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親も子どもも一緒に考えたい「相続&終活」について


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    今はお元気な親御さんでも、いつの日か「突然入院!」という事態に直面することもあるかもしれません。あまり考えたくないことですが、将来経験することになるであろう「相続」について、漠然と気になっている人も多いでしょう。今から少しずつ相続対策や終活を進めておけば、いざというときに慌てずに済むはず。そこで今回は、相続や終活に詳しい専門家に、どのように備えておくべきかを聞きました。

    ●お聞きした方
    坂口 猛さん

    税務大学校を卒業後、税務署に勤務。その後、税理士事務所で相続税・贈与税・法人税・所得税等の対応を行ない、小規模会社、大手上場企業グループ勤務を経て、現在は財務コンサルタントとして、税務・会計に携わる。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、相続診断士、円満相続遺言支援士。情報サイトAll Aboutで「初心者のための相続税・税金」ガイドをつとめる。

    終活をする意向が高いのは30代!?「親の終活」を考えてみては?

    「終活」という言葉を最近よく聞く方も多いでしょう。そもそも「終活」とは、何をすることなのでしょうか。「終活とは、広い定義で考えると、“人生の終わりに向けての準備”ですね」と、相続に詳しいファイナンシャル・プランナー、相続診断士の坂口猛さんは話します。

    「自分が亡くなった後をイメージして、不要な持ち物を処分したり、金融資産を整理したり、遺言書を書いたり、お墓を準備したりといったことが挙げられます。これにより、残された家族や友人に迷惑をかけずに済むことにつながります。

    最近はさまざまなネットサービスを使う機会が増えていると思いますが、もしIDやパスワードを誰にも言わないまま亡くなってしまうとどうなるでしょう。ネット銀行の預金残高が分からなかったり、不要なサービスの利用料を払い続けることになってしまったりという問題が残された家族に起こりえます。

    また、お葬式をする際に、どういった形にするのか、誰をお呼びしたいのかということも、本人しか理解していないことも多いでしょう。万一の際に、残された家族が困ることのないように、情報やモノを整理しておくのが“終活”です。最近は、必要なことを記入できる“エンディングノート”も人気ですね」(坂口さん)

    楽天インサイト株式会社の調査によると、「終活」をする意向が最も高いのは「30代」で、実際に始めたい年齢は「60代」がトップという結果が出ています。(2019年5月27日楽天インサイト「終活に関する調査」による)

    「30代になると親がセカンドライフを送る方が増えるからか、“終活”というフレーズが気になる方も出てくるでしょう。理想としては、親御さん世代が単体で行なうのではなく、親子一緒に終活について話ができると安心ですね。

    親御さんがお元気なうちに話を聞いておかないと、残された家族の遺産分割で揉めてしまったり、想定以上の相続税がかかってしまったり、納税資金を準備できなかったりということが考えられます。また、相続人がいったい何人いるのか、借金はないかなど、さりげなく普段の会話でヒントをつかんでおくことも大切です。まれに、再婚されていて、前妻との子どもに連絡がつかないなど、遺産分割の手続きが困難なケースもありますから。

    相続税は、相続が発生してから10カ月以内に申告する必要があるため、いざ発生してから準備を始めると、思ったよりも時間がありません。少しずつ話す機会を持ちながら、時間をかけて整理していくことをお勧めします」(坂口さん)

    相続税を考慮しておいたほうがいいのは、いくらから?

    実際に遺産を相続することになった場合、相続税はどれくらいかかるのでしょうか。

    「相続税には基礎控除というものがありまして、『3,000万円+600万円×法定相続人数』で計算され、この金額を超えると相続税がかります。仮にお父さまが亡くなられて、お母さまと子ども1人で法定相続人が2人の場合、(3,000万円+600万円×2)=4,200万円が基礎控除額になり、相続財産がそれを超えなければ相続税はかかりません。法定相続人が3人なら、この基礎控除額は4,800万円になります。

    『何千万円も預貯金がないから大丈夫』だと思っていても、株式などの有価証券や不動産を持っている場合などは、相続税がかかることがあります。相続税がかかるかどうかなどの試算は、国税庁のHPに『相続税の申告要否判定コーナー』がありますので、ぜひ調べてみてください。より詳しく知りたい方は、所轄税務署または税理士に相談することをおすすめします」(坂口さん)

    国税庁 相続税の申告要否判定コーナー
    ※大和証券ホームページ外に遷移します

    特に注意したいことは、相続開始前(死亡前)3年以内に行なわれた贈与については、相続財産に加えて計算されることになる点です。

    「仮に親御さんが亡くなった時点で預貯金などがなくても、過去3年以内にお子さんに預貯金などの贈与があった場合、その金額も含めて相続税がかかるかどうかの判断がなされます。お子さんが、すでにその預貯金を使いきってしまっていても、相続税がかかる場合は支払いが生じますので要注意です。またこの『3年』という期間は、現時点の税法によりますので、今後改正される可能性もあります。今後の税制改正により期間が変更になる可能性もあるため、チェックしておきたいですね。

    また、よくあるのは、専業主婦の方が、ご主人から生活費として受取ったお金を一生懸命に“へそくり”として貯めていて、ご主人が亡くなった場合、『そのへそくりはご主人のものですから相続税がかかりますよ』といわれるケースです。

    いざというときに慌てないように、できるだけ早めに確認・対策をしておく必要があるでしょう」(坂口さん)

    なるべく早く始めるのが吉!今からできる「相続準備」とは?

