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年収3万円の元お笑い芸人が株式投資で資産1億円になれた理由 vol.1


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    売れない時代に株を買ったから今がある!

    株式投資については「興味はあるけど、なんだか怖い…」と感じる人もいるかもしれません。今回はコントトリオ「シンブン」(元ザ・フライ)の一人としてキングオブコント2011で準決勝進出の経験があり、芸人引退後は個人投資家に転身した井村俊哉さんに、元手100万円から1億円に達成した道のりについてお聞きしました。山あり谷ありがあったようで、中にはあまり参考にならない、むしろ真似をしては危ない部分もありますが(笑)、投資に対するヒントが満載のお話をうかがいました!

    井村さんが株を始めたのは、芸人活動の下積み時代を支える収入として株式投資を思い立ったのがキッカケだったそう。

    「『芸人はしばらく下積み生活だから、収入を得るためにアルバイトが必須』と聞いていました。でも、1日1万円のバイトをしながら芸人を目指すのは大変…もし、株で同じくらい儲けられたらいいなと安易に考えてスタートしました」(井村さん、以下同)

    とはいえ普通の人なら、いきなり株に挑戦するのは怖いもの。ところが井村さんは、昔からお金に興味を持っていて、意外と抵抗は少なかったそう。

    「中学時代にさかのぼるのですが、家のポストにゲームショップのチラシが何枚か入っていたんです。A店では新品のゲームソフトが1980円で販売されていて、B店では同じソフトが3500円で高価買取中とある。『1980円で買って、3500円で売ったら儲かるのでは…』と試してみたら本当に儲かってしまった!そこから、お金への興味がどんどんわいていきました」

    そんな原体験もあり、芸人を目指していた21歳のとき、手元にあった100万円で地銀の株を購入したとのこと。

    「101万円で売れば、1万円の利益が出るという考え方でした。今となっては、『株はそんな単純なものじゃない!』と、突っ込みたいですけどね」

    その後は株主優待狙いで焼肉の会社の株を買ったり、リーマンショックで痛い目にあったりとさまざまな経験を重ねます。

    「ただ、芸人の養成所に入って本格的に活動し始めてからは、株価を見ている時間がなくなって、放置するようになりました」

    結婚を本気で考えたときに、再び“株熱”が浮上

    「株で生計を立てるのは難しい」と考え、結局はアルバイトをしながら芸人活動に励んでいた井村さん。ところが、転機が訪れます。それは、2010年末に今の奥様となる女性に出会ったことでした。

    「それまでは、一生売れない芸人のままでいいと思っていました。芸人としての年収3万円でしたけど(笑)。でも、今の妻である女性と出会ってお付き合いをすることになり、初めて将来のことを考えました。『現実を見なきゃ』『でも芸人はやめたくない』と思って、再び浮かんできたのが株式投資でした。以前は手ごたえがないまま終わってしまったけれど、これからしっかり勉強したら生活費ぐらいは稼げて、芸人も続けられて、未来が開けるのではと思ったのです」

    株の勉強を始め、さらに“中小企業診断士”の資格取得も目指した井村さん。財務諸表を読めれば株式投資にも役立つし、士業の資格があれば、いざとなれば仕事がある。「彼女の親御さんにも堂々と言えると思ったし、勉強はまったく苦ではありませんでしたね」

    本格的に株を学び、10倍になったものも!

    午前中は図書館で勉強し、午後からトレードをする生活に。そんな毎日が2011年の1月ごろから2年間続きました。

    「株についての本を読みあさり、最初に影響を受けたのが、バリュー投資家のバイブルともいえる『賢明なる投資家』。ベンジャミン・グレアムという、ウォーレン・バフェットの御師匠さんの本で、株のイロハを学びました。また『オニールの成長株発掘法』も衝撃的でした。株価が上がっていても、それ以上上がるなら買ってもいいと書いてあって。この方法を短期でも取り入れたら、利益が上げやすいのではと考えました」

    気づいたことは、どんどんノートにメモ。そして2011年ごろに買った株が、2013年~2014年には最終的に10倍にも値上がりするという経験をします。

    「あるIT企業の株なのですが、2012年の株主総会を聞いていて、この会社はいけると確信して、持っていたお金の残り全部を追加で入れました。それが結果的に10倍になったんです」

    学んだことはすぐメモを取る。この習慣は今も健在!

    株で大失敗しそうになり、泣きながら母親に電話したことも

    そうして、株で1億円を築いた井村さんですが、それまではもちろん良いことばかりではありません。あわや大失敗?もありました。別のある会社の株を買っていたら粉飾決算がわかり、ストップ安が続き、売り注文ができないまま週末に持ち越した時です。

    「もう終わったと思い、『芸人も株も辞めて、田舎に帰るかもしれない』と泣きながら母親に電話しました。ところがその週末に上場維持が発表され、週明けに一転してストップ高。信用取引でレバレッジ(証券会社から資金を借りるかたちで、自己資金よりも大きな金額で投資を行なうこと)をかけていたので、いっきに100万円近く増えました。ものすごくラッキーでした。もちろん誰にでもオススメできるやり方ではないですけどね(苦笑)」

    まさに偶然に助けられたかたちで、九死に一生を得た井村さん。その後も、株価を毎日チェックし上げ下げの一瞬を狙ういわゆる“デイトレーダー”の日々が続き、朝6時から午後の3時まで集中して、“飲まず食わず”という時もあったそう。井村さんには2歳と生まれたばかりの2人の娘さんがいますが、一人目の娘さんが生まれたころも株漬けの生活をしていました。しかし、2017年にデイトレーダーをやめることになった出来事が……。

    妻に投げかけられた一言で投資スタイルを変更!

    「デイトレーダーは、たった1回の取引で長年積み上げてきた利益が全部なくなってしまうことがあります。それも経験と考えると努力は無駄ではないような気もしますが、どうしても日々の株価の上げ下げにイライラしたり、悲壮感がただよったりしがち。そんな状態で生まれたばかりの娘を抱っこしていたら、『そんな顔をして抱かないで!』と妻に言われました。いよいよ、投資法を本気で変えなければと思いました」

    自分の精神も安定して、収益も出て、子育てとも両立できる投資法とは…。試行錯誤を経て「良いと思う会社を数社に絞って、長期で考えて投資する」という現在の方法にたどり着きます。

    「株に時間をかけすぎると、家族の時間がなくなってしまいます。それでは、何のための投資かがわかりません。長期投資なら、時間を味方にして、企業が成長するところのおこぼれをちょっといただく。投資先の会社の方々が、代わりに稼いでくれているというイメージです。株価を毎日チェックする必要はありませんから、時間がない人には向いていると思います」

    子育て真っ最中の井村さんだからこそ語れる本音の投資トーク。株式投資に興味が出てきた方も多いのではないでしょうか。次回は、共働き子育て家庭に向けて、おすすめの株投資の方法などについて具体的に教えていただきます!

    井村俊哉さん

    元・株大好き芸人。個人投資家。中小企業診断士。1984年生まれ、群馬大学卒。2011年に100万円の元手で株式投資を本格的にスタート。2017年4月に1億円を達成。キングオブコント2011で3人組のコントトリオ「シンブン」(元ザ・フライ)で準決勝に進出したが、芸人は2017年6月に引退。現在は日経CNBCコメンテーターなどをしながら投資領域で起業準備中。2児の父でもある。2018年12月に著書『年収3万円のお笑い芸人でも1億円つくれたお金の増やし方5.0』(日経BP社)を発刊。

    (文/西山美紀 撮影/稲垣純也)

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