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なぜこんなに熱い?デジタルサービスの新定番!SaaS関連での注目銘柄は?


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    「SaaS(サース、またはサーズ)」という言葉を聞いたことはありますか?「Software as a Service(サービスとしてのソフトウエア)」の略で、インターネットの浸透とともに身の回りにあふれるようになりました。またSaaS企業のテレビCMを見かける機会も増えています。たくさん耳にするけどどんな企業なの?今後、多くの人に影響がありそうなSaaSというキーワード。その現状と今後の展望、そして注目の株式銘柄についてお話を伺いました。

    ●お聞きした方

    柳谷智宣さん

    キャリア24年目のITライター。1999年に週刊アスキーでデビュー後、さまざまな媒体で記事執筆や企画・編集を行なう。PC歴はX1Cをはじめとして30年以上。日々仕事・プライベートを問わずにデジタルデバイスやウェブサービスをヘビーに使い倒し、デジタルガジェットだけでなく、コンシューマからエンタープライズ関連まで幅広く手掛ける。

    藤本誠之さん

    「相場の福の神」と呼ばれるマーケットアナリスト。年間400社を超える上場企業経営者とのミーティングを行ない、個人投資家に真の成長企業を紹介している。ラジオの看板番組に加え、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多い。All About「株式」ガイドとしても活躍中。

    SaaSって何?なぜ注目されているの?

    「SaaS」とは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウエア)」の略です。

    デジタル・PC関連全般に精通するITライターの柳谷智宣さんは、「分かりやすくお伝えすると、ソフトウエアをパッケージとして売り切るのではなく、継続してメンテナンス等のサービス対応ができる形で提供することです」と話します。

    「従来の“売り切り”のソフトウエアだと、故障やアップデートの際は、修理に出したり買い直したりということが基本でした。ところがSaaSであれば、インターネットを通じてアップデートやメンテナンス等の対応が継続してできるため、ユーザーは常に最新のサービスを利用できますし、故障があっても適宜対処してもらえます。

    また、サービスを提供する企業側も、物理的にモノを作るコストや人的なコスト・リソースを減らせるなど、双方にとってのメリットが大きいといえるのでないでしょうか」(柳谷さん、以下同)

    私たちが日々利用しているものにもSaaSはたくさんあるそうです。

    「例えば、GmailやZoom、Netflix、PDF閲覧ソフトのアクロバット、業務基幹ソフトのKintone、経理ソフトの楽々精算、会計ソフトのfreee、ファイル共有ソフトのDropboxなど、SaaSは仕事にも生活にも広く浸透しています。マイクロソフトのWindowsも、Wiondows8まではパッケージの売り切り型でしたが、Windows10からは、サービスとして提供する『Windows as a service』とうたっている、SaaSの一種です」

    これほどSaaSが盛り上がってきている理由は、「コロナ禍での在宅時間アップ」「国の方針」の二つがあると柳谷さんは言います。

    「在宅勤務が増え、感染対策のために外出する機会が減って、インターネットの利用時間が急増しました。また普段の生活の中でも、テレビの視聴時間よりも、ネットの視聴時間のほうが長くなった実感がある方も多いのではないでしょうか。Netflixなどのサービスも伸びていますよね」

    さらに、国がDX(デジタルトランスフォーメーション/企業が最新のIT技術を駆使して、事業をよい方向へ変化させること)化を後押ししていることもあるそう。

    「経済産業省が出した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』というレポートを聞いたことがあるでしょうか。コロナ禍前の2018年9月に出たこのレポートでは、日本では多くの企業で、既存システムが事業部門ごとに構築され、過剰なカスタマイズがされるなどによって複雑化・ブラックボックス化されている等の課題を抱えている、と示されています。この課題を克服できない場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降、1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとして、『2025年の崖』として危惧されているのです」

    「日本の多くの経営者は、このレポートから『早急にDX化をしなくてはならない』という意識を持っています。

    ちなみに、コロナ禍で緊急事態宣言が出て外出自粛が推奨されたタイミングは、ちょうど決算の企業が多かったのですが、DX化が進んでいなければ、経理部門は出社して仕事をしなくてはなりません。

    その経験から、経理部門の多くの社員が、在宅ワークができる企業への転職を考えたという声も聞きました。経理部門は高いスキルを持つ専門職で、簡単に補充はしにくいこともあり、そこで一気に、経理部門にSaaSを導入しようという動きが加速しました」

    SaaSは個人や既存企業が利用するだけでなく、起業も後押し!

