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人気アナリストが教えるピンチのときこそ活用したい投資術。これから注目の4分野とその銘柄とは!?


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    将来に備えて投資を始めたいが、コロナ禍における株式相場の乱高下を見ていると二の足を踏んでしまう……。そんな方は多いのではないでしょうか。しかしそういう状況においても、押さえておきたい“投資術”はあります。今回は、株式アナリストの鈴木一之氏に、こういう状況だからこそ注目したい4分野とその銘柄について伺いました。

    新型コロナウイルス感染拡大の影響で、緊急事態宣言が出された2020年4月の家計の消費支出は過去最大の減少幅(前年同月比11.1%減)となるなど、経済に大きな影響が出たことは記憶に新しいでしょう。

    株式市場では、イタリアや韓国での集団感染のニュースを受けた2月24日、パンデミック(世界的大流行)への警戒からニューヨーク市場でダウ平均株価が1000ドル余り下落しました。その後、日本市場においても、2月後半からの4週間で日経平均株価が約30%下落しました(コロナショック)。

    こんな状況を見ると、「やはり株式投資は大損をする可能性があるから危険」と考えがちですが、あながちそうとは言えません。実際、株式アナリストとして30年以上市場をウォッチしている鈴木さんによると、「株価の乱高下を見て過度に悲観的になる必要はありません。むしろマーケットが動いているときは、株式投資をスタートさせるチャンスとなり得ます。コロナ禍を引き起こしているのはウイルス。インフルエンザのように有効な治療薬やワクチンが出てくれば、状況は大きく改善するはずです」(鈴木さん、以下同)

    2カ月の間に、今後2年間で起こることが前倒しされた!

    むしろ鈴木さんが注目しているのは、コロナ禍が社会にもたらした変化です。

    「仕事はテレワーク、買い物はネットと、社会的な行動がことごとく現実からデジタルの世界に移行しています。米マイクロソフト社のナデラCEO(最高経営責任者)の言葉を借りれば、『コロナショック後の2カ月で、今後2年間で起こると想定されていたことが起こった』。つまり、2年後の未来の風景が今、目の前で繰り広げられているのです」

    8月13日には日経平均株価が2月21日以来、約半年ぶりの高値水準となるなど市場は回復してきましたが、この先感染の第2波、第3波が襲ってきたら、また大きく下げる局面があるかもしれません。そこで鈴木さんに、コロナショックを踏まえ、今後注目の銘柄を4つの分野別に伺いました。

    鈴木さんが注目するのは、①株主優待が人気の企業、②グローバルトップの企業、③医療関連の企業、④新しい産業構造から生まれた成長企業――の4つの分野です。

    ①から順番に見ていきましょう。

    その1 売られ過ぎた「優待銘柄」は拾っておくチャンス

    「外出自粛の影響を特に大きく受けたのが、外食・アパレル・航空・旅行・介護・人材派遣・イベント(エンターテインメント)などの業界です。いずれも個人消費に直結する内需企業で、株主優待の人気銘柄が多いのが特徴です。優待銘柄は愛好家が下支えするので下げ相場に強いと考えられていましたが、今回のコロナショックには当てはまらず、そろって株価を下げてしまいました。しかし見方を変えれば、業績が回復する見込みがあるなら、今の株価水準は魅力的です」

    東宝(9602)や東映(9605)は、外出自粛期間の長期化で「大スクリーンで映画を見たい」というニーズが高まっており、コンテンツ次第で観客の大幅増につながる可能性があります。外食産業も密閉・密集・密接の“3密”対策を徹底して反攻に出るでしょうから、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)、串カツ田中ホールディングス(3547)、DDホールディングス(3073)など、株価が下落したタイミングで拾っておけば、株価回復の恩恵を受けられそうです。スポーツジムはクラスター発生が痛手となりましたが、体を動かし免疫力を高めたいとの需要が発生しており、ルネサンス(2378)、セントラルスポーツ(4801)、東祥(8920)などの株価は見直されるとみています。

    その2 これからのグローバル企業に欠かせない「SDGs」

    プロの投資家からも関心を集めているテーマが「SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」です。これは、人類が生存可能な環境を次世代に残すために、2030年を期限として設定した17の目標と169の具体目標のことで、2015年9月の国連サミットで採択されました。SDGsの特徴は、環境保護や貧困・差別の克服などの目標を先進国と発展途上国とが一体となって達成を目指すことにあり、その重要な役割を担うのがグローバルな活動を行なう民間企業だということです。

