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【はじめての住宅ローン】今さら聞けない基礎知識


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    テレワークの普及により自宅で過ごす時間が増え、より仕事をしやすい環境、あるいはおうち時間の充実を求めて、住宅購入を考えているという人もいるのではないでしょうか。とはいえ、住宅は決して安い買い物ではありません。中には一括で購入する方もいると思いますが、多くの人が「住宅ローン」を利用しているのが現状です。住宅ローンはその名の通り、新たに住宅を購入したり持ち家を改築したりする際に金融機関から借りるお金のこと。存在は知っていても、はじめて利用するとなると、手続きの仕方やローンの種類、返済方法など分からないことだらけですよね?そこで、ファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさんに、住宅ローンの基礎知識についてお話を伺いました。

    仮審査は複数の金融機関に申込むのが一般的

    住宅ローンの手続きは、主に以下のような流れで行なわれます。

    • [ステップ1]自分に合った住宅ローンを探す
    • [ステップ2]金融機関に仮審査(事前審査)を申込む
    • [ステップ3]仮審査に通ったら本審査を申込む
    • [ステップ4]必要書類を用意する
    • [ステップ5]住宅ローン契約を結ぶ
    • [ステップ6]物件の引き渡し時に住宅ローンが実行される

    住宅ローンと一口にいっても、さまざまな金融機関が取扱っています。商品の内容も多岐にわたるため、まずは自分に合った住宅ローンを探すことから始めましょう。その際は、例えば「金利が低い」「団体信用生命保険(返済中に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローン返済が免除される保障制度)が充実している」など、優先順位を決めておきたいものです。

    ただし、希望する金融機関に申込んでも、必ずしも審査が通るとは限りません。そのため、仮審査の段階では複数の金融機関に申込むのが一般的です。そして、仮審査に通った段階で住宅の売買契約を結ぶことが多いので、契約のローン条項には仮審査が通った金融機関を列記してもらうようにしましょう。

    ちなみに住宅ローンや売買契約は実印を押印しなければならないので、印鑑証明も必要になります。実印の作成には時間がかかることもあるため、住宅を購入すると決めたら早めに準備しておきたいですね。

    そして、住宅ローンを検討する上で、やはり重要なポイントのひとつとなるのが、借りる額に対して支払う利息の割合を示す「金利」です。

    金利の種類は主に3タイプ

    金利は、元金に対してどのように設定するかによって、主に3タイプに分かれます。

    (1)全期間固定金利型

    借入期間中の金利がずっと固定されるタイプ。借入期間中に市場金利が変動したとしても、住宅ローンの返済額は借入当初の予定から変わりません。今後金利の上昇が想定されるような局面では、適用金利は変動金利型等より高くなります。

    (2)変動金利型

    契約時の金利は当初の半年のみ適用され、以後、半年ごとに金利が見直されます。月々の返済額は5年ごとに見直される「5年ルール」や、金利の変動に伴ない返済額が上昇する場合でも、従来の返済額の1.25倍までという「1.25倍ルール」が定められているのが一般的です(元利均等返済の場合)。金利の上昇局面では、全期間固定金利型に比べて当初の適用金利は低めですが、その後の金利上昇によって適用金利が高くなるリスクがあります。

    (3)固定金利期間選択型

    3年間、5年間などというように一定期間は金利を固定し、その期間が終了した時点で再度金利を設定したり、変動金利型とするかを選択するタイプ。固定期間終了後の金利が大幅に上昇していた場合、変動金利型のような上限額の設定がないため、毎月返済額が大幅に増える可能性があります。金利水準は、全期間固定金利型より低めです。

    利用可能なタイプや金利は金融機関によって異なりますので、しっかり確認しておきましょう。

    返済方法は2択。元金+利息の合計額で毎月返済額が決まる

    住宅ローンの毎月返済額は「元金」と、金利から計算された「利息」の合計額で決まり、返済方法は「元利均等返済」「元金均等返済」の2パターンがあります。

    【元利均等返済】

    金利が一定であれば毎月返済額が一定(均等)となるしくみで、毎月返済額の内訳は、返済当初は利息の割合が大きく、元金が占める割合は小さめに。返済が進むにつれて利息の占める割合が小さくなり、元金の割合は大きくなります。

    【元金均等返済】

    借入元金を返済期間で均等に分けて元金部分を決め、借入残高に応じた利息を上乗せした毎月返済額を返済するしくみ。毎月返済額は、借入当初が最も多く、返済が進むにつれて減少。返済当初から元金部分の返済が進むため、元利均等返済に比べて支払う利息の総額は少なくなります。