    では実際に、今からできる相続準備にはどんなことがあるでしょうか。「よくいわれるのは次の2点。暦年贈与の基礎控除を利用する方法と、生命保険金の非課税枠を活用する方法です」と坂口さんは言います。

    「暦年贈与の場合、受贈者1人につき年間110万円の基礎控除が認められています。つまり、年間110万円までなら贈与税が非課税となりますので、毎年贈与を行なうことで相続財産を圧縮し、相続税の負担を軽減することが可能です。ただし、暦年贈与についても今後の税制改正により改正される可能性がありますので、注意が必要です。

    また、生命保険金の非課税枠を活用するという方法もあります。生命保険には、死亡保険金の受取人が法定相続人の場合、『500万円×法定相続人の数』までの非課税枠が設けられています。そのため、相続人が配偶者とお子さん1人の場合は、1,000万円の生命保険までは課税されないのです。相続人が増えれば増えるほど、この非課税枠が増えていくしくみです。

    ただし、これはあくまでも死亡保険金の受取人が『法定相続人』に限ったこと。なので、両親が健在で祖父の生命保険金の受取人をお孫さんにしている場合などには、一般的に法定相続人ではないお孫さんには相続税がかかってしまいますので注意が必要です」(坂口さん)

    相続した財産、どうすればいい?注意点は?

    相続が発生して、まとまった預貯金や有価証券、不動産などを受取った場合、どうしたらよいのでしょうか。

    「30~40代の方が預貯金を受取った場合、例えばNISAやiDeCoなどで上手に資産運用をしていくことを検討したいですね。税制の優遇も受けられるので、長期的に運用をして子どもの教育費やご自身の老後資金として考えるのがいいのではないでしょうか。

    ただし、大きな金額を手にしたからといって、一度にまとめて投資をしてしまうと、高値づかみするなど失敗しかねないので要注意です。月数万円ずつなど、分割して10年、20年と長い目で見て投資していったほうが、リスクを抑えられると思います。

    株や債券、投資信託などの有価証券を受取った場合は、まずは名義の変更を行ないます。売却して現金にすることも可能ですが、預金金利が超低金利の水準にある状況を考えると、売却せずに保有し続けることも選択肢の一つです。他に投資したい商品がある場合は金融機関に相談してみるのもよいでしょう。

    不動産を受取った場合は、立地にもよりますが、賃貸に出すという方法もあります。金融資産以外に不動産があれば、リスクの分散につながります」(坂口さん)

    相続は、いつ発生することになるのか、誰にも分からないもの。今のうちから、資産運用を始めて慣れておくこともよさそうです。

    「金融知識を身に付けておけば、いざ大きなお金を手にしても失敗を防げるでしょう。そのため、前もって勉強しておくことが大切です。無料のウェブセミナーや学べるHPなども増えてきていますので、活用できるでしょう。ただし、『必ずもうかります』というような怪しい話には要注意です」(坂口さん)

    こう考えてみると、マネーリテラシーを身に付けるということも終活の一環だといえるのではないでしょうか。

    思い立ったが吉日!親と終活や相続の相談をしてみよう

    相続対策が必要なことが分かってきて、いざ親に話をしようと思っても、元気なうちに話すことははばかられるもの。どのようにしたら、スムーズに話を切り出せるものでしょうか。

    「いきなり親御さんが亡くなった際の話を出すと、雰囲気が悪くなりがちです。なので、お勧めは、友人や知人の終活の話が出たときに、一例として話してみることです。

    『〇〇さんの親御さんが亡くなって、お墓を守るのが大変だったみたい。自分もそろそろ考えないと思った』『遺産分割でもめたと聞いたので、我が家の場合はどうかなと思って……』という具合に切りだせば、自然に終活の話につなげられるのではないでしょうか。

    万一認知症になってからでは、預金口座から簡単にお金を引き出せなくなりますし、自宅の修繕や売却も困難になります。早めにどのような資産があるのか、どのように考えているのか、親御さんに確認できると安心ですね。

    また、だいぶ早いと感じるかもしれませんが、30~40代の方でもご自分の“終活”を始めてみることもお勧めです。『友人から勧められたエンディングノートを書いて、資産などを確認している』などと話題に出すことで、親御さんも、自分も始めようかなと感じるかもしれません。

    子育て世代の方の終活は、ご自身のライフプランをしっかり立てることにつながります。終わりの日までどのように過ごしたいか、今後の人生を俯瞰して考えるいい機会になるのではないでしょうか。ご自身の将来の目標や課題が明確になるという点もメリットといえます。また、何か困ったことがあれば、専門家に相談することもお勧めです」(坂口さん)

    大和証券では、相続対策のアドバイス・実行サポートもできる「ダイワの相続トータルサービス」があります。ぜひ一度親御さんと一緒にご覧になってみてはいかがでしょうか。

    いざというときに、初めてのことで誰もが慌ててしまいがちな“相続”。親子ともに元気なうちから少しずつ話題にすることでお互いの気持ちや資産などを確認し、必要があれば対策しておきましょう。そのことが結果的に、日々の安心にもつながるのではないでしょうか。

    もし、そのときがきて資産を引継いだ場合、そのままにしておくのではなく、定期預金にするのも一つの手。大和証券では、定期預金金利を特別に優遇するプランもあるので、確認してみてください。

    取材/執筆 西山美紀

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