「米国株(アメリカ株)を始めたい!」知っておきたい特徴やポイント
コロナ禍で世界経済全体が足踏みする中、好調をキープし続けているのが、米国の株式「米国株(アメリカ株)」です。米国には、アップルやアマゾンなど、世界経済を牽引する巨大テクノロジー企業が集中しており、継続して株価が上昇しています。そのため、米国株に興味を持つ人や投資をする人が急増しています。そこで、今回は米国株に投資をするにあたって知っておきたい基本の知識やポイント、注意点などについて解説していきます。
目次
早速投資……する前に知っておきたい米国株の基本的な特徴
長期的に株価が上昇しており、今後の成長も期待できる米国株に注目が集まっています。読者の方の中にも米国株に興味を持っているという方は多いのではないでしょうか?投資を始める前に、まずは米国株の基本について理解しておきましょう。
米国株とは何か?
米国株は、その名の通りアメリカ合衆国で取引されている株式のことをいいます。米国企業には、GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)と呼ばれる巨大IT企業をはじめ、コカ・コーラなどの老舗企業からネットフリックスやテスラのような近年話題の企業まで、世界的に有名な企業が数多く存在しています。
また、時価総額全体の規模が世界最大の市場で、例えば上記で紹介したGAFAMは、世界の企業の時価総額ランキング上位を占めています。時価総額が大きい企業は、巨額の資本で人材獲得や企業買収、設備投資などを大規模に行なえるため、米国には長期的に成長できる環境が整っている企業が多いといえるでしょう。
米国株の取引時間
日本と米国には時差があるため、米国株の取引が行なわれているのは日本時間深夜になります。さらに米国では、3月~11月に標準時刻を1時間早める「サマータイム」という制度を導入しているため、夏と冬で取引開始時間が変わります。例えばニューヨーク証券取引所の立会時間は、冬時間は23時30分~翌6時、夏時間は22時30分~翌5時(いずれも日本時間)となっています。
また、日本市場で午前と午後の間に設けられている休憩時間がなかったり、大統領の日(ワシントン誕生日)や戦没者追悼記念日(メモリアル・デー)など米国の祝日が休場になっていたりする点にも気をつけた方がよいでしょう。
米国株が注目される理由
米国株が注目されている大きな理由として、米国株は30年以上に亘って株価が上昇しているということがあげられます。下記の図表を見てください。米国株の代表的な株価指標であるS&P500の約35年間の動きを見てみると、なんと株価は18倍に。日本株のパフォーマンスと比べると、かなり高い結果となっています。
このような高パフォーマンスに「米国株はバブルのような状態で、いつか急落するのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ですが米国は人口増加が続いている、強固な経済基盤を持っているなど、日本とは異なる市場環境を持っています。長期的に継続して上昇を続けている米国の株式市場は、魅力的な投資先といえるのではないでしょうか。
米国株を主に取引する米国市場と株価指数のそれぞれの特徴
米国株の主な取引所はどこ?
米国株が取引されている主要な証券取引所といえば、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)。これら証券取引所の特徴もおさえておきましょう。
・ニューヨーク証券取引所(NYSE)
世界最大の証券取引所で、上場する企業数は2000社前後といわれています。テレビや新聞などで目にする機会も多く、日本でも馴染みがある取引所といえるでしょう。
ニューヨーク証券取引所の上場基準は、「主要先進国の中でも最も厳しい」といわれており、同証券取引所への上場は、世界の優良企業としての証といえるでしょう。ジョンソン・エンド・ジョンソンやコカ・コーラなどの優良大企業が上場しています。
・ナスダック
ナスダック(NASDAQ)は、1971年に設立された取引所で、ニューヨーク証券取引所に次ぐ世界第2位の規模を誇ります。ナスダックとは、全米証券業協会が運営する自動株式取引システムのこと。ナスダックは、新興企業向けの市場として知られています。上場している企業には成長力のあるIT企業が多く、アップルやアマゾンなどが上場しています。
米国株市場の値動きを表す主な株価指標とは?
