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アナリストの目線でスーパーマーケットを“ぶら散歩”!そこから見えた注目銘柄は?


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    私たちの生活に必須といえるスーパーマーケット。生活に身近なさまざまな企業の商品がありますよね。実は普段足を運んでいるスーパーマーケットの中にも、投資のヒントがちりばめられているかもしれません。そこで今回は、アナリストと一緒にスーパーマーケットを“ぶら散歩”。どんなトレンドや企業が見えてくるのでしょうか。食品関連の企業から、意外な注目銘柄についても具体的に伺っていきます。

    ●お聞きした方

    横山利香さん

    国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー、相続士。自身の投資体験を元に株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行なう。All Aboutでは「投資をはじめてみよう」ガイドをつとめる。著書に『リスクが嫌いな人のお金の教科書』(WAVE出版)他多数。

    アナリストの横山さんがスーパーマーケットをぐるり!チョイスした商品は?

    ではさっそく、All Aboutで「投資をはじめてみよう」ガイドをつとめる横山利香さんに、スーパーマーケットをぐるっと歩いていただきます。

    まずは食品業界における消費者の傾向や、着目すべきポイントについて教えてください。

    「コロナ禍による内食需要の影響で、自宅での調理ニーズが高まり、生鮮食品や調味料などの売上が増加しました。また加工食品や冷凍食品など、利便性や備蓄に適した商品のニーズも増えています。通っているスーパーマーケットで、調味料売り場や冷凍食品売り場が拡大したという声も聞かれますね。よく売れる商品は販売面積が大きくなったり、目立つところに置かれたりするので、飲食料品での流行をいち早く見つけられ、投資銘柄の参考にできる可能性があります」と横山さんは話します。

    では、気になった商品について教えていただきましょう。

    「まず、冷凍食品売り場にある『大阪王将 羽根つき餃子』は人気ですね。フライパンのフタをせずに、羽根つき餃子が焼けるタイプが流行していますが、大阪王将というなじみのある商品は、消費者にとっても安心できるのではないでしょうか」(横山さん)

    「また、グラノーラの販売面積も増えている印象です。種類も多様化していますね。コロナ禍で健康志向が高まっており、朝食に活用している方も多いと思います。多くの企業が参入しているほか、各スーパーマーケットのプライベートブランド商品も開発されており、消費者のニーズが高いことが窺えます」(横山さん)

    「気軽に食べられるプロテインバーも話題です。コロナ禍で運動不足を感じている人におすすめの商品です。最近は大豆ミートなども広がりをみせていますので、大豆関連食品にも要注目です。コロナ禍が落ち着くと、多くの人々が行動的になるという予想もあり、さらに健康ブームが高まることが期待できます」(横山さん)

    「それから、簡単に調理ができる“ミールキット”にも注目しています。日本は人口が減少し、コロナ後は労働力不足が顕著になると言われています。家事や育児と仕事の両立のため、調理時間の短縮ニーズはますます増えていくのではないでしょうか。宅配で利用している声も多く聞きますね」(横山さん)

    「魚介系のお惣菜も、最近見かける機会が増えてきており要チェックです。魚料理は調理に手間がかかりがちですが、お惣菜ならすぐに食べられるのが魅力です。また、魚の缶詰も最近は種類が豊富で、備蓄用を兼ねてまとめ買いする、という方も多いようですよ」(横山さん)

    「麺売り場では、流水麺が目を引きますね。水にさらすだけで食べられるタイプは、最近よりおいしくなりましたし、お湯を沸かす手間も不要で、洗い物が減り、共働き家庭や子育て中のパパ・ママの調理負担を軽減してくれる点も魅力です。流水麺を販売しているシマダヤは、親会社がメルコホールディングスですが、メルコホールディングスの利益の大半を占めるのがIT関連で、IT関連の業績も伸びているので要注目です」(横山さん)

    アナリストの目に留まった食品関連銘柄を紹介!

    実際にスーパーマーケットで見かけた気になる商品から注目銘柄を導き出すために、アナリストはどんな点に着目しているのでしょうか。

    「例えば、“商品名はよく聞く名前でも、メーカーが有名でないケース”もありますよね。その場合は企業のホームページを見て、どういった企業なのか調べてみましょう。投資家向けのページで、業績が好調か等もチェックしてみてください」と横山さん。

