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「確定拠出年金」とは?知れば始めたくなるメリットなどを解説!


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    2019年、金融庁が「老後に必要な資産として公的年金だけでは2千万円不足する」というレポートを発表し、大きな話題になりました。また、公的年金の受給年齢が引上げられていることからも、特に若い世代を中心に、「自分で老後の資産を作ること」(=私的年金)の重要性が高まっています。そこで今回は、老後の不安払拭のための確定拠出年金がどのように役立つのか、若年層の生活設計に関する諸問題にも詳しい、ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんにお話を伺いました。

    知ってる?日本の年金制度

    私的年金の理解を深める前に、まずは日本の年金制度そのものについて知っておきましょう。山崎さんに解説していただきました。

    「日本の年金制度は3階建てになっています。基礎となる1階部分の国民年金は、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の全ての人が加入します。加えて会社員と公務員は2階部分の厚生年金にもあわせて加入しており、負担は大きいものの年金額も増えるしくみです。そして、私的年金は3階部分にあたります。

    そもそも、公的年金は『働けなくなっても最後まで国が生活を保障しますよ』という制度ですから、日常生活費に充てて、国民年金と厚生年金を合わせた額をやりくりするケースが多いでしょう。一方で、どんなに長生きをしても生涯ずっと受取れるという大きな安心もあります。

    ただ、やはり老後に重要なのは『生きがい』や『ゆとり』の要素です。自由な時間が圧倒的に増えますから、年に1回くらいは旅行に行きたいし、月に1回くらいは友達と会って食事を楽しみたい。映画や美術展もたまには顔を出したいですよね。そうなると、公的年金だけでは少し足りません。そこで、豊かな老後を過ごすために私的年金を活用して、自分で資産を作っていく必要が高まっています。何せ人生100年時代と言われるほど老後が長くなっていますから」

    「私的年金は、いくつかの制度があります。積立型に着目すると、確定給付型年金と確定拠出年金の2種類です。確定給付型年金は、『給付額』を先に決定した上で、退職金の一部として会社がお金を積立て、運用をしてくれるもの(確定給付企業年金)。一方、確定拠出年金は、『拠出額(掛金)』を先に決定した上で、自分で運用して増やしていくものです。企業型と個人型に分かれます」

    確定拠出年金には「企業型」と「個人型」がある

    確定拠出年金には、個人で加入する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と、企業が導入する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」という2種類があります。

    確定拠出年金のメリットとデメリットは?

    【4つのメリット】

    1.税金でお得(税制優遇措置が充実)

    確定拠出年金の大きなメリットが、税制優遇を受けられることです。個人が負担した掛金については所得控除を受けられます。簡単にいえば、自分の老後のために積立てるほど、所得税や住民税が安くなるということです。

    「例えば10万円稼いだとしても、所得税と住民税で計2万円引かれたら、手取りは8万円になってしまいます。もし確定拠出年金に積立を行なったとすれば、本来引かれるべき2万円分が引かれずそのまま積立てられます。また、通常は金融商品で運用すると、運用益には原則20.315%の税金がかかりますが、運用益は非課税となるためこれも引かれずにすみ、運用によってお金を増やすペースも高まります」

    2.自分で増やし方を決められる(運用商品を自分で選べる)

    「公的年金や確定給付型年金は、運用機関や商品を選ぶことはできません。国あるいは企業年金がまとめて運用の意思決定をしています。これは楽ではあるものの、「私はこうやって運用したい」と思う個人の希望には沿えません。その点、確定拠出年金は自分で自分の増やし方を決めることができます。ただし運用結果は自己責任ということになります。

    また、国の制度でありながら、金融機関ごとに取扱う運用商品が違うのも確定拠出年金の面白いところです。各社が独自のラインナップを提示していますから、自分の好みにあった金融機関を選んで始めることができるのです(iDeCoの場合)」

    3.あなたの財産として守られる

    もうひとつ、大きなメリットとなるのは、確定拠出年金に積立てている資産は自分の財産として保護・管理されていること。

    「例えば、会社が倒産してしまったら退職金は支給されないことがほとんどです。しかし、企業型DCは会社から切り離されて信託銀行に管理・保全されているので安心です。積立てたお金を会社が勝手に資金繰りに使ってしまった、ということがないわけです。業績悪化を理由に引下げられることもありません(確定給付企業年金の場合、給付額の引下げが行なわれることがあります)。

