お金のプロが解説!40~50代共働き夫婦のための老後を見据えたマネープラン
子どもの教育費、住宅購入、老後資金など、お金にまつわるお悩みが増える40~50代。こうしたモヤモヤを解消したい人に向け、人気ファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔さんを講師に迎えたウェブセミナーが開催されました。共働き夫婦がお互いにガマンせず、お金を賢く管理するコツや資産づくりのポイントとは?セミナーで語られた内容をご紹介します。
目次
■専門家
All About 「マネープラン」ガイド 山崎 俊輔
お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行なっている。WEB連載多数。近著に「共働き夫婦 お金の教科書」「日本版FIRE超入門」がある。
家計から家事育児、老後の備えまで、人気FPが分かりやすく解説
収入を家庭という単位で見たとき、共働きならその分収入は多く得られます。一方で、つい油断して出費がかさんでしまう……という方も少なくないことでしょう。特に多くのお金が必要なのは、子育て世代。教育費や住宅費、さらには老後の備えなど、長期にわたって家計の負担となっていきます。
そんな心配を抱える共働き夫婦を対象に開催されたのが、ウェブセミナー『共働き夫婦なら老後2000万円問題なんか怖くない?「教育費を貯めながら将来にも備える講座」』です。LIFE College(株式会社オールアバウト)が主催し、『SODATTE』が協賛したこのセミナー、講師を務めたのは、自身も共働き家庭というファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔さんです。共働きの意義や家事・育児の考え方、賢い夫婦のマネープランまで、共働き世帯が参考にしたい情報が盛りだくさんだったセミナーのレポートをお届けします。
データから読み解く「共働きの時代」
平成の30年間で、共働き世帯を取り巻く環境は大きく変化しました。共働き世帯と専業主婦世帯の推移を見ると、1980年には1:2と専業主婦世帯が多数だったのに対し、2020年では2:1と完全に逆転。多くの世帯が、共働きという選択をするようになっています。
こうした共働き世帯の年収比は、夫婦ともに正社員の場合で「夫6:妻4」となる家庭が40%以上。次いで約15%の家庭が「夫5:妻5」となっています。
「“夫6:妻4”となる要因は、おそらく労働時間の差だと思います。稼ぐ力は男女でほぼ同じでも、女性の場合は育児休暇の取得や時短勤務といった制限が生じることが多いため、年収が下がってしまうのでしょう。一方で、家事・育児の分担は“妻5:夫1”で女性の負担が大きい、というデータも出ています。こうした家事・育児の分担は、共働き家庭がお金のことを考える前に見直したいことのひとつですね」(山崎さん)
「共働きとお金」~共働き夫婦に求められるお金の発想法
家事・育児の分担はもちろんですが、共働きを維持して世帯年収を増やすことも大切です。例えば、夫婦ともに正社員のまま勤め上げれば、2人分の退職金と厚生年金を手に入れられます。
「職種や企業の規模にもよりますが、2人分の厚生年金をもらうことができれば、片働きの場合と比べてその差は数千万円にもなります。これに2人分の退職金も加えれば、老後2000万円問題への不安も払拭できますね。働き方は人それぞれですが、非正規社員は解雇されやすいという現実もあるため、可能であれば月に1~2回でもいいので面接を受け続け、正社員として働くことを目指しましょう。
家事・育児の分担について、まずは年収比で考えて見直してみると、不公平感が出なくて良いと思います。基本的には男性がもっとがんばろう、ということです。これは、家計の分担や、貯蓄・投資の分担に対しても同じなので、お互いの年収を開示して話し合うことが大切です」(山崎さん)

また、子どものいる家庭の場合は、教育資金についても考えなくてはなりません。子ども1人につき、高校と大学の7年間で必要と言われる金額は約1000万円。これを貯めるには、まず子どもが生まれた段階で「資金準備のゴール」をイメージすることが大切です。
「1000万円と聞くと無理だと思ってしまいがちですが、いきなり全額ではなく、まずは入学金と塾にかかるお金として、子ども1人あたり200万円を貯めましょう。次に、高校3年で210万円、大学4年で629万円となる学費のうちの半分を目指して貯める、といった形で、目標を小さく設定して毎年の積立負担を分かりやすくするのが良いと思います」(山崎さん)
「老後2000万円問題」高まる老後の不安は共働きで解消する
マネープランに切り離せないのが、老後の資産形成についてです。先ほどの山崎さんのお話にもあったように、夫婦2人分の退職金と厚生年金がもらえれば、老後への大きな支えとなります。ただし、豊かな生活を送りたいなら、プラスαの準備をすることも必要です。そのひとつとしておすすめなのが、iDeCoやNISAといった制度を利用しての投資です。