株式市場全体の値動きを把握するには、その市場の代表的な株価指標を見ることが有効です。
米国株式市場の値動きを表す主な株価指標には、ニューヨークダウ(ニューヨークダウ工業株30種平均)、ナスダック総合指数、S&P500があります。
・ニューヨークダウ(ニューヨークダウ工業株30種平均)
米国の最も代表的な株価指標は、ニューヨークダウ工業株30種平均です。一般的には「ニューヨークダウ」と呼ばれます。
これは米国の新聞「ウォールストリート・ジャーナル」を発行しているダウ・ジョーンズ社が、米国市場に上場している企業や成長性、そして投資家の関心の高さから銘柄を選定しているもの。マクドナルドやマイクロソフトなど、30銘柄で構成されています。日本では、日経平均株価がイメージに近いでしょう。
構成銘柄の多くが上昇すると、指標も上昇しやすく、構成銘柄の多くが下落すると、指標も下落しやすい特徴があります。また、1株の価格が高い株(値がさ株)に大きな動きがあると、平均株価に大きな影響を与えます。
・ナスダック総合指数
ナスダック総合指数は、ナスダックに上場している全銘柄の時価総額をもとに算出する株価指標です。1971年2月5日の時価総額を基準とし、その値を100として算出しています。
ナスダックには、アップルやアマゾンなどの先進的なIT企業が数多く上場しているため、主にハイテク関連やネット関連業界の動向を見る指標になっています。近年のIT企業の爆発的な成長により、長期的に安定して上昇しています。
・S&P500
S&P500は、スタンダード・アンド・プアーズ社がニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している企業から選定した、代表的な500銘柄の時価総額をもとに算出する株価指標です。
S&P500は、米国株式市場全体の約80%の時価総額比率を占めており、米国株式市場全体の値動きを表す指標として世界中から注目されています。日本では、TOPIX(東証株価指数)がイメージに近いでしょう。
米国株のメリットとデメリット
米国株は数多くの魅力がありますが、気をつけておくべきこともあります。米国株のメリットとデメリットをよく知ってから、投資に踏み切りましょう。
●1株から投資できる
日本株は、通常100株単位で購入します(単元株)。最近はスマホ証券を中心に単元未満株の取引も増えていますが、単元株で購入する場合は数万円から数十万円必要になるケースがほとんどです。その点、多くの米国株は1株単位で購入できます。最低投資金額が低く、少額から始めることができます。
●分散投資もしやすい
多くの米国株は1株から購入できるので、複数の銘柄を購入しやすいでしょう。1つの企業に集中して投資をしていると、その企業の業績が悪化したり、不祥事を起こしてしまったりした場合、株価は暴落し大きな損失を被る可能性もあります。その点、複数の銘柄に分けて投資できると、株価が上昇する企業もあれば、下落する企業も出てくるため、全体的な振れ幅を抑えることができます。
●高配当銘柄が多い
米国企業は、配当での株主還元を重視する傾向があり、高配当銘柄が多数見受けられます。配当金を出す回数も、日本は年1、2回の企業が主流ですが、米国は年4回の企業が多いのも特徴です。また、米国株には、毎年のように配当金を増額している銘柄もあり、中には、ジョンソン・エンド・ジョンソンやP&Gのように50年以上も増配を続ける銘柄もあります。
●世界的な優良・グローバル企業が多い
米国は世界経済の中心だけあって、世界的な優良企業、グローバル企業が数多くあります。GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)と呼ばれる巨大IT企業を始め、コカ・コーラやペプシ、マクドナルド、ナイキ、スリーエムなど、これらの誰もが知っている優良企業も米国の企業です。
●流動性が高い
米国の主な株式市場であるニューヨーク証券取引所とナスダックの2つを合わせると、世界市場でのシェアは40%を超えます。それだけの規模を誇る米国市場は取引も活発で、流動性は非常に高いといえるでしょう。
このようにメリットが多い米国株ですが、デメリットや気をつけておくべきこともあります。
●為替リスクに注意する必要がある
米国株は、米ドルで取引されています。日本から米国株に投資する場合は基本的に円とドルを交換して売買を行なうので(※)、「為替リスク」に注意が必要です。売買時の為替の動き次第で、購入時より株価が上昇していても最終的に損失が出る可能性もあります。株価の動きと為替の動き、双方をチェックするよう心がけましょう。
※円貨決済の場合。外貨決済を選択することもできます。
●日本株と比べて情報が少ない
米国株に限ったことではありませんが、外国株に投資をする場合、情報を入手しにくい傾向があります。特に株式の分析は、日本国内の株式でも一般の人が行なうのは難しいでしょう。そこでおすすめなのは、証券会社のレポートを活用すること。証券会社に所属するプロの株式アナリストが発信するレポートを読むことにより、米国株式の動向や成長期待銘柄などが把握できるでしょう。
●値幅制限がない
日本では、株価の水準に応じて、1日の値動きの幅が前営業日の終値などの基準値から一定の範囲に収まるように「値幅制限」をしています。これは、株価の急激な上昇や下落を防ぐためです。米国の株式市場には、このような値幅制限がありません。特定銘柄の株価が1日の間に大きく動く可能性があるため、株価が下落した際は大きな損失を被ることもあります。逆を言えば、株価が大きく動き、思わぬ収益のチャンスを掴む、ということもありえます。
●取引手数料と為替手数料がかかる
米国株を証券会社で購入する時には「取引手数料」に加えて、円貨決済の場合は「為替手数料」がかかります。取引手数料は、米国株の売買時にかかり、為替手数料は証券会社の口座に入金した円をドルに換える時や、ドルで売却した売却代金を円へ換える時などに発生します。
●配当金を受取ると、二重に税金がかかる
米国株の配当金は、米国で10%、日本で20.315%、合計で約30%課税されます。ただし、確定申告で「外国税額控除」を適用すると、米国で課税された分を日本の所得税や住民税から差引くことができます。なお、NISA口座の場合には、外国税控除は利用できません。
継続的に成長を遂げている米国株!リスクもしっかり理解した上で投資に挑戦を
米国株式市場は、長きに亘り成長し続け、今後も高い成長が期待されています。世界的に有名なグローバル企業の株が少額から投資ができるところも魅力。初心者でもトライしやすい米国株投資、ぜひ、始めてみてはいかがでしょうか。
執筆/高山 一恵
2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
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