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アナリストの目線でホームセンターを“ぶら散歩”!そこから見えた注目銘柄は?


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    住宅関連用品や日用雑貨、園芸用品、ペット関連用品など、さまざまな商品が数多く並ぶホームセンターは、売り場を見て回るだけでもわくわくするもの。そんな店内をアナリスト目線で巡ってみたら、世の中のトレンドや、今まで気づかなかった魅力のある企業が見えてくるのではないでしょうか。アナリストの横山利香さんがホームセンターを“ぶら散歩”しながら、関連業種をチェックし、注目の銘柄について解説します。

    ●お聞きした方

    横山利香さん

    国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー、相続士。自身の投資体験を元に株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行なう。All Aboutでは「投資をはじめてみよう」ガイドをつとめる。著書に『リスクが嫌いな人のお金の教科書』(WAVE出版)他多数。

    ホームセンター業界の業績動向は?お客さんは増えている?

    銘柄のお話をする前にまず、ホームセンター業界の業績や消費者動向はどのような状態なのでしょうか。

    「新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの人がテレワークや自宅学習を余儀なくされました。行動自粛によって“巣ごもり”を強いられ、これまでよりも在宅時間が増えたことから『自宅の生活環境を向上させたい』と考える人が増えました。その結果、ホームセンター業界は市場規模を拡大させました」

    All Aboutで「投資をはじめてみよう」ガイドをつとめる、アナリストの横山利香さんは、ホームセンター業界の動向をこう説明します。

    ホームセンター業界では、ここ20年ほど売上高が横ばいの状態が続いていました(図表1)。

    ところが、2020年に売上高が拡大し、4兆円を突破。21年は減少したものの、売上高は4兆円を超えた状態を保っています。

    かつてはホームセンターというと、住宅関連用品やDIY用品、生活雑貨を取扱うお店というイメージがありました。

    「ですが、例えば、ドラッグストアが一般用医薬品や処方薬に加えて、スーパーなどでも取扱う生活雑貨や食料品などへと商品を拡大してきたように、ホームセンターでもガーデニング用品やペット用品など、取扱商品を広げています(図表2)」

    アナリストの横山さんがホームセンターをぶら散歩、チョイスした商品とは?

    それでは、横山さんにホームセンターをぐるっと回ってもらい、気になった商品を挙げていただきましょう。

    「おうち時間を楽しく、快適に過ごしたいと考える人が多くなったからでしょうか。売り場の様子やお客さんの動きから、DIY用品が人気のようです」と横山さん。今回、注目した商品の1つ目は、壁紙です。

    「壁紙を替えると、お部屋の雰囲気ががらりと変わりますよね。そう考える人が多いからでしょうか、糊やシールがついていて、手軽に張り替えられる壁紙が売れています。」模様替えをしたいけど予算が限られている場合には、壁紙を張り替えることで支出を抑えつつ、がらりと雰囲気を変えることができそうです。人気があるのも納得できます。

    「2つ目の商品は、ホーム用電動工具です。DIYを本格的に楽しみたい人にとっては、ホーム用の電動工具は不可欠です。『かなりのDIY好きだろうな』と思われる方々が、店員さんの説明を聞いたり、商品をチェックしたりしていました」

    横山さんが3つ目に挙げたのは、ガーデニング関連の商品です。先ほども触れましたが、コロナ感染拡大以降、ホームセンターではガーデニング用品が売れ筋商品になっています(図表2)。

    「ずっと自宅で仕事をしていると、ふと癒やしがほしくなりますよね。そんなときに植物が目に入るとホッとします。そのためか、最近、ホームセンターではガーデニング関連の売り場が人気スポットになりつつあります。観葉植物も人気ですが、自宅の庭やベランダでも育てられる家庭菜園関連の商品も売れているようです」

    ガーデニング関連では、殺虫剤や除草剤なども要注目だといいます。

    「庭の手入れをしていると蚊などの虫が寄ってきがちですから、虫除けは必需品です。また、植物の生育のためには、殺虫剤や除草剤などが必要な場面もあります。ガーデニング人口が増えたことで、関連するものとしてこれらの商品も注目を集めているようです」

    コロナ禍で3密を避けてレジャーを楽しむ方法として、キャンプや釣りなどのアウトドアも急速に人気が高まりました。

    「アウトドア関連商品は、全体に好調です。聞くところによると、キャンプのときだけでなく、在宅でキャンプ料理を楽しむ人もいるのだとか。野外はもちろん、自宅でも使える調理家電や調理器具の需要も高いようです。アウトドアとは関係ありませんが、おうち時間が増えたことで手料理を楽しむ人も増えたため、高級料理家電も売れていると聞きます」

    コロナ禍で、ペットを飼う人が増えたとも言われます。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2020年、2021年は、コロナ前の2019年に比べて、犬猫ともに「1年以内新規飼育者」の飼育頭数が増えているそうです。

    ※「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査結果」一般社団法人ペットフード協会

    「自宅で過ごす時間が長くなり、ペットを飼う人が増えたことで、ホームセンターでもペット用品が充実しています」

    ちなみに、前出の飼育実態調査によると、コロナ後に犬を飼い始めた人は「心穏やかに過ごせる日々が増えた」、猫を飼い始めた人は「毎日の生活が楽しくなった」という影響があったとか。かわいいペットのためなら、お金を惜しまない人も少なくなさそうです。

    アナリストの目に留まった銘柄を紹介!

