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桐谷さんのおすすめ8選!交通機関や宿泊料の優待が受けられる旅行に役立つ銘柄


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    新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除され、旅行の計画を立てているご家庭は多いのではないでしょうか。株主優待銘柄の中には、航空券や鉄道の運賃やホテルの宿泊料金が値引きされたり無料になったりするなど、旅行に役立つ優待を用意している銘柄がたくさんあります。桐谷さんにおすすめを伺いました。

    ※本文中の株主優待情報は桐谷さんの経験に基づいたものであり、変更になる可能性があります。
    ※記事中の株価、利回りなどは全て2022年8月18日の終値で計算しています。
    ※優待内容は特に断りのない限り1単元(100株)保有の場合を記載しています。

    航空券や旅行商品が割引きになる銘柄

    日本航空(9201)日本航空(9201)

    ANAホールディングス(9202)ANAホールディングス(9202)

    「旅行に役立つ銘柄というと、移動手段(交通機関)の優待が受けられる銘柄と宿泊の優待が受けられる銘柄が思い浮かびます。移動手段では“空”“陸”“海”、つまり航空会社、鉄道会社、海運会社。宿泊ではホテルを運営する会社という視点から選びました」と桐谷さん。

    では“空”の航空会社から。

    「おすすめは皆さんもよくご存じの日本航空(9201)日本航空(9201)ANAホールディングス(9202)ANAホールディングス(9202)の2社です。新型コロナの影響により業績の先行きがまだ見通せないため、どちらも2022年度は無配当となっていますが、その分コロナ禍前と比較すると株価は低い水準にあります」(桐谷さん)

    日本航空の投資金額は24万円程度で、優待内容は2種類です。

    「国内線の片道運賃が50%引きになる『株主割引券』が年1回もらえます。グループ会社の日本トランスオーシャン航空(JTA)、琉球エアーコミューター(RAC)などの運賃も対象です」(桐谷さん)

    もう一つの優待品は、JALグループの指定旅行商品に利用できる「旅行商品割引券」。これも年1回で、国内旅行の分と海外旅行の分がそれぞれ2枚で、合計4枚もらえます。割引率は旅行商品により2~7%。割引券1枚で一緒に旅行をする家族全員分の旅行代金が割引きになります。

    「日本航空は2010年に一度経営破綻しています。当時、私は同社の株を大量に保有していて大損しましたが、その後は堅実な経営をしているとみています。今も同社の株を大量に保有していますよ。新型コロナの影響を受ける前は、2019年度の中間期、期末、2020年度の中間期と3期連続で55円ずつ(100株保有だと5,500円ずつ)配当が出ていたので、コロナが収束し復配してくれることを期待しています」(桐谷さん)

    次にANAホールディングス(9202)ANAホールディングス(9202)。投資金額は26万円程度で、半年に1度、国内線の片道運賃が優待割引になる「ANA国内線ご搭乗優待」が1枚、それからグループのホテルや旅行商品が割引きで利用できる優待クーポン18枚を冊子にまとめた「ANAグループ優待券」1冊がもらえます。さらに抽選ではありますが、株主限定で機体工場見学会への申し込みも可能なので、乗り物好きな小さなお子さんがいらっしゃるのでしたら、家族全員がハッピーになれる銘柄です。

    「ANAホールディングスの場合、搭乗優待券もグループ優待券も年2回もらえるのが魅力です」(桐谷さん)

    搭乗優待券は毎年5月と11月に発送され、有効期間は5月発送分が6月1日から翌年5月31日まで、11月発送分が12月1日から翌年11月30日までのそれぞれ1年間。12月1日から5月31日までは有効期間が重なっているので、この間に旅行をする計画を立てれば、2人分の片道航空運賃が優待割引料金で利用できることになります。

    鉄道運賃の割引きなどと関連施設の優待が受けられる銘柄

    JR九州(九州旅客鉄道)(9142)JR九州(九州旅客鉄道)(9142)