    「元利均等返済」は毎月返済額が一定のため、返済計画を立てやすいという点がメリットです。しかし元金の返済が遅くなることから、元金均等返済に比べて支払う利息の総額は多くなります。また、変動金利型を元利均等返済で借りた場合、金利上昇時には予期せぬ事態となる可能性も。

    変動金利型では5年ルールや1.25倍ルールが適用されるため、金利が上昇した際に本来適用すべき毎月の返済額よりも少額の返済額となります。

    ですが、元利均等返済は利息を優先して支払うしくみのため、当初予定していたよりも元金が減りにくくなり、期限までに完済できない可能性が高まります。一方、「元金均等返済」は借入当初の毎月返済額が元利均等返済よりも高いため、審査が厳しい傾向にあります。

    また、利息の支払いを少なくしたいのであれば、返済を開始した後にまとまった一時金を返済に充てる「繰上げ返済」という方法もあります。充当の仕方によって、返済期間を短縮できる「期間短縮型」と毎月返済額を減額できる「返済額軽減型」がありますので、ライフプランに応じて選ぶとよいですね。

    ちなみに、「元利均等返済」を取り扱う金融機関は多いですが、「元金均等返済」はネット銀行などでは取扱いがないことも多いため、希望する場合は取扱いがある金融機関を調べた上で審査を申込むのがおすすめです。

    ほかにも金融機関を選ぶ際には以下のような点にも注意しましょう。

    • 通常の団体信用生命保険の条件である「ローン契約者が死亡あるいは高度障害状態になった時」に加え、三大疾病保障特約(がん、脳卒中、急性心筋梗塞で所定の状態になった場合に保障が受けられる)や八大疾病保障特約(上記の三大疾病に加え、さらに五疾患(糖尿病、高血圧症、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎不全)などになった時に保障が受けられる)などの、疾病保障付き団体信用生命保険を選ぶのであれば、金融機関によって保障内容と費用対効果が異なってくるため確認が必要です。

    • 金利の高低の判断は住宅ローンのタイプごとで行ないましょう。なぜなら、例えばA銀行は変動金利型年0.5%、全期間固定金利型年1.3%、B銀行は変動金利型年0.4%、全期間固定金利型年1.5%など、金融機関によって金利設定は異なるからです。そのため、自分が利用したい住宅ローンの種類を決めた上で、その種類ごとで比較・検討してください。

    • 住宅ローンは、金利が低いところほど手数料設定が高い傾向がありますので、金利だけでなく手数料も含めて比較することが大事です。例えば金利は年1.3%だが手数料は5万円+消費税でよいところと、金利は年1.1%だが手数料は融資額の2%+消費税、といったパターンがあり、借入額に基づいた総額を計算しないとどちらが有利か分からないからです。

    諸費用は新築マンションの場合は物件価格の3~6%、建売住宅や中古物件の場合は6~9%前後を目安に

    住宅を購入する際には住宅ローンだけでなく、現金での用意が求められる諸費用があることも注意しておきましょう。税金や手数料、保険料など、さまざまな費用がかかります。主な費用例は以下の通りです。

    ●[物件]に関わるもの

    印紙税、不動産取得税、登録免許税、司法書士への報酬、固定資産税精算金(および都市計画税精算金)、修繕積立基金、仲介手数料など。

    ●[住宅ローン]に関わるもの

    印紙税、登録免許税、司法書士への報酬、融資事務手数料、ローン保証料、物件調査手数料、火災保険料(および地震保険料)

    諸費用の総額の目安としては、新築マンションが物件価格の3~6%、建売住宅や中古物件の場合は6~9%前後と言われています。

    できる限り節約したいのが本音ですが、税金は節約不可で、司法書士手数料などの手数料も削るのは難しいでしょう。ただし、「ローン保証料がかからない金融機関を選ぶ」「融資事務手数料の負担の軽いところを選ぶ」「火災保険を金融機関で申込むのではなく自分でネットなどで調べて契約する」といった工夫の余地はあります。

    「住宅ローン控除」をはじめ、国の税制優遇や支援策は最大限活用を

    住宅を購入するときには、税制優遇や支援策も取りこぼさないよう活用したいところ。では、どんなものがあるのでしょうか。

    【住宅ローン控除】

    令和4年末までに40平方メートル以上など所定の要件を満たした住宅に入居した場合に、最大13年間にわたり、以下のうち一番低い額を所得税からの還付として受けられる制度。