    そこで今回は、横山さんが実際にスーパーマーケットで注目した商品の関連銘柄を挙げていただきました。

    【注目の食品銘柄6選】

    企業名 注目商品 事業概要(※) 銘柄の注目理由 株価(※)
    イートアンドホールディングス(2882) イートアンドホールディングス(2882)
    東証プライム
    冷凍餃子 中華惣菜を中心とする冷凍食品の製造・販売および日常食を中心とする外食チェーン展開が主な事業。
    • 大阪王将ブランドの冷凍食品のほか、おいしい冷凍ラーメンなども人気で、冷凍食品の技術進化には驚くばかりです。
    • 大阪王将は餃子や中華料理が有名ですが、最近はパン等の商品にも業務を拡大中です。コロナ後は多くの人の生活スタイルが変わると思いますので、新たな業態が軌道に乗っていることが確認できれば投資先としても有望なのではないでしょうか。
    2,463円
    日清食品ホールディングス(2897) 日清食品ホールディングス(2897)
    東証プライム
    グラノーラ 即席めんを主とするインスタント食品の製造および販売を中核として、その他食品事業、物流業等の周辺事業へも展開。
    • カップ麺が主力の同社ですが、グラノーラや湖池屋のポテトチップス、ピルクルなど、複数の人気商品を扱っているのが魅力。例えば洪水などの不可抗力で工場が操業停止するなど、特定の商品で問題が発生した場合などにおいて、リスクを分散できます。
    • 日本国内では人口が減少していますが、人口が増加している海外への展開も見られ、売上の増加が見込めるので、投資対象として安心感がありそうです。
    9,790円
    森永製菓(2201) 森永製菓(2201)
    東証プライム
    プロテインバー 主に菓子、冷菓、ゼリー飲料等の食料品製造、食料卸売、不動産およびサービスなどを営む。
    • 同社の健康部門は、2021年3月期に比べて、2022年3月期に売上高や営業利益を大きく伸ばしています。米国事業も好調の様子です。
    • 例えばサラダチキンが、健康ブームに乗って総菜だけでなくおやつとしての地位を獲得したように、プロテインバーも健康補助食品から、おやつ等一つの食べ物カテゴリとしての地位が確立されることが期待され、さらなる販売の拡大につながるのではないでしょうか。
    4,265円
    デリカフーズホールディングス(3392) デリカフーズホールディングス(3392)
    東証スタンダード
    ミールキット 外食・中食産業向けのホール野菜の販売、カット野菜の製造・販売のほか、物流事業、研究開発・分析事業を行なう。
    • 一家族あたりの人数が減っているほか、高齢者の増加により、家庭における調理時間や食事時間は減少傾向にあります。調理野菜、調理済み食品は時代にマッチしているのではないでしょうか。
    • 今後も共働き家庭が増えていくと予想されます。仕事と家事の両立という観点から、同社BtoC事業であるミールキットの需要は増えていくのではないでしょうか。値段がもう少し下がれば、さらに多くの人が利用するのではないかと期待しています。
    510円
    STIフードホールディングス(2932) STIフードホールディングス(2932)
    東証スタンダード
    魚介系缶詰、加工品 主にコンビニエンスストア向け水産惣菜、水産原材料を使った缶詰・レトルト製品等の製造・販売を行なうほか、コンビニエンスストア向け水産食材を惣菜メーカー向けに製造・販売。
    • 売上・利益ともに堅調に推移しています。魚介系の惣菜や缶詰等が主力商品で、味がおいしい点が支持されているのではないでしょうか。
    • 現在は、コンビニ向けの商品が中心になっていますが、今後さまざまな販売ルートに展開できるようになれば、業績の拡大が期待できるでしょう。そのためには、自社工場の拡張が必要にはなりそうです。また、魚介の食べ方は焼き魚のイメージが定番ですが、新たな魚文化や魚の食べ方を提案できれば、売上増が期待できます。
    2,407円
    メルコホールディングス(6676) メルコホールディングス(6676)
    東証プライム
    流水麺 アドテクノロジーを使い、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化させる配信プラットフォームを提供。
    • 同社は利益の大半を占めるのがIT関連。生活に必要不可欠ともいえるWi-Fi等のIT技術は日々進化しており、同社の業績もITの進化とともに順調に推移するのではないでしょうか。また、食品事業では子会社であるシマダヤの流水麺の売上増加にも期待です。
    • コロナ禍では在宅ワーク需要で株価が上昇しましたが、現在は少し落ち着いています。再び株価が上昇するためには、コロナ禍という一過性のものではなく、好調な業績を継続して維持できるかにかかっています。今後も業績好調が続くことが確認できれば、投資対象として検討できると思います。
    3,550円

    (※)株価などはすべて2022年8月1日の終値で計算しています。
    (※)事業概要は大和証券株式会社HPよりSODATTE編集部作成

    普段の生活も投資家目線で見ると新たな発見があるかも!?

    スーパーマーケットには、投資先として注目したい銘柄のヒントがたくさんあることが分かりました。では、私たちがスーパーマーケットを歩くときに、チェックすべきポイントとは?

    スーパーマーケットを訪れて買い物をすることは、その時々の物価に触れることができることがメリットだと横山さんは言います。

    「商品を見ながら『天候不良で〇〇の値段が上がったな』、『見た目は変わらないけど、〇〇の中身がいつの間にか少なくなっている』といった具合に物価の変化を確認しましょう。人気商品があれば、いずれ企業の好業績につながる可能性がありますし、商品の価格から、経済の動向を感じることができるでしょう」(横山さん)

    株式というと、数字をじっくり読み込むことが重要だと思い込んでしまいがちですが、その数字の元となるのは、私たちの身の回りにあるそう!

    「企業の業績を数字で見ることも大事ですが、その数字を作っているのは私たちの“消費”です。私たちの周りで何が流行っているのか、常にアンテナを張り巡らせておくことで人気商品を見つけることができるようになります。ぜひ、明日から生活のすみずみに目を光らせて、投資にも役立ててみてください」(横山さん)

    取材・執筆 西山 美紀

    ※本文中の銘柄は、記事のテーマに基づき横山利香さんが選定したものを掲載しています。
     投資に関する決定は、銘柄選定を含め最終的にはご自身の判断でなさいますようにお願いいたします。

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