    JR西日本(西日本旅客鉄道)(9021)JR西日本(西日本旅客鉄道)(9021)

    京浜急行電鉄(9006)京浜急行電鉄(9006)

    鉄道会社の銘柄で桐谷さんがおすすめするのはJRの2社と私鉄1社です。

    「JRの中で上場しているのは、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州の4社ですが、投資金額と優待内容のバランスを考え、JR西日本とJR九州の2社を紹介します。それぞれの営業エリアである九州、西日本への旅行に役立ちます」(桐谷さん)

    JR九州(9142)JR九州(9142)は投資金額が28万円程度と上場するJR各社の中では最も手ごろで、優待内容は3種類。「鉄道株主優待券」が1枚、「JR九州高速船 株主優待割引券」が1枚、「JR九州グループ株主優待券」が2,500円分です。これらが年1回もらえます。

    1つずつ見ていきましょう。

    鉄道株主優待券はJR九州営業エリア内(九州7県)の1人分の片道運賃と料金が5割引きになるものです。片道運賃というのは片道乗車券のことで、料金は特急券、個室を除くグリーン券、指定席券のこと。「1枚で運賃と料金の双方を5割引きにできるので、JR九州管内で新幹線に乗ると、『乗車券+特急料金』が半額になります」(桐谷さん)

    JR九州高速船 株主優待割引券は、国際航路の「福岡-釜山間」を運航するクイーンビートルという客船のスタンダードクラスの往復運賃が、1人に限り特別割引で1万円になるというもの。「高速船の優待割引券については今年2月に拡充が発表され、国内航路の『福岡湾遊覧コース』と『サンセットコース』も対象になりました。運賃が1人に限り5割引きになります。旅の選択肢が増えますね」(桐谷さん)

    JR九州グループ株主優待券も魅力的だそうで、500円券が5枚、計2,500円分もらえ、JR九州グループの駅ビルや飲食店、ホテルなどで現金同様に使えます。旅先での食事やお土産を買ったりするのに役立ちそうです。

    九州に行かずとも使えるのがこちらの優待券のさらなる魅力で、「東京・新宿にあるJR九州が運営するホテルのレストランでも優待券が使えます。2度ほど自宅から自転車で訪れ、おいしいランチをいただきました。JR九州は配当利回りも年3%を超えるので、九州旅行をしなくても選択肢に入れたくなる銘柄ですね」(桐谷さん)

    続いてJR西日本(9021)JR西日本(9021)。主に本州の西半分、近畿・北陸・中国を営業エリアとします。

    投資金額は52万円程度と、少々値が張りますが、JR東日本の投資金額は70万円程度、JR東海は160万円程度ですから、まだ手が出しやすいほうです。配当利回りも年2%弱あります。

    優待内容は3種類で「株主優待鉄道割引券」が1枚、「京都鉄道博物館入館割引券」が1枚、冊子にまとまった「JR西日本グループ株主優待割引券」、これらが年1回もらえます。

    「株主優待鉄道割引券は営業エリア内の1人分の片道運賃(片道乗車券)+料金(特急券、個室を除くグリーン券、指定席券)が50%引きになるものです。JR九州の鉄道株主優待券と同様ですね」(桐谷さん)

    京都鉄道博物館入館割引券は1枚で2人まで入館料金が50%引きになります。家族全員分には足りないかもしれませんが、一般の入館料が1人につき1,200円(2022年7月時点)なので、パパとママが50%ずつ割引きを受ければ1,200円で2人入館できる計算です。

    「JR西日本グループ株主優待割引券は、グループのホテルで利用できる宿泊優待券やレストラン優待券などが冊子にまとまって大量に付いてきます。私の出身地である広島県にも対象になるホテルがあります」(桐谷さん)

    連結子会社である日本旅行の旅行商品も3~5%引きになったり、JR西日本レンタカー&リースの基本料金が20%引きになったりする優待も受けられ、旅行がお得に楽しめそうです。