    ※注文住宅は令和2年10月から令和3年9月末までの契約、分譲住宅なら令和2年12月から令和3年11月末までの契約など細かな要件があります。

    ① 借入額の年末残高の1%
    ② 一般住宅4,000万円、省エネ住宅等5,000万円、中古住宅2,000万円の各1%
    ③ その年の所得税額(住民税のうち所定額を加算可能)

    【住宅取得等資金贈与の特例】

    住宅購入時等に親や祖父母から贈与された額に対し、贈与税を減免する制度。令和3年度税制改正によって、令和3年4月~12月の非課税枠が、令和2年度の非課税枠の水準(省エネ住宅等は最大1,500万円、一般住宅は最大1,000万円)に引上げられることになりました。

    【すまい給付金】

    40平方メートル以上など所定の要件を満たした住宅を、令和4年末までに年収775万円以下(目安)の人が住宅ローンを借りて購入すると、最大50万円が給付されます。

    注文住宅は令和2年10月から令和3年9月末まで、分譲住宅なら令和2年12月から令和3年11月末までに契約した場合など細かな要件があります。

    【グリーン住宅ポイント制度】

    省エネ性能の高い住宅を購入する場合などに最大100万ポイントが発行される制度。1ポイント=1円で利用できます。

    【家を購入する際の税制優遇】

    印紙税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税について、マイホームの購入時には軽減が受けられる特例が継続中。

    以上ですが、これらの税制優遇の多くは令和3年度税制改正によって条件付きで拡充されたり延長されたりした位置づけのため、適用を受けるにあたっては財務省をはじめ各制度のホームページなどで要件を確認しましょう。

    ファミリータイプ別、住宅ローン&ライフプランの組み方は?

    住宅ローンの組み方は、家族構成によっても変わってきます。そこで、「独身」「共働き夫婦(子どもなし)」「共働き夫婦(子どもあり)」のファミリータイプ別に、住宅ローンやライフプランの組み方、また気をつけたいポイントなどを見ていきましょう。

    【独身】

    老後の生活を安定させるために、退職までに完済できるプランでの購入が重要です。将来売却したり貸し出したりすることも考慮して、資産価値の下がりにくい物件選びが無難です。セキュリティの高さ、最寄り駅や物件周辺の治安の良さなどを意識して選ぶことも大切です。

    【共働き夫婦(子どもなし)】

    共有名義にして、ペアローンや収入合算など2人でローンを組むケースが多いです。家族計画がある場合は、住宅ローン審査中に妊娠・出産・育児休業などが重なると妻の審査が通らない可能性が高いため、住宅ローン借入額が夫1人の返済で足りるような物件価格での購入がベター。さらに、以後の教育資金にしわ寄せが来ない、ゆとりを残した返済プランを立てましょう。

    【共働き夫婦(子どもあり)】

    こちらも、共有名義&2人でローンを組むケースが多いようです。ただし、子どもの教育資金づくりと並行して負担することになるため、住宅ローンの組み方は注意が必要です。2人で住宅ローンを組む際には、妻分は子どもの大学進学時期までに終わる返済期間で組むと、妻分の住宅ローン返済に充てていた額をそのまま教育資金に充てられるため、大学進学時の家計負担にゆとりをもたせることができます。

    住宅ローンを組む際は“無理なく”“ゆとりをもって”が鉄則

    ここまで、住宅ローンの手続きや金利、返済方法などさまざまな基礎知識を学んできましたが、大事なのは、金融機関が貸してくれる額で住宅ローンを借りるのではなく、“自分がちゃんと返していける額”で住宅ローンを組むこと。

    例えば、今の家賃が10万円で、購入予定のマンションの月々の維持費(管理費・修繕積立金)が2万円だった場合、毎月返済額が8万円までに収まる借入額で住宅ローンを組めば、購入前後で生活水準は変わりません。

    今後のライフプランを立てた上で住宅ローンを検討することは大前提ながら、人生はいつ何が起こるのか分からないもの。一生の買い物だからと背伸びをするよりも、無理のない返済計画を立てたいですね。

    (取材・執筆/ヨダヒロコ(六識))

    <専門家プロフィール>

    竹下さくらさん

    ファイナンシャル・プランナー(CFP/1級ファイナンシャルプランニング技能士)。生損保勤務を経て1998年よりFPとして独立、現在に至る。個人向けコンサルティングを主軸に、講演、執筆活動を行なう。『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)、『ローン以前の住宅購入の常識』(講談社)、『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』(翔泳社)など著書多数。

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