マネーレッスン

増加するサイバー犯罪、一層重要性が増す「サイバーセキュリティ」関連の注目銘柄は?


    • Facebook
    • Twitter
    • Hatena
    • Line

    情報化社会が進んだ現在、企業や政府、そして個人はサイバー攻撃とデータ漏洩の危険にさらされています。2021年の日本の被害額は320億円という推計(※1)があり、今後この被害額はさらに増加すると予想されています。さまざまな場面でインターネットの利用が当たり前になり、被害のリスクは私たちの身近にあります。今回は、サイバー攻撃を防ぐ「サイバーセキュリティ」の現状と今後の展望、そして注目銘柄についてそれぞれの専門家にお話を伺いました。

    ※1参考
    ノートン サイバー犯罪調査レポート2022 日本の消費者のサイバー犯罪被害額は推定約320億円 前年より約100億円増加

    ●お聞きした方

    水谷哲也さん

    中小企業のIT導入・活用支援コンサルタント。大阪府よろず支援拠点、三重県よろず支援拠点、商工会議所などでの累積相談件数が5,000件以上。三重大学、京都橘大学などで情報処理教育を担当。All About「企業のIT活用」ガイドとしても活躍中

    藤本誠之さん

    「相場の福の神」と呼ばれるマーケットアナリスト。年間400社を超える上場企業経営者とのミーティングを行ない、個人投資家に真の成長企業を紹介している。ラジオの看板番組に加え、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多い。All About「株式」ガイドとしても活躍中

    サイバーセキュリティって?なぜ注目されているの?

    インターネットが生活のインフラになっている現代。小学校でもプログラミング教育が始まっており、ITがますます加速していくのは間違いないでしょう。

    「その際に、忘れてはならないのがセキュリティの問題です。身近なところでは、私たちのパソコンにもウイルス対策ソフトなどが入っていますよね」と、中小企業のIT導入・活用支援コンサルタントの水谷哲也さんは話します。

    「ノートンやマカフィーに代表されるウイルス対策ソフトは、コンピュータウイルスがパソコンに侵入するのを防ぎ、データの破壊や情報の漏洩からコンピュータを保護してくれます。昔からあるソフトですが、日々進化するウイルスに対応するため、現在は『ウイルスらしい振る舞いをするか』というチェックの形に進化しています」(水谷さん)

    セキュリティソフト以外では、以下のようなサービスも。

    「例えば、企業向けのサイバーリスク保険(個人情報漏洩保険)は、いろんな保険会社が商品化しています。他にも、サイバー攻撃のシミュレーションを行なって弱点をあぶりだすサービスがあったりします。

    また、セキュリティソフトはパソコンにだけ設定すればよいというわけではありません。サーバや、データを送受信する複合機にもセキュリティの設定・チェックが必要です。これらのサービスに家電メーカーや家電量販店も参入しています」(水谷さん)

    データ漏洩は年々増えていると水谷さんは指摘します。

    「年々増えているデータ漏洩ですが、その原因は“メール誤送信”など、人的ミスが多い点は昔から変わりません。最近はコロナ禍で在宅勤務やテレワークが増えたことで、さらに漏洩リスクが高まっている状況です。

    2022年4月に個人情報保護法が見直されました。個人データの漏洩等が発生した場合、個人の権利利益を害するおそれがあるときは、個人情報保護委員会への報告および本人への通知が義務化され、報告義務違反は50万円以下の罰金となります。罰則規定ができたことで、報告件数も増えていくでしょう」(水谷さん)

    さらに「サイバー攻撃」というキーワードも、私たちが耳にする機会が増えています。

    「国家レベルの“サイバー戦争”という言葉も耳にしますよね。実は、一般に公開されているウェブサイトは“サーフェースウェブ”と呼ばれ、ウェブ全体の1%ほどしかありません。実は残りの99%は、“ディープウェブ”と呼ばれる、私たちが表から見えないサイトです。

    ディープウェブのなかには、特殊な方法でしかアクセスできない領域(ダークウェブ)も存在し、違法な個人情報が売買されるケースも多々あります。サイバー攻撃はビジネスにもなっており、ハッカーの年収は100万ドル以上とも言われます。

    とはいえ、サイバー攻撃は、攻撃を受けていることに気づかない企業もあります。大阪商工会議所が東京海上日動、神戸大学の協力のもと中小企業30社で2018年から2019年にかけて4カ月間の実証実験を行なったところ、30社すべてで不正な通信がありました。一部の企業では、攻撃によって実害を受けていた企業もありました。気づいていないだけで、サイバー攻撃を受けている可能性は非常に高いので注意が必要です」(水谷さん)

    サイバーセキュリティの現状と課題とは?