    JRのほか、私鉄の銘柄の京浜急行電鉄(9006)京浜急行電鉄(9006)も旅行に役立つと桐谷さん。同社は東京都心と横浜や三浦半島を結ぶ鉄道会社です。

    「私鉄の銘柄というとその沿線の暮らしやレジャーに役立つ優待を提供しているところが多いのですが、京浜急行電鉄は羽田空港に関連した優待があるので、沿線に住んでいない方も使えるのではないでしょうか。投資金額も14万円程度となっています」(桐谷さん)

    優待内容は2種類で、電車やバスに無料で乗れる「電車・バス全線きっぷ」が年1回2枚もらえます。もう一つは「京急グループ施設株主優待割引券」をまとめた冊子で、こちらは年2回。割引券はグループが運営する各地の京急ホテルや葉山マリーナ、ゴルフ場などで利用できます。

    京浜急行の空港線には羽田空港に通じる「羽田空港第3ターミナル」「羽田空港第1・第2ターミナル」という駅があり、旅行で羽田空港を利用するときに「電車・バス全線きっぷ」が利用できます。

    クルーズ船やフェリーが優待料金で利用できる銘柄

    商船三井(9104)商船三井(9104)

    次は海運会社の銘柄をご紹介しましょう。

    「海運銘柄は新型コロナの影響がプラスに働き、株価が上昇したため、例えば日本郵船は100万円を超える投資金額が必要です。そのような中で商船三井(9104)商船三井(9104)は投資金額が37万円程度なので、手が届く方もいらっしゃるのではないでしょうか。配当利回りが年10%以上と非常に高いのも魅力です」(桐谷さん)

    商船三井は総合海運大手で、資源を運ぶ専用船や原油を運ぶタンカー、製品を運ぶコンテナ船などの事業を展開する会社です。優待内容はグループ会社が運航する「にっぽん丸」のクルーズ優待券2枚で、年2回(計4枚)もらえます。

    「優待券1枚で1クルーズ1人分の旅行代金が正規料金から10%引きされます。優待券を2枚同時に使うこともでき、その場合、20%引きとなりますよ」(桐谷さん)

    にっぽん丸のクルーズ船の旅は、国内の場合でもほとんどが1人10万円以上かかるので、10~20%の割引きが受けられるのはうれしいもの。

    「商船三井の優待は、以前はこれだけだったのですが、5月に拡充が発表され、2022年9月末時点以降の株主は、グループ会社のフェリーの大人1人分の運賃が5,000円割引きされるクーポン券も1枚もらえるようになりました。こちらは年1回です」(桐谷さん)

    対象になるのはグループ会社「商船三井フェリー」および「フェリーさんふらわあ」の共通ブランドである「さんふらわあ」のフェリー。商船三井フェリーは「大洗(茨城県)-苫小牧(北海道)」間、フェリーさんふらわあは「大阪(大阪府)-別府(大分県)」「神戸(兵庫県)-大分(大分県)」「大阪(大阪府)-志布志(鹿児島県)」間を運航しています。

    「対象のフェリーに乗って旅行したいという家族に向きますね。ただ、先ほどもお話ししたとおり株価が高くなっているので、こういう銘柄があるということを覚えておき、安くなったタイミングで買うのも手です。海運銘柄は市況の変化により大きく値動きする性質があるので、株価の見極めがより重要になります」(桐谷さん)

    ホテル宿泊料の優待が受けられる銘柄

    サムティ(3244)サムティ(3244)

    トーセイ(8923)トーセイ(8923)

    旅行代の多くを占めるのが宿泊料金。優待でいくらかでも負担が減れば、浮いたお金を旅行中の食事代などに回すことができそうです。

    「ホテル宿泊料金の優待が受けられる銘柄でまず取り上げたいのはサムティ(3244)サムティ(3244)。優待投資家の間でも人気で、もちろん私も持っています。配当利回りも年4%程度あります」(桐谷さん)