    これはiDeCoも同じです。iDeCoは国の制度という印象がありますが、積立てた掛金はそのまま民間の信託銀行に保管され、国が勝手にお金を使うことはできません。確定拠出年金は、私たちが積立てた資金を私たち自身の財産としてしっかり保護するしくみになっているわけです」

    4.資産状況が「見える化」される

    「確定拠出年金は、インターネット上で専用サイトにログインすれば、自分の資産状況を1円単位で確認することができます。こうした『見える化』は退職金制度や民間の保険では今までなかったことです。毎月の積立履歴と現在の資産残高が見え、将来的にいくら受取れるのかシミュレーションすることもできます」

    【3つのデメリット】

    一方、確定拠出年金にはデメリットもあるようです。

    1.資産減少のリスクがある

    確定拠出年金の運用商品には「元本確保型」と「価格変動型」という2種類がありますが、株式や債券などで運用する価格変動型は元本が保証されません。そのため、資産が減少するリスクがあります。

    「しかし、価格変動型と元本確保型の運用方法は組合わせることができます。資産減少のリスクを自分なりに減らすことはできるわけです。金融庁の試算でも、資産や地域を分散した積立投資を長期間続けることで、結果的に元本割れする可能性が低くなる傾向があることが示されています」

    2.早くても60歳までは運用中の資産を引出せない

    「確定拠出年金は、年金として将来に備えてもらうことが目的です。そのため早くても60歳にならなければ資産を引出すことができません(中途解約の条件は厳しく、ほとんどの人は対象外です)。ですから、生活に無理のない余裕資金で積立を続けていくことが大事です。ただ、引出すことはできませんが、iDeCoの場合は月5000円まで減額することと、積立を中断することはできます。ですから、状況に応じて見直しながら取組むことは可能です」

    3.手数料がかかる(iDeCoの場合)

    「一般的な銀行では、銀行口座を利用していても口座管理手数料は無料です(取引状況によってATM利用料がかかることもある)。しかしiDeCoの場合は口座管理手数料がかかることに注意が必要です」と山崎さん。

    「手数料は必ずかかるものと、金融機関ごとに異なるものがあります。金融機関選びのときに注目してみてください」

    上図のように、最低でも年間2000円少々は手数料がかかるようです。

    「ただ、上図の事務手数料と資産管理手数料の合計にあたる2052円(税込)についても、所得税や住民税の軽減額を考慮すればあまり心配しなくても大丈夫です。仮に年14.4万円(月1.2万円)を積立てられる人で、税負担が約20%と仮定すると、年2.88万円の税負担軽減になります。ここから2052円を手数料として支払ってもかなりお得ですね」

    どんな人が加入できて、どんな運用商品があるの?

    【企業型DCの場合】

    企業型DCは、会社が制度を導入していれば利用することができます。その他の特徴は以下のとおりです。

    • 60歳未満の会社員が利用可能(会社が認めている場合65歳未満まで可)
    • 掛金は原則として企業が負担
      ※加入者本人の拠出(全額所得控除の対象)も上乗せできるしくみがある=マッチング拠出
    • 掛金の上限は制度によって異なる

    【個人型(iDeCo)の場合】

    以前は、自営業者か企業型DCがない会社の会社員のみがiDeCoに加入することができました。しかし規制緩和で対象範囲が広がり、今は公務員や企業型DCに加入している会社員、専業主婦(夫)も加入できるようになりました。

    また、掛金の上限は国民年金保険の加入状況、会社の企業年金の有無によって異なります。

    企業型DCに加入している会社員の場合、会社の規約で認めている場合のみ、iDeCoに同時加入できます(なお、2022年10月施行予定の法律改正により、誰でもiDeCoに加入できるようになる見込みです)。

    【運用商品】

    運用商品は元本確保型と価格変動型の2種類があります。特徴や違いについて山崎さんに伺いました。

    ●元本確保型商品の特徴

    「元本確保型には定期預金や保険商品などがあります。大きな特徴は元本割れのリスクがないことです。iDeCoは『リスクを取らなければならない投資だ』というイメージが強くありますが、元本確保型の商品を選べば安定運用することも可能なのです。ここは誤解されているところです。また全額を元本確保型にするのではなく、5割あるいは3分の1を元本確保に回して残りを投資するような組合わせも可能です」と山崎さん。

