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投資の先輩#05 金融資産2,579万円の43歳会社員。「一度、20年後、30年後の運用結果をシミュレーションしてみてください」


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    積極的に投資を行なっている人の、投資内容や家計状況はどのようなものなのか。投資の成功談、失敗談を交えながら、普段なかなか聞けないリアルな話を先輩に聞く連載企画「投資の先輩」。第5回は、43歳の会社員、しゅうまるさん。住宅ローンを抱え、お子さんも3人いながら、投資をベースに資産形成を実践。その理由、成果をじっくりと見ていきましょう。

    投資の先輩プロフィール しゅうまるさん(仮名)

    性別:男性
    年齢:43歳
    職業:会社員
    家族構成:妻(38歳・会社員)、長女(13歳・中学生)、長男(12歳・小学生)、次男(6歳・保育園)
    投資歴:4年

    夫婦とも正社員ゆえに、世帯収入は高め。他にボーナスが年間163万円あり、児童手当も後押ししています。支出も少なくはありませんが、月間収支は約15万円の黒字。ボーナスで年間80万ほど貯蓄していますが、毎月の収入から預貯金に回しているのは1万円ほど。残りは、すべて投資商品を購入しています。しかも、このペースは今後も基本的には変わらないと言います。

    そんなしゅうまるさんの資産運用の中身について、さらに深堀りしていきます。

    投資は投資、保険は保険

    今回の投資の先輩「しゅうまる」さんは、これまで投資ではさして大きな失敗をすることなく、順調に資産を増やしてきました。保有する投資商品は評価額で1,339万円。そのうち、含み益は202万円。ただし、投資商品のうち、証券口座内の待機資金(MRF)が含まれていますので、その分を差し引くと、実質、18%ほど元本を増やしている計算になります。

    「これまで順調だったのは、単純に米国相場の上昇によるもの。基本的には長期保有を考えていますので、現時点での含み益はさほど気にしていません」

    現状について、冷静にそう分析するしゅうまるさんは、2018年に証券会社に口座開設をするまでは、投資とはまったく無縁の生活で、貯蓄は普通預金が中心でした。それが一変したきっかけは、加入していた変額保険。保険料を運用に充てることで、保険金や解約返戻金が増減する保険ですが、気になったのは保険料の内訳でした。

    「言われるがままに加入したのですが、支払っている保険料のうち、どの程度が運用に回っているのか。ふと、疑問がわきました。結局、保険のコストがどの程度含まれているかを知り、投資は投資、保険は保険ということなのだと分かりました」

    すぐさま夫婦で加入していた変額保険を解約し、そこから資産形成は、投資に大きくシフトしていきます。

    非課税制度をフル活用

    本格的な投資デビューは、「つみたてNISA」と「iDeCo」を利用した投資信託の積立投資でした。これ自体、投資入門としてはとても理にかなった選択といえるでしょう。

    注目すべきはその掛金。当初から、つみたてNISAが月3万3,000円(年間約40万円)、iDeCoが月2万3,000円と、それぞれの制度の利用可能枠上限で投資を開始しました。しかも、夫婦それぞれの名義で始めたので、世帯ではその倍となります。さらに、投資するのはバランスファンドではなく、100%株式に投資する投資信託。ビギナーらしからぬ、思い切った投資内容だったのです。

    「ともに非課税運用となる制度なのですから、利益が出ないと意味がないと考え、とにかくリターンだけを追いかけていました。また、チャールズ・エリス(※1)の著書に影響を受け、当時は長期運用を考えるなら株式運用をすべきとも考えていました」

    (※1)米国人の投資コンサルタント。1937年生まれ。投資顧問会社や投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングを手掛け、米国のマーケットに確固たる地位と信頼を築く。著書に『投資の大原則』『敗者のゲーム』など。

    教育資金づくりも「ジュニアNISA」で

    投資を始めた当時、3人のお子さんはそれぞれ、小学校4年、3年、そして保育園に通っていました。当然、進学に合わせて、今後しばらく教育費のピークが続くことが想定されましたが、それに備えて、2020年からは「ジュニアNISA」を利用して教育資金づくりを始めました。2023年に予定されている「ジュニアNISA」廃止に伴ない、引出し制限が解除となることも後押しになったそう。こちらも、年間の上限額80万円×3人分を運用しています。