    サムティは不動産会社で、同社が関与するホテルに1人1泊できる無料宿泊券(素泊まり)が年1枚もらえます。

    「対象になるホテルは、かつては東京と大阪に1カ所ずつだったのですが、拡充された今は16カ所あり(※)、使い勝手が向上しています。16カ所のうち無料宿泊券1枚で利用できるホテルは東京、大阪、名古屋、京都、広島、福岡などに9カ所。週末や祝日などでも空きがあれば泊まれます」(桐谷さん)

    ※拡充により全18カ所になったが、うち2カ所は新型コロナ感染症の療養施設に指定されているため、無料宿泊券で利用できるのは2022年8月19日時点で16カ所。

    ただしサムティの場合、優待を受けるのに必要な保有株数は通常の1単元(100株)ではなく2単元(200株)なので要注意。投資金額は43万円程度必要になります。

    「ちょっとお金はかかるのですが、1人分とはいえ無料でホテルに宿泊できるのは非常にうれしいですね。私は昨年、講演で大阪と福岡を訪れた際、それぞれエスペリアイン大阪本町、エスペリアホテル福岡中洲に無料宿泊券で泊まりました。どちらも新しく快適でしたよ」(桐谷さん)

    無料宿泊券を利用するときには電話予約が必要です。「そのときの応対がとても親切で感じがよいことにも好感を持っています」(桐谷さん)

    手ごろな金額で投資できる銘柄もご紹介しましょう。

    「不動産会社のトーセイ(8923)トーセイ(8923)ですね。投資金額は13万円程度なので手が届きやすいと思います。配当利回りも年3.5%程度となっています」(桐谷さん)

    同社は東京を中心に事業を展開。「TOSEI HOTEL COCONE」(トーセイホテル ココネ)というホテルブランドを開発し、東京を中心に同ブランドのホテルを6カ所(神田、上野、浅草蔵前、上野御徒町、浅草、鎌倉)運営しています。また、千葉県で「トーセイホテル&セミナー幕張」というホテルも運営しています。

    「これらのホテルで使える3,000円分の宿泊割引券が年1回もらえます。親子3人が浅草で宿泊した場合、平日なら3人で1泊6,000円くらいなので、3,000円の割り引きは結構大きいですね。ホテルの立地は主に東京の上野や浅草のあたりが中心ですから東京観光などに向きます」(桐谷さん)

    さらに長期保有するとQUOカードの優待も加わります。

    「1年以上の保有で1,000円分、2年以上の保有で2,000円分、5年以上の保有で3,000円分のQUOカードが年1回もらえるようになります。5年以上保有すると宿泊割引券3,000円分+QUOカード3,000円分=6,000円分の優待がもらえますからかなりお得ですね」(桐谷さん)

    今回は旅行に役立つ8銘柄を桐谷さんに紹介してもらいました。気になった銘柄はありましたでしょうか?

    「優待を目的に株式投資を始めたばかりであれば、できれば5万~10万円程度で買える銘柄がいい、とお考えの方も多いでしょう。その意味では今回挙げた旅行系の銘柄は投資金額が高めなのですが、株価の値動きを見ながら検討してみていただきたいですね。また、京浜急行電鉄、トーセイなど10万円台で買える銘柄もあります。それぞれの優待内容を踏まえ、家族の旅行プランと投資に充てられる予算に合わせて銘柄選びを考えましょう」(桐谷さん)

    (文/萬真知子 撮影/木村輝)

    ※本文中の銘柄は、記事のテーマに基づき桐谷さんが選定したものを掲載しています。
     投資に関する決定は、銘柄選定を含め最終的にはご自身の判断でなさいますようにお願いいたします。
    ※大和証券グループは、サムティ(3244)について株式等を合計5%超保有しているとして大量保有報告を行なっています。(2022年7月29日現在)

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