を参考に、お金について私たちが身につけておくべき考え方や、家庭でできる金融教育に関する取組みについて、前編に引き続き海外で暮らすAll About子育てガイドの長岡真意子さんと、ファイナンシャル・プランナーの二宮清子さんにお話をうかがいます。

    【前回はこちら】
    >>将来お金に困らない大人になるために! 海外在住者に聞く、世界のマネー教育事情 (前編)

    ●お聞きした方

    All About「子育て」ガイド 長岡 真意子さん

    アラスカ大学日本語講師&日本語文化センター子育て支援担当。5人の子育てを通し、モンテソーリ教育、シュタイナー教育、ギフテッド教育に携わる。
    大学講師から幼児教室主宰まで、幅広い年齢と文化背景をもつ乳幼児から青年までの育ちを20年間指導。国内外1,000以上の文献に基づく子育てコラムの執筆多数。主な著書は「敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本」(秀和システム)

    All About「家計簿・家計管理」ガイド 二宮 清子さん

    日本FP協会会員 ファイナンシャル・プランナー(AFP)。
    日本大学短期大学部卒業。家庭科の中学・高校教師として7年間勤務、その後自動車販売会社に入社し勤務。2011年1月独立系FP事務所「幸せマネープラン」開業。メディア掲載実績多数。

    お金について、身につけておくべき考え方は?

    金融教育でお金についての当事者意識が高まる

    アメリカの学校で行なう金融教育には、どのような効果があるのでしょうか。長岡真意子さんは「お金を稼ぐことや使うことに対して、主体性や当事者意識が高まる」と話します。

    「アメリカでは、例えば、課外活動で自分たちのチームが試合で勝ち進み、州大会や全米の大会に出場するような場合には、企業などへデモンストレーションを行なって寄付を募ったり、手作りのクッキーなどを売ったりして、交通費や宿泊費などを自分たちで稼ぎます。それも学生たち自身が主体となってお金を得る方法を考え、行動します。金融のしくみを学ぶことで、どうすればお金を稼いで生きていけるかを理解しているからだと思われます」(長岡さん)

    何らかのサービスを提供したなら、それに見合う対価を受取ることが当たり前と考える文化も浸透しています。

    「そのため、職場が支払う賃金が、自分が提供したサービスに見合わないと思えば、雇用主に対して賃金を上げるよう交渉を行ないます」(同)

    体験を通じてお金を稼ぐ大変さ、大切さを学ぶ

    家庭でも、親が毎月や毎週など定期的にお小遣いを与えるだけでなく、子どもがお手伝いすることでお金を得ている(お小遣いをもらっている)といいます。

    「自宅の庭で芝刈りなどをしてお小遣いをもらうだけでなく、子どもたちが道ばたでレモネードを売る、近所の家の雪かきや芝刈りを手伝う、中学生くらいになると近隣の家庭でベビーシッターをするなどして、労働の対価としてお金を得るとともに、生きる知恵を学ぶケースが少なくありません」(同)

    ただし、あらゆるお手伝いがお小遣いの対象というわけではありません。

    「それぞれの家庭によっても異なるとは思いますが、皿洗いや掃除など日々の家事のお手伝いにお小遣いが払われることはなく、『家族が助け合うことの大切さ』を自然と学ぶ機会になっているようです」(同)

    また、全米各地で盛んに行なわれている地域コミュニティーでのボランティア活動は、「無償」が徹底され、「地域で助け合う気運が醸成されている」といいます。

    アメリカでは、家庭や地域コミュニティーで、お金を稼ぐ場やタイミングと、無償で奉仕すべき場やタイミングについて、共通の認識が根付いているようです。

    お金の使い方にもシビアな目を持つ

    お金を稼ぐことの大変さや大切さを学ぶことによって、お金の使い方にもシビアな目を持つようです。

    「教育ローンなどを利用して自分で大学の学費を払う学生も多いからでしょうか。自分は授業料に見合う学びを得ているか、教師は自分たちが支払う授業料に見合う授業を提供しているのかなど、教育内容をシビアに判断しています。私が州立大学で教えていたときも、学生が非常に熱心かつ貪欲に勉強していることに感心するとともに、自分の授業がシビアに評価されていることも感じていたものです」(同)

    アメリカでは、子どもたち自身が資金調達の方法を考え、稼いだお金をどう使うかを主体的に考える習慣が根付いているようです。

    家庭での金融教育はいつから始めるのがいい?