    “ぶら散歩”で見つけた商品から企業名を知り、投資してもよい企業かどうかを見極めるためは、どうすればいいのでしょうか。横山さんは、「お店に何度か足を運んで、売り場が拡大するなどの変化が起きていないか、特設コーナーの商品に変化がないかなどを確認することが大切」とアドバイスします。

    「売り場の面積が増えている商品や、変わらず特設コーナーに置かれている商品は、売れ続けている商品といえます。また、実際にそれらが買われているか、ほかの買物客にも目を向け、様子を見てはいかがでしょうか。人気の商品であることが確認できたら、実際に商品を手に取ってどこの会社の商品なのかを確認します。その後、会社のホームページでIR情報と業績をチェックしましょう」

    それでは、横山さんがホームセンターの“ぶら散歩”で注目した商品の関連銘柄を教えてもらいましょう。

    【注目の銘柄5選】

    企業名 注目商品 事業概要(※) 銘柄の注目理由 株価(※)
    アース製薬(4985) アース製薬(4985)
    東証プライム
    除草剤や殺虫剤 1892年創業の虫ケア用品(殺虫剤)で国内首位の企業。園芸用品やオーラルケア、入浴剤などの日用品も展開。大塚製薬グループで、傘下にバスクリンや白元がある。
    • ガーデニングをする人が増えているため、草花への除草剤が必要になります。また、虫よけのために殺虫剤も不可欠です。虫ケア用品は、気候に左右される面もあるものの、日本はもちろん海外でも着実に業績を伸ばしていることに注目しています。
    • 巣ごもりの影響で、家庭用品需要も順調に推移していることも注目ポイントです。
    5,390円
    象印マホービン(7965) 象印マホービン(7965)
    東証プライム
    ステンレスマグ 炊飯ジャーや電気ポットなどの調理家電、ガラスマホービンやステンレスボトルなどのリビング用品、空気清浄機や加湿器などの生活家電の専業メーカー。海外売上比率が約3割。1918年創業の“100年企業”。
    • 自宅で仕事をする人やアウトドアを楽しむ人の増加により、保温、保冷、エコの需要が高まり、マイボトルが人気を集めています。ステンレスマグは、その代表格と言えます。
    • 一時は緊急事態宣言や外出自粛要請の影響で販売活動に制約はあったものの、巣ごもりの影響で日本をはじめ世界各国で調理家電の売上は好調に推移していることも要注目です。
    1,508円
    サンゲツ(8130) サンゲツ(8130)
    東証プライム
    のりつき(シールつき)壁紙 インテリア商社の最大手企業。1849年創業の表具店山月堂が原点。年間の壁紙出荷量は地球約9.6周分。壁紙の国内シェアは50%を占める。カーテンや床材にも強みを持つ。
    • DIYの人気が高まるなか、手軽にお部屋の雰囲気を変えたい人からの、同社ののりつき(シールつき)壁紙の人気が高まっています。
    • 壁紙や床材などインテリア関連製品の売上が堅調だったことから、住宅市場が堅調な様子がうかがえます。
    1,625円
    サカタのタネ(1377) サカタのタネ(1377)
    東証プライム
    ガーデニング用品(タネ、苗) 世界170カ国で事業展開する種苗会社。グローバルな種苗市場でブロッコリーの65%、トルコキキョウの70%など圧倒的なシェアを持つ。毎年、数多くの新商品を開発している。
    • ガーデニングの人気が高まるなか、観葉植物を家に置くだけでなく、苗や種を購入して最初から育てたり、家庭菜園で野菜を育てる人も増え業績に影響しています。
    • 海外卸売事業ではほぼすべての国と地域で多くの品目が好調に推移しています。足元の業績は堅調な推移が期待されます。
    4,920円
    山善(8051) 山善(8051)
    東証プライム
    調理家電 工作機械や産業機械、機械工具などの「生産財」と、住宅設備機器、家庭機器などの「消費財」の専門商社。売上の6割を生産財関連が占める。
    • コロナ禍でおうち時間と自宅で食事する機会が増えたことから、軽量かつ内鍋を外して丸洗いできる電気グリル鍋や、鍋としてもホットプレートとしても利用できる着脱式のホットプレートなどの調理家電の売れ行きが好調です。
    • 自宅の片づけをする人も多かったことから、収納グッズや片づけグッズも人気を集めています。またプライベートブランド商品の開発にも注力しており、消費者ニーズを捉えた商品開発とラインアップの拡充が期待されます。
    1,023円

    (※)株価などはすべて2022年8月1日の終値で計算しています。
    (※)事業概要は大和証券株式会社HPなどよりSODATTE編集部作成

    「売り場に多くのお客さんが集まっていたり、カゴに入れているお客さんが多い商品は、ほぼ間違いなく売れ筋です。これは有望銘柄を探すうえでの重要なヒントと言えます」

    同じような商品群に注目商品が複数ある場合には、「それぞれの企業のホームページで、売上などを確認、比較したうえで、買うべき銘柄を絞り込む」ことが大切だと横山さん。

    「それでも迷ったときには、身近な人や知り合いなどが、どちらを選ぶのかを聞いてみるといいかもしれません。自分では気づかなかった、意外な発見があるかもしれませんよ」

    取材・執筆 大山 弘子

    ※本文中の銘柄は、記事のテーマに基づき横山利香さんが選定したものを掲載しています。
     投資に関する決定は、銘柄選定を含め最終的にはご自身の判断でなさいますようにお願いいたします。

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