    データ漏洩やサイバー攻撃の話を聞くと、PCやサーバを守ることを考えがちですが、「最近はその範囲は多岐にわたっているんですよ」と水谷さん。

    「例えば、防犯用カメラをほったらかしにしていると、カメラを外部から操作され、ネット経由で攻撃を受ける恐れがあります。

    Instagramなどで写真をアップする際なども注意が必要です。写真ファイルにはEXIFという情報があり、何気なくアップしたものでも、実は位置情報などの個人に関する情報が含まれているケースがあるからです。

    また、宅配業者や金融機関、ショッピングサイトなどを装ったフィッシングメールが増えていたり、SNSの乗っ取りも日常的に行なわれています。否が応でもセキュリティに気を付けなければならない時代です。

    さらに、最近話題になりましたが、サプライチェーン攻撃の事例もあります。セキュリティがしっかりしているトヨタではなく、トヨタの取引先が狙われ、そこから上流への攻撃が行なわれたことにも要注目です。病院がランサムウェアにやられて診療がストップしたケースもありましたが、通院している病院でそんな事態になったら大変ですよね」(水谷さん)

    セキュリティ対策の重要度が増している現状ですが、一方で課題もあるといいます。情報処理推進機構の『「2021年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書について』によると、過去3期において「IT投資」「情報セキュリティ投資」を行なっていない企業はともに約3割と報告されています(※2)

    ※2 参考
    「2021年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書について

    「セキュリティ対策は“コスト”が発生しますので、コストをかけたくないという心理が働きがちです。ですが、万一被害を受けたときの金額が大きいので、今後は企業もコストをかけざるをえなくなるでしょう。

    IoTが加速していますが、アメリカで自動走行車の乗っ取りが起こったように、接続する機器が増えれば増えるほど脆弱性は高まります。対策として、さらに高度なセキュリティが求められます。

    個人でもITにかかわる機会がますます増加します。オンライン通販での買い物、在宅勤務やオンライン会議などにより、サイバーセキュリティについての重要度が増しています。銀行システム等も含めて、社会のインフラから変わる大きな転換期がくるといえるでしょう」(水谷さん)

    サイバーセキュリティ関連の注目銘柄は?

    今後ますます重要度が高まるであろう、サイバーセキュリティ。「相場の福の神」こと、マーケットアナリストの藤本誠之さんは「意識の高い大企業中心にサイバーセキュリティの需要が増していて、今後取引先等に拡大することが見込まれます」と指摘します。

    「大企業がサイバー攻撃に遭い、一日工場が停止となれば、莫大な売上・利益が失われます。長期間になれば、企業の存続の問題にもなりえます。そのため、大企業が自社でサイバーセキュリティ対策を行なうのはもちろんのこと、取引先にも同水準の対応を要求し、それをチェックすることが広がっていくでしょう。

    これまでは、コストがかかるために対策の導入に消極的だった企業も、取引先に対応を迫られれば、導入せざるを得ないはずです。その派生効果により、サイバーセキュリティ業界は、大きく拡大することが予想されます」(藤本さん)

    では、サイバーセキュリティに関連する企業への株式に投資するのはどうでしょうか。

    「業界としては拡大の期待ができますが、サイバーセキュリティ関連は期待が高まりやすく、中・長期的な将来性がある企業でも株価の変動性が大きくなる場合もあります。定期的に株価の値動きをチェックすることをおすすめします」(藤本さん)