    「今や、SDGsを無視した企業経営は考えられない状況です。企業によって温度差はありますが、活用しなければ国際入札や世界市場での取引で蚊帳の外に置かれてしまうリスクが出てきました。若い世代からの関心も高く、労働力人口が減少する日本では将来的に人材採用に影響する可能性もあります。一方で、企業としては利益の追求も考えなければなりません。投資する銘柄を選ぶ際には、SDGsと利益、高い事業効率性を同時に実現している国際競争力の高い企業(グローバルトップ)に注目するといいでしょう」

    代表格がオムロン(6645)。「FA(ファクトリーオートメーション)」と呼ばれる生産現場の制御機器の中核企業です。SDGsの先端企業として知る人ぞ知る存在で、オムロンの取組みを参考にSDGsへの参入度合いを決める企業もあると言われるほどです。家庭用品で世界トップクラスの花王(4452)も、オムロンと並ぶSDGsのフロントランナー。環境負荷の少ない洗浄成分を開発し、プラスチック容器の使用量削減も進めています。ダイキン工業(6367)は特に事業用に強く、空調事業で世界シェア1位。環境負荷の低減に早くから着手しており、気候変動の緩和に向けた環境技術を普及しています。

    その3 コロナと戦う「医療・ヘルスケア銘柄」が躍進

    新型コロナウイルス対策という見地からも注目したいのが、医療関連の銘柄です。

    「コロナショックで一時、市場は全面安となりましたが、中には、株価が下がっても下げ幅は小さく、すぐに値を戻して高値を追いかけている企業もあります。業種別に見るとやはり、医療・ヘルスケア関連にそうした立ち直りの早い銘柄が多くなっています。コロナ禍の原因がウイルスなので、治療薬やワクチンをはじめコロナ対策への期待から買われている面もあるでしょう」

    カテーテルやステントなど心臓病治療機器に特化し世界シェア上位のテルモ(4543)が、パンデミックで人工心肺が不足する中で高値を更新しています。会計不祥事発覚後に外部の力を借りて社内改革を断行したオリンパス(7733)も、主力の内視鏡が中国市場などで大きくシェアを伸ばしています。さらに、コロナ関連で忘れてはならないのが“マスク特需”のユニ・チャーム(8113)。24時間操業の増産体制で対応し、今年1~3月期の最終利益は前年同期比で51%増に拡大しています。

    その4 企業の課題解決をサポートする「新世代の成長銘柄」

    そして、鈴木さんが4つのテーマの中で最も注目と太鼓判を押すのが「新しい産業構造から生まれた成長企業」です。

    「近年、日本の産業構造は大きく転換しており、そこから誕生した新しいビジネスの分野で急成長している企業があります。そうした企業は、コロナ禍でも着実に売上や利益を伸ばし、コロナショック後もいち早く株価を戻しています」

    コロナ禍で特に厳しい状況に追いやられているのが中小企業。それがなくても、日本の中小企業は後継者不足や人手不足など多くの問題を抱えています。そこで、事業を引継ぎたい相手とのマッチングを行なっているのが日本M&Aセンター(2127)です。また、ダイワボウホールディングス(3107)は、コロナ禍で対応を迫られたITインフラ整備の面で中小企業を支援しています。インフラ整備関連では、エレベーターの定期点検や保守を行なうジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)も注目株。コロナ禍で企業の経費削減ニーズが高まる中、同業他社よりも割安な料金設定の同社のビジネスチャンスはさらに広がりそうです。これらの企業は本業の儲けを表す営業利益が直近の2~4年で倍増しており、株価も堅調に推移しています。

    鈴木さんのお薦め銘柄

    <優待銘柄>

    東宝
    (9602)
    日本映画の興行成績トップを独走。株主優待の権利確定・2月末、8月末。100株以上1万株未満は保有株数に応じた「映画招待券」、1万株以上は「映画招待券」20枚と「演劇招待券」(1公演のS席相当を2枚)がもらえる。
    クリエイト・レストランツ・ホールディングス
    (3387)
    多彩なレストランやショッピングセンターのフードコートを全国展開。株主優待の権利確定・2月末、8月末。保有株数に応じて「磯丸水産」「鳥良」「しゃぶ菜」「デザート王国」などで使える「食事優待券」がもらえる。100~199株2000円分、200~399株4000円分~。400株以上は1年以上の長期保有者に優待券を上乗せする特典も。
    ルネサンス
    (2378)
    スポーツクラブに加え、介護リハビリ施設も運営。株主優待の権利確定・3月末、9月末。保有株数に応じた「施設利用優待券」がもらえる(優待券1枚につき1人が1日無料でルネサンスの施設を利用できる)。100~199株2枚、200~299株4枚、300~399株6枚、400~499株8枚、500株以上10枚。