    ところで、アメリカの家庭では、いつから、どのような金融教育を行なうのでしょうか。

    「アリゾナ大学の2018年の研究では、子どもは親の日常の姿勢からお金に対する意識を学ぶとしています。ウィスコンシン州大学の2015年の研究でも、家族間でお金について話し合いをしている家庭のほうが『ファイナンシャル・ウェルビーイング(経済的な幸福-「健やかに生活を送るために十分なお金を持っていること」「お金を健全に管理できること」で得られる安心感や幸福感)』が育つとしています。また、消費者金融保護局によるファイナンシャル・ウェルビーイングを実現するための『Money Milestone(お金のみちしるべ)』では、3歳から18歳の子どもが成長に応じて身につけるべきとされる金融能力が示されています」(長岡さん)

    長岡さんのお話にある「Money Milestone」では、下記のような内容が提示されています。

    欲しいものがあってもすぐ買わずにお金を貯めてから買うことや、お小遣いをやりくりして本当に必要なものを買うこと、運用は早く始めたほうがお金はふえやすいこと、税制優遇制度を活用して資産形成することなどは、日本の家庭でも親から子にぜひ伝えたい事柄です。

    「家計の状況を率直に伝えるとともに、子ども自身がお金を稼ぐ体験をすることで、お金の大切さを理解し、親への感謝の気持ちも生まれるでしょう」(同)

    今日から各家庭でできる金融教育とは?

    では、日本の家庭ではどのような金融教育の取組みができるのでしょうか。

    二宮清子さんは、「親子でお金を管理することや投資をすることの重要性を考えることなら、すぐにでもできます。例えば、子どもにも家計の状況をオープンにすることで、お金を稼ぐことの大変さやお金の大切さを伝えることができます」とアドバイスします。

    「日本の家庭では、子どもに『お金のことは心配しなくていい』と伝えることが少なくありません。親自身も同じことを言われてきたからでしょう。そのためか、大学に進学する際も、奨学金の手続きまで親が行なってしまい、子どもは卒業後社会人になってから、奨学金の返済額や何年かけて返済するかを知るというケースもあります」

    二宮さんはこう話します。奨学金を返済するのは、親ではなく子どもです。社会人になってから「こんなはずではなかった」とショックを受けないよう、高校入学後の早い段階で、お金の面も含めて親子で真剣に話し合い、進路を決めることが必要でしょう。

    「残念ながら日本では、少しずつ増えてきているとはいえ、アメリカに比べるとお金のことを学ぶ機会は多くはありません。ですが、大人になってからのお金での失敗は、信用問題にもかかわるため影響が大きい点は日本もアメリカも同じです。家庭内では、子どもが小さなうちから自分でお小遣いを管理させ、小さな失敗と成功を繰り返しながら、お金の管理やお金を貯めふやすことの大切さを学ばせることが重要ではないでしょうか」(二宮さん)

    人前でお金の話をすることを「はしたない」と考える風潮は、一朝一夕には変わらないかもしれません。ですが、前述の「Money Milestone」などを参考に、それぞれの家庭でできることから金融教育に取組むことは可能です。

    まとめ:お金の知識を身につけることで人生が輝く!

    お金について学び、金融リテラシーを向上させることで、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。

    長岡さんは「金融リテラシーが高まり、資産運用に関する政策や制度を理解できれば、将来資産が増えて豊かになれる可能性も高まる」と説明します。

    「お金に関する知識があれば、自分が欲しいものがあるときや挑戦したいことがあるときに、どうすればいいかが見えてきます。資産が増え、豊かになれば、自分の希望や夢を叶える力を手に入れることができるでしょう。そうなれば、人生をより謳歌できるはずです」(長岡さん)

    二宮さんは、「お金の知識は、自分と家族を守るために最低限持つべき、大切な知識」だと訴えます。

    「人生とお金はセットです。『こんな人生を送りたい』と思っていても、そのために必要なお金を準備できなければそれを実現することはできません。私は就職氷河期世代だったたこともあって、『親世代のような豊かな人生は送れない』と将来を悲観していた時期もありました。ですが、お金の知識を学んだことで、働いてお金を稼ぐことはもちろん、資産運用という手段があることを知り、未来に希望が持てるようになりました。人生が輝いたといってもいいでしょう」

    長岡さん、二宮さんは口をそろえて、「人生のいろいろな選択肢から、よりすばらしい人生を選ぶためにも金融リテラシーを高めることが不可欠」と強調します。しかも、それはそれほど難しいことではありません。

    アメリカの金融教育を参考に、今日からできることをあなたも始めてみませんか。

    取材・執筆 大山 弘子

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