    ただ、その分、現在は超低金利環境なので、効率的に資産を形成するという点では弱いというデメリットもあるようです。また、保険商品の一部などでは、中途解約時の手数料によって元本割れすることもあります。

    ●価格変動型商品の特徴

    資産を効率的に増やすためには、リスクを取ることを考えなければいけません。価格変動型は資産が減るリスクは確かにあるものの、効率的に資産を増やせる可能性は元本確保型よりも高まります。さらに山崎さんによれば、元本確保型であってもリスクは少なからずあるそう。

    「定期預金はリスクがないと思われていますが、インフレによって物価が上がってしまったら、その分通貨の価値は下がります。例えば物価が年2.0%上がったとき、預金金利が年0.1%であったら、元本は割れていないものの、結果として資産価値が目減りしていることになります。年2.0%増やさないと昔と同じモノを買えないからです。価格変動型の選択肢を運用に組入れることで、長期的にはインフレを上回るリターンを手にすることができると考えられています」

    確定拠出年金を始めるには?

    確定拠出年金に興味が湧いたら、手続きの流れをチェックしましょう。iDeCoを始めるまでの大きな流れは以下のようになっています。

    • 金融機関を選び、iDeCo口座を開設する
      iDeCoの取扱いがある証券会社などで口座を開設できます。申込書類は「インターネットで資料請求」「コンタクトセンターで資料請求」「店頭で資料請求」などで取り寄せ、指示に従い記入し提出します。

    • 掛金の拠出額を決める
      先ほど触れたように働き方などによって掛金の上限額は異なります。掛金額は年に1回変更ができます。

    • 運用する商品を選ぶ
      どの商品で運用するか決める必要があります。「貯める」ことを重視する元本確保型商品と、「増やす」ことを重視する価格変動型商品、それぞれの特徴を理解して自分に合う商品の組合わせを考えましょう。

    申込みに関して、山崎さんに注意点を伺いました。
    「iDeCoに申込むときには、基礎年金番号が必要です。さらに、会社員の方がiDeCoに加入するときには【第2号加入者に係る事業主の証明書】という書類に会社の押印をしてもらう必要があります。もしも会社で自分が初めてiDeCoに加入する場合は、会社が国民年金基金連合会に事業所登録をしなければなりません。このように、少し手間のかかる手続きもあるので、困ったときはコンタクトセンターなどに問合せをしてください」

    豊かな老後のためには、できるだけ早いうちから資産形成をしておきたいもの。そこで役立つのが確定拠出年金です。

    「若い人の中には、『子育てや住宅ローンの支払いが終わってから老後の資産形成を始めよう』と考えている人が多いかもしれません。ですが、晩婚化が進む団塊ジュニア以降の世代では、子どもが社会人になったとき、自分はもう60歳ということがしばしばです。住宅ローンも普通は定年まで払い続けることでしょう。今は老後の資産形成と子育て資金の確保を同時進行でやっていかなければならない時代なのです。

    私も、下の子が大学を卒業するとき65歳ですから、そこからあわててiDeCoを始めようと思っても遅いですよね。だから10年以上前からiDeCoにコツコツ積立をしています。

    また、iDeCoなどは早く始めるほど税制優遇を受けられる期間が長いわけです。50歳のときに『お金はあるので過去10年分一気に積立したい』と言っても、ゼロからの積立しかできませんし、税制優遇はその月からしか受けられません。つまり、iDeCoにまだ加入していないというのは、税制優遇の権利を毎月手放してしまっていることになります。できるだけ早めに始めることで、自分の将来の豊かさを準備してほしいですね」と山崎さん。

    所得控除のメリットを最大限に生かし、無理のない範囲で積立を続けていくためにも、早いうちから確定拠出年金を活用したいですね。

    文/金子千鶴代

    <専門家プロフィール>

    山崎 俊輔さん

    フィナンシャル・ウィズダム代表。月12本ものネット連載を抱え、月200万PV以上を稼ぐ人気ファイナンシャルプランナー/消費生活アドバイザー。特に確定拠出年金とリタイアメントプランに強い年金教育家、投資教育家として活躍中。近刊に『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』(日経BP)『スマホ1台で1000万円得する! マネーアプリ超活用術』(PHP研究所)など。

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