    ますます広がっていきそうなSaaSですが、先ほどの理由に加えて「SaaS企業への投資が増えていることもあります」と、柳谷さんは指摘します。

    「SaaS関連のスタートアップ企業への、ベンチャーキャピタルによる投資が増えている現状があります。SaaSには、顧客接点のチャネルがインターネット経由となるため経営状況がデジタルに可視化され、今後どのように売上や利益を出していけるかという予測が立てやすいという点や、利益率が高く事業に独自性があればスケールしやすいという特徴があるためです。例えば、『数年後には上場できそう』などというロードマップを描きやすくなるため、ベンチャーキャピタルがお金を出しやすくなるわけです」

    さらに、サービスの開発に役立つSaaS(前述の業務改善ソフトなど)を利用することで従来よりも起業しやすい土壌が整ってきていることからも、SaaSは広がりを見せているようです。

    「経理や顧客管理、広告配信などの業務をSaaSで行なえるような土壌が広がってきたことで、起業家は本業に集中することができます。業務効率化によってコスト削減にもつながりますし、SaaSによって起業に挑戦しやすい世の中になってきたともいえるでしょう」

    また、日本に先んじて、海外ではDX化が進み、SaaSは急速に拡大しています。

    「例えば、日本では自社で給与計算をしている企業もまだまだ多いですが、アメリカではほとんどの企業がSaaSの給与計算サービスなどを活用して外注しています。給与計算をしていてもお金を稼ぐことはできませんから『それなら外注をして、本業に集中しよう』という考え方なのです。

    新しいサービスはアメリカなど英語圏の国を中心に導入され、数年後に日本でも少しずつ広がり、手ごたえがあれば拡大するというのが世界的な動きです。経済産業省が本腰を入れてDX化を推進しているので、SaaSは日本でも確実に広がっていくのではないでしょうか」

    国内では、2024年には約1兆1200億円へと市場が拡大する見通しというデータもあります(※)。柳谷さんは、「日々取材をしている実感値としては、その予想よりももっと急スピードで拡大するような印象もあります」と話します。

    「小さな企業では、まだまだ手書きの書類やFAXを利用しています。ですが、経営陣が一度SaaSに興味を持つと、一気に導入が広がるというケースも多々あります。予想以上に伸びていく可能性のある分野だと感じています」

    ※参考
    国内SaaS市場は2024年に1兆円規模へ、「SaaS業界レポート2020」公開【スマートキャンプ調査】 | advanced by massmedian(アドバンスト) ちょっと先の価値観を見つけるメディア

    マーケットからみた「SaaS」の影響とは

    今後ますます盛り上がりそうなSaaS業界。「相場の福の神」こと、マーケットアナリストの藤本誠之さんは「確かにSaaSについて、企業の関心は高いですね」と話します。

    「企業としては、毎年の収益をあくせく獲得するより、月額課金のストック型収入を積上げたほうが、経営が安定化するからです。また、数年で社長が交代する大企業では、自分の代で大きな投資をして収益を悪化させるより、毎月払いのサービスのほうが導入しやすいという事情もあり、リース料等や月額課金で払うほうが高額の製品・サービスを購入しやすいという側面もあるのでしょう」(藤本さん)

    では、SaaSに関連する企業への株式に投資するのもよいものでしょうか。

    「基本的には、国内SaaS市場は盛り上がり、市場規模は拡大することが見込まれますが、SaaS関連企業への投資は、投資初心者の方は慎重に行なったほうがいいかもしれません。SaaS企業は将来の収益が計算しやすいため、その価値がすでに株価に織り込まれて割高なケースもあるからです。技術革新により、新しいサービス・製品に置き換えられるリスクもあることを念頭に置いておきましょう。

    また、成長企業へ投資する場合は、配当や株主優待は期待できないため、値上がり益を狙うスタイルが基本です。投資資金に余裕を持たせ、銘柄や購入タイミングを分散させながら、中・長期投資でのぞむべきだと思います」(藤本さん)