    さっそく、藤本さんが注目するサイバーセキュリティ関連銘柄について教えていただきました。

    【サイバーセキュリティ関連銘柄5選】

    企業名 事業概要(※) 注目理由 株価(※)
    ソリトンシステムズ(3040) ソリトンシステムズ(3040)
    東証プライム
    オリジナルのITセキュリティ製品の開発・販売をはじめとする情報技術(IT)セキュリティ事業のほか、コンテンツ配信サービス等映像コミュニケーション事業およびエコ・デバイス事業を行なう。 「日本で初めて……」に数多くチャレンジし、独自技術でさまざまな製品・サービスを提供し続けてきた企業です。コロナ禍により「テレワーク」「GIGAスクール構想」が追い風になり、ネットワークのインフラ構築・セキュリティが好調で、しばらく好業績が期待できます。
    さらに、独自の映像伝送技術を活用した「遠隔型自動運転システム」にも注力。「乗用車の自動運転」「遠隔医療」「遠隔工場稼働」など活用分野は非常に広く、成長が期待できます。
    1,208円
    サイバーセキュリティクラウド(4493) サイバーセキュリティクラウド(4493)
    東証グロース
    人工知能(AI)技術を活用したWebセキュリティサービスの開発・サブスクリプション提供や、サイバー攻撃の研究およびリサーチ、AI技術の研究開発を行なう。クラウド型Webアプリケーションファイアウォール(WAF)「攻撃遮断くん」、AWS WAFのルール自動運用サービス「WafCharm」、AWS WAFのManaged Rulesなどの製品がある。 最先端のAI(人工知能)技術と、サイバー攻撃で脅威があった過去データの蓄積と分析によるWebアプリケーションのセキュリティサービスを、全世界に向けて提供しています。セキュリティ意識の高い会社を中心に当サービスは導入されていますが、こういったセキュリティサービスをまだ導入していない企業も多くあります。今後サイバーセキュリティに関する意識が高まってくれば、利用する企業の増加が期待できます。 1,796円
    HENNGE(4475) HENNGE(4475)
    東証グロース
    SaaS認証基盤「HENNGE One」をはじめ、企業向けパッケージソフトウェアをクラウドサービスとして提供。その他事業では、メールをセキュアに大量かつ高速に配信するオンプレミスのメール配信パッケージソフトウェア等を展開する。 企業が今後、生産性UPのために活用の範囲を広げる「SaaS」(Software as a Service)クラウドサービスのプラットフォームを提供しており、月額課金のサブスクモデルで数多くの企業に提供しているニッチトップ企業です。残念ながら、企業は外部からの大きな圧力がないと変化を嫌うものですが、11年前の東日本大震災で、主に首都圏の企業がクラウドサービス導入を進めることになり、HENNGEのプラットフォームの利用も増加。今後も着実な増加が期待できそうです。 834円
    No.1(3562) No.1(3562)
    東証スタンダード
    IT化など中小企業のビジネス支援事業を展開。OA機器や、「WALLIOR」と「Club One Systems」のブランドによる情報セキュリティ機器の企画開発・製造・販売および保守事業を行なう。 オフィス環境・業務効率・経営環境など、中小企業の社長さんの「困った」を解決。月額課金のサブスクモデルで提供・ストック型の収益構造なので、安定的に成長を続けてきた企業です。インターネットから社内ネットワークへ侵入してくるさまざまな攻撃(不正アクセスやウイルス攻撃等)をネットワークの入り口で未然に防御するサービスを提供。今後もM&Aや業務提携等によって、新たなサービス・商材を提供できればさらなる成長が期待できます。 974円
    PCIホールディングス(3918) PCIホールディングス(3918)
    東証プライム
    ソフトウェア開発、自社ソリューションの開発・保守、情報技術(IT)技術者の派遣等の情報サービス事業を営む。自動車、家電などへの組込みソフト開発が主力。業務ソフトやIoT、半導体の開発も手がける。 金融や流通向けのソフト開発、さまざまな製品に組込むソフトの開発、IoTに関する事業、半導体開発全般のサービス、の4つの事業領域を持つ持ち株会社です。特に自動車用の組込みソフトに強みを持っており、IoTや自動運転の分野で大活躍が期待される成長企業です。サイバーセキュリティでは、特許技術でWindowsを鉄壁に守る新概念OSプロテクト「AppGuard」(アップガード)に注力しており、成長の可能性があります。 895円

    (注釈)
    (※)株価、利回りなどは全て2022年7月1日の終値で計算しています
    (※)事業概要は大和証券株式会社HPよりSODATTE編集部作成

    「DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を最近耳にする機会も多いのではないでしょうか。DXとは、デジタルを活用し、今までの商売のやり方やビジネスの流れをゼロベースで見直して、もう一度、構築し直しましょうというもの。
    例えば小売店でも、PayPayなどに代表されるスマホ決済の導入などのように、DXの動きが進んでいくでしょう。セキュリティの話題は付随して重要度が増し、避けて通れないものになります」と水谷さん。今後ますます注目度が上がるサイバーセキュリティ業界。関連企業の株価とともに、チェックしてみてください。

    取材・執筆 西山 美紀

    ※本文中の銘柄は、記事のテーマに基づき藤本誠之さんが選定したものを掲載しています。
    投資に関する決定は、銘柄選定を含め最終的にはご自身の判断でなさいますようにお願いいたします。

    このページの情報は役に立ちましたか?

    <関連記事>

    「有価証券のデジタル化」、セキュリティトークンと新たな資金調達手段STOとは?

    なぜこんなに熱い?デジタルサービスの新定番!SaaS関連での注目銘柄は?

    心も体もととのう!人気の定番となった「サウナ」関連での注目銘柄は?

    宇宙旅行も夢じゃない!? 投資の観点からも注目が高まる宇宙関連の銘柄をチェック

    <関連サイト>

    -moneyell-投資の「はじめて」と「これから」を応援

    株式

    <関連キーワード>


      RECOMMENDED この記事を読んでいる方へのオススメ

      カテゴリーごとの記事をみる


      TOP