    そもそもジュニアNISAは、子どもや孫の将来に向けた長期投資が主な目的です。メリットはつみたてNISA同様に、分配金、配当金、譲渡益が非課税だということ。デメリットは、あくまで投資であり元本保証ではないため、必要な時期と額がほぼ明確な教育資金を用意する場合、どうしてもリスクを伴なうという点。しゅうまるさんもその点を指摘します。

    「ジュニアNISAは大学進学を前提に運用していますので、この時期に大暴落が来ないことを願っています」

    しかし、投資だけに頼っているわけではありません。学資保険でお子さん3人にそれぞれ430万円(そのうち、130万円×3人分は払込終了)を用意。これだけで、私大文系の平均的大学費用(入学金と4年分の授業料、施設利用費)はクリアしています。十分にリスク対策は行なった上での、投資といえます。

    リスクに備えるアセットアロケーション

    しゅうまるさんの投資における特徴として、投資商品を投資信託に絞っているという点があります。これまで、個別株式を保有したことは一度もありません。配当や株主優待といったメリットは得られませんが、個別株式のリスクを背負うことはしたくないというのがその理由です。

    「ですが、株式投資自体は投資信託で行なっています」

    現在保有する投資信託は、夫婦およびお子さん3人の口座を合わせて、本数にして実に51本にもなります。

    投資商品の選択でもっとも重視しているのは、アセットアロケーション。つまりは、資金を国内外の株式や債券、その他の商品にどう配分するか。投資を始めた2018年は、株式に投資する投資信託がメインでしたが、2年、3年と投資経験を重ねていくうちに、考え方も投資内容も変化してきました。

    「100%株式に投資する投資信託を保有していれば、相場の上昇局面では評価額が上がり気分もよくなりますが、後退期も想定してリスクも見なければと考えるようになりました。現状ではおおむね株式60%、債券25%、REIT5%、金10%とし、必要に応じてリバランスを行なっています。

    ただし、NISA口座では売却した部分の非課税枠を再利用することはできないので、リバランスは各口座で調整しながら行なっています。また、投資信託はインデックス・ファンドがメインですが、REITや金などの運用コストが高めのファンドは特定口座で購入、逆にiDeCoなどでは手数料が低めのファンドを購入しています」

    今後の目標は老後資金として3,000万円を用意すること。勤務先に退職金制度はあるものの、今後の公的年金制度を考えれば、運用の重要性をより感じると言います。

    最後に、今回の投資の先輩、しゅうまるさんに、投資に関心はあるがまだ踏み出せないでいる人へメッセージを伺いました。

    「30代、40代の方は教育費など出費も多くなり大変と思いますが、まずは住居費などの固定費、自己投資、貯蓄をきちんと整理してみる。そして、収入の15%程度を投資に回したとき、20年後、30年後の運用結果を一度シミュレーションしてみることを勧めます。その複利効果に、本当に驚くと思います。実際にはシミュレーションのようなきれいな曲線とはいきませんが、時間を味方にした運用をぜひ行なってみてはいかがでしょうか」

    編集後記

    ●実は堅実、だからこそ投資が生きる

    本文でも触れましたが、しゅうまるさんは投資に積極的な一方で教育資金については学資保険で用意するなど、家計全体で考えるとバランスを取りながら投資を実践していることがうかがえます。だからこそ、将来に向けた長期投資が活きるのではないでしょうか。

    ●有利な制度の活用と積立、分散投資の実践

    つみたてNISA、ジュニアNISA、iDeCoと、投資における税制優遇の制度をフルに活用して、積立による長期運用を実践している。子育て世代にとって時間を味方につけるもっとも有効な形です。しかも、きっちりと資産配分を考えておられるのもポイントです。投資ビギナーが参考にすべき基本部分が多々あると感じる、今回の投資の先輩でした。

    取材・執筆/清水京武

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