    <グローバルトップ>

    オムロン
    (6645)
    家庭用電子血圧計で世界シェア50%だが、コロナ禍では体温計でも存在感を示した。次世代通信規格「5G」関連の半導体生産用の機器なども好調を維持している。
    花王
    (4452)
    非常に規則正しいコスト管理や目標設定に定評がある。コロナ禍で化粧品事業が苦戦中だが、ハンドソープや手指の消毒薬など衛生関連の売上が伸びている。
    ダイキン工業
    (6367)
    エアコンの売れ行きは天候などにより大きく変わるが、生産ラインを工夫し、極めて短期間で生産体制や納期を調整できるフレキシビリティが同社の持ち味であり強み。

    <医療関連>

    テルモ
    (4543)
    コロナ肺炎の重症患者に使われる体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)などの手術用機器に加え、体温計や手指消毒剤の売上も伸びている。
    オリンパス
    (7733)
    コロナ禍で不急の手術が延期され、主力の内視鏡の売上が一時的に落ち込んだが、内視鏡や治療機器の販売自体は中国を中心に堅調に推移している。
    ユニ・チャーム
    (8113)
    コロナ対策で国内ではマスクやウエットティッシュ、海外でも紙おむつや生理用品に特需が発生し、大きく売上を伸ばした。衛生用品の需要は引き続き高い状態が続きそう。

    <成長分野>

    日本M&Aセンター
    (2127)
    1991年に全国の公認会計士や税理士が設立し、2007年に東証一部上場。地方銀行などと連携して中堅・中小企業のM&Aを手掛けている。前期まで、10期連続で過去最高益を更新中。
    ダイワボウホールディングス
    (3107)
    大和紡績などダイワボウグループの中核企業。法人向けのパソコンの更新需要や、リモートワーク・テレビ会議などによるIT投資の増加で、前期は本業の儲けを表す営業利益が4割増。
    ジャパンエレベーターサービスホールディングス
    (6544)
    独立系のエレベーター保守会社。国内の主要機種に対応しており、メーカー系に引けを取らない質の高いサービスを低料金で提供できる強みを持つ。保守契約数は5万台を突破。

    値動きが激しい株式市場こそ「分散投資」が有効

    日々の暮らしの中で、投資したい銘柄が見つかることもあるでしょう。例えば、たまたま目にしたニュースや広告に登場する企業、おいしかった外食チェーンなど、気になる銘柄が出てきたら、まずは自分なりにその企業について調べてみましょう。その上で投資するに値すると判断したら、さらに3日間待ってみましょう、と鈴木さんはアドバイスします。チャートで株価の動きを追いながら、値動きの傾向をつかんでから購入しましょう。

    ただし、株式市場の値動きが激しい昨今、一度に大金を投入するのは得策ではありません。銘柄や購入のタイミングを分散して、“高値づかみ”を避ける必要があります。そこで最後に鈴木さんに、100万円の投資資金があったら、どのような買い方をするのか伺いました。

    「私なら3つの銘柄に30万円ずつ投資します。これだと思う銘柄があれば、その銘柄に50万円、残りの2銘柄は20万円ずつにしてもよいでしょう。購入に際しては、1つの銘柄につき最低でも2回、できれば3回に分けて、株価の動きを見ながら同額ずつ買い増していくのがポイントです」

    ただ昨今、株価の値上がりによって、最低投資単位で購入しても50万円を超えてしまう銘柄が増えてきました。その場合に鈴木さんが推奨しているのが「単元未満株」の購入です。「これは1単元の株式数に満たない株式のことです。一部の証券会社では1株から売買できるので少額投資も可能です。株主総会での議決権行使はできませんが、配当請求権や株主代表訴訟提起権などの権利は、1単元以上を持つ場合と同様に認められています」

    これからも世界の情勢によって、株価の大きな値動きがあるのは必至ですが、長期的視点で見れば投資は将来の財産となります。まずは興味を持った銘柄でスタートしてみてはいかがでしょうか。

    株式アナリスト
    鈴木一之氏

    1961年生まれ。1983年千葉大学卒業後、大和證券に入社。1987年に株式トレーディング室に配属。2000年よりインフォストックスドットコムに場を移し、日本株チーフアナリストとして相場を景気循環論でとらえるシクリカル銘柄投資法を展開。テレビ、ラジオ、マネー誌で活躍中。

    (文/森田 聡子)

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