    そこで、藤本さんが注目するSaaS関連銘柄について伺いました。

    【SaaS関連銘柄7選】

    企業名 事業概要(※) 注目理由 株主優待 株価(※)
    Chatwork(4448) Chatwork(4448)
    東証マザーズ
    主力事業としてクラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork」を提供。 Slackと国内市場を分け合っているビジネスチャットの企業。個人だと無料版でも活用でき、法人だと有料版が必要となるビジネスモデル。新規顧客獲得のための広告宣伝費によって赤字基調が続くが、同社の料金体系は人数・アカウント課金のため、導入企業数の増加に加え、導入企業が成長し社員の人数が増えていくことで収益UPが期待できます。企業のDX化によるビジネスチャット利用の拡大の余地はまだまだあります。ビジネスチャット未導入の中小企業に選ばれるかを見極めていきたいところ。 100株以上でChatworkのパーソナルプランを無償で利用可能
    ※保有期間に関する条件あり。
    444円
    オービックビジネスコンサルタント(4733) オービックビジネスコンサルタント(4733)
    東証1部
    ソフトウエアメーカーとして、基幹業務ソフトウエア開発・販売・サポートを行なう。「勘定奉行」を「奉行シリーズ」で大きなシェアを獲得。 中小企業向け業務パッケージソフト『奉行シリーズ』ですでに高シェアを獲得している点が強み。このSaaS版の『奉行クラウド』を拡販中の企業。テレビCMでも、シェアNo.1業務クラウド「奉行クラウド」と訴求し、さらなる認知にも注力しています。安定的な成長基調が見込める企業。 100株以上でオリジナルクオカード3,000円相当 4,230円
    アステリア(3853) アステリア(3853)
    東証1部
    企業内の基幹システムなどの多様なコンピューターやデバイスを連携するソフトウエアASTERIA Warp(アステリア ワープ)の開発・販売をメイン事業として行なう。システム連携の煩雑さを「つなぐ」ことをコンセプトにさまざまなソフトウエアを開発。 異なるコンピューターシステムのデータをノーコードで連携するソフトウエアASTERIA Warp(アステリア ワープ)などを手がけるデータ連携ツールの最大手。データ連携ツールやモバイル端末閲覧ソフトをSaaSで提供。ブロックチェーン、AI等先進技術に強みがあり、IoT・AI・次世代ブロックチェーン技術を使った「3密回避Webアプリ」を開発しています。CO2濃度と混雑状況をリアルタイムで確認・記録する大規模会場での感染予防対策ツール、アステリア × 中部電力による共同検証結果を『テクノフェア2021』で公開するなど業界をけん引しています。 なし 866円
    ココペリ(4167) ココペリ(4167)
    東証マザーズ
    金融機関を中心に、中小企業のIT化、成長支援を担うSaaSビジネスを展開。 中小企業支援プラットフォーム『Big Advance』をSaaSで提供、販売手法に大きな特徴があり、地方銀行等の金融機関を販売代理店として、顧客に販売してもらっていることが強み。中小企業にとって、取引先金融機関とビジネスチャットで連絡できることや、少額からの月額課金制のため導入がしやすく、広がりが期待できる。 なし 1,160円
    HENNGE(4475) HENNGE(4475)
    東証マザーズ
    Eメール配信やクラウドセキュリティに関するソフトウエアの開発をし、BtoBで提供。企業がクラウドサービスを安全に使えるように、アクセス管理などを提供するセキュリティ統合サービス「HENNGE One」に強み。 「ビジネスを変える セキュリティで変える」のパーパス通り、クラウドID管理サービス『HENNGE One』がメイン事業となっている。企業がさまざまなSaaSサービスを導入する流れは広がっていくと考えられる中、そのサービスごとにクラウドを利用するのにはID・PWが必要になる。つまりSaaSサービスが増えれば増えるほど、導入企業数が増加していくことへの期待感がもてる。 なし 838円
    ジーニー(6562) ジーニー(6562)
    東証マザーズ
    アドテクノロジーを使い、インターネットメディアや広告主の広告収益や効果を最大化させる配信プラットフォームを提供。 高成長して新規上場した後、ネット広告のさまざまな規制強化等の問題などで広告プラットフォーム事業が急失速し、一旦赤字へ転落しました。しかし、技術開発を進め、問題をクリアして広告プラットフォーム事業が急回復、今期はこの分野で過去最高益の更新が望め、来期も大きな成長の可能性があります。苦しい時に、2本目の柱として、サブスクモデルでストック型収益が期待出来る「マーケティングSaaS事業」を立ち上げ、今期でようやく軌道に乗りそう。損益分岐点を超えれば収益拡大が見込まれます。2本柱となった来期は大きな収益拡大が期待出来そうです。 グルメやスイーツ、家電製品などと交換可能な「ジーニー・プレミアム優待倶楽部」のポイントを贈呈。300株で4,000ポイント贈呈。 899円
    バリューHR(6078) バリューHR(6078)
    東証1部
    独自開発の「バリューカフェテリア(R)システム」を用いて、企業や健康保険組合を中心に健康管理業務のワンストップサービスを提供。 バリューHRは、健康管理サービスと健保設立・運営支援のリーディングカンパニーです。昨期は、新型コロナウイルスの影響で下方修正を余儀なくされましたが、大型受注を見込んでの積極投資も行ない、今期は売上高、営業利益ともに増収増益となりました。オンライン診療を関連企業で開始。130万人超の医療ビッグデータを情報バンクとして持ち、その活用も予定されています。これらのオンライン診療、医療ビッグデータの活用による成長も期待されます。 ①自社の健康管理サービス「バリューカフェテリア(R)」年会費無料。100株以上で年会費(6,600円税込)無料
    ②カフェテリアポイントを保有株式及び継続保有期間に応じて贈呈。100株以上(1年未満:2,500ポイント)(1年以上:3,500ポイント)(3年以上:5,000ポイント)
    2,713円

    (※)株価、利回りなどは全て2022年3月22日の終値で計算しています。
    (※)事業概要は大和証券株式会社HPよりSODATTE編集部作成

    「SaaSはこれからどんどん広がりを見せていくはず。『便利になりそう、楽しめそう』と思ったサービスがあれば、ぜひご自身で利用してみてください。逆に使わなくなったサービスは、不正アクセスを防ぐためにアカウントを削除するなど、上手に利用していきましょう」と柳谷さん。今後ますます期待の高まるSaaSについて、関連企業の株価とともに、ぜひ注目してみてください。

    取材・執筆 西山 美紀

    ※本文中の銘柄は、記事のテーマに基づき藤本誠之さんが選定したものを掲載しています。
    投資に関する決定は、銘柄選定を含め最終的にはご自身の判断でなさいますようにお願いいたします。
    ※銘柄の市場区分は記事掲載時の情報です。

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