「あまり知らない人からすると、投資はマネーゲームだと思われるかもしれませんが、実は違います。経済が成長したら自分も豊かになれるしくみなので、会社員の人も“会社員兼投資家”になっていただきたいですね。もし、iDeCoとNISAのどちらかで迷った場合は、所得税や住民税も軽くなり、税制優遇が大きいiDeCoから始めることをおすすめします。
投資は毎月、無理なくコツコツ続けることが大切です。最初から掛金の上限いっぱいしなくてもかまいません。まずは積立をスタートして、様子を見ながら少しずつ増やしましょう。以下は45歳から投資を始めた場合のシミュレーションですが、実は2022年5月からiDeCoの加入期間が65歳までに引上げられる法律改正が予定されています。50代からのスタートでも遅くはありません」(山崎さん)
※上記はシミュレーションであり、計算結果は実際の投資結果と異なります。
そしてまとめとして、「共働き夫婦は最後に笑える!」とのメッセージを贈る山崎さん。
「正社員で共働きを続け、コツコツと未来に向けて投資をしていくことが、経済的な安定を手に入れる一番の選択肢です。ただし、それを続けるにはやはり夫婦の協力が不可欠。困ったときには、ファイナンシャル・プランナーへの相談など、第三者のアドバイスを活用していただければと思います。共働きでがんばっていれば、最後にはきっと笑える老後が待っているはず。楽しい老後を夫婦で迎えるために、これまでお話ししたことを参考に、お金の管理をしっかりしていただければと思います」(山崎さん)
参加した皆さんの反応は?質疑応答とセミナーに対する感想
セミナーでは、視聴者から多くの質問が寄せられました。ここでは山崎さんからの回答とあわせて2つ、ご紹介します。
Q.NISAに興味があるのですが、たくさんある証券会社の中からどこを選べば良いですか?
A.どの会社でも、あまり差はありません。
特につみたてNISAの場合、取扱商品に違いはあるものの、金融庁がフィルタリングした商品だけが販売されており、どの証券会社で始めてもほぼ同じ条件となります。どこもあまり差はないので、充実したサポートが欲しい方なら実店舗がある証券会社、自分で調べることが得意な方はネット証券を選ぶのがいいのではないでしょうか。ただしNISAだと、個別株を売買するときにかかる手数料が証券会社によって若干異なるので、費用を意識するといいかと思います。でも、悩んで時間がかかるくらいなら、口座を作ってしまったほうがいいですね。非課税投資額は年間で上限が決まっているので、今年の分を逃せばそれだけ非課税で投資するチャンスがどんどん減ってしまいます。思い立ったが吉日で、まずは口座開設してみてはいかがでしょうか。
Q.NISA、iDeCoでどの投資信託を選べば良いか、選び方のコツや考え方を教えてください。
A.基本的な考え方としては、手数料が高くないものを選ぶことですね。また、第一歩としては、世界中に分散投資をするバランス型の投資信託がおすすめ。
私自身も、投資資金のほとんどはバランス型の投資信託で運用しています。手元に定期預金等も持っているなら株式投資比率が高いバランス型ファンドを選んでも、資産全体のバランスは問題ありません。まずは毎月1万円ほど投資し、経験値がたまって“こういう投資がしたい”というビジョンが固まってきたら、目利きもできるようになっていると思うので、新しい投資信託を選んでいただければ良いのではないでしょうか。
なお、参加者の方から後日、寄せられたのは「正社員であることの必要性、また家事分担など、考えたことのない新たな考えに驚きました!」「夫婦でともに参加し、特に家事分担について、考え直す良いキッカケとなった」など、気付きを得ることができたという声でした。また、「年齢を重ねるとともに、それぞれの時期に費用のかかる項目があり、最終的には夫婦の老後の蓄えが必要になりますが、その答えを何個もいただいた感じがします」「現在50歳で、早期定年退職選択制度が利用できるのですが、永く働く意欲になりました」というように、将来のビジョンを描く際の参考になった方も多かったようです。
ポイントとまとめ
共働き夫婦にはお金はもちろん、家事や育児の分担が不可欠。互いに協力しながら、共働きを続けて定年を迎えれば、山崎さんの言うようにきっと「最後に笑える」老後になることでしょう。
そのためにも、まずは互いの年収や年金支給額、退職金の額などを知った上で、貯蓄や投資のプランを立ててみては?特に投資は、早く始めるに越したことはありません。山崎さんのお話のとおり、まずはiDeCoやNISAを利用して投資に挑戦してみましょう。共働きでダブル投資も行なえば、お金にまつわる将来の不安もきっと解消できるはず!
取材・執筆/石川 由紀子
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