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家族もハッピー!桐谷さんが選ぶ優待銘柄


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    将来のためにそろそろ資産形成を始めたい――。そんな子育て世代の選択肢に挙げられるものの一つとして「株主優待投資」があります。人生100年時代に備えつつ、日々の暮らしに役立つ優待品ももらえるという一石二鳥の投資法です。元プロ棋士でテレビでもおなじみの優待投資家、桐谷広人さんに、個人の少額投資家にこそ有利に働く優待投資の魅力を伺うとともに、共働き子育て世代に嬉しい、レジャー・外食・食品関連の優待品がもらえる銘柄も厳選してもらいました。

    上場企業の約4割が株主優待を実施!

    株主優待とは、企業が株主に向けて年に1~2回贈るお礼の品のようなもの。各社が定める権利確定日という日に株主になっているともらえます。株主優待品の内容は、企業の自社製品をはじめ自社サービスの優待券、金券など様々です。優待を実施する企業は年々増え、現在は約1470社(2018年10月15日時点)。株式市場に上場している銘柄数は約3600社(対象:東証・大証、2018年10月15日時点)なので、約4割が株主優待制度を取扱っていることになります。

    そのうち桐谷さんが保有する優待銘柄は800社余りとのこと。毎日のように送られてくる優待品は、お米、果物、レトルト食品、お菓子といった食べ物から、衣類、眼鏡、靴などの購入時に使える金券、飲食店で使える食事券、映画やテーマパークなどレジャー施設の優待券、クオカードなど、挙げていくときりがないほど。「これだけあると、普段の生活からレジャーまでほとんど優待品で賄えます。おかげで現金をあまり使わずに済んでいます」(桐谷さん)。そこまでになるのは難しいかもしれませんが、子育て世代が楽しみながら資産形成するには優待投資がうってつけだと桐谷さんはアドバイスします。その理由は何なのでしょう。

    この日の桐谷さんの洋服、バッグもすべて優待品でした

    暴落時でも優待株は大きく下がらない傾向

    「株式投資は損をしそうで怖いと思っている人が多い。でもやり方次第なんです」。株式投資というと、売買により利益を得るものというイメージがありますが、それだけではありません。購入して株主になることにより、年に1~2回、投資先の企業から配当という利益還元を受けられたり、ここで取り上げている株主優待を受けられたりします。こうした定期的な収入の魅力に注目して投資をすると、メリットを継続的に得るために株を長く保有することになり、短期的な株価の動きはあまり気にならなくなるとのこと。

    「魅力的な優待品を提供してくれる会社だと、株式相場全体が落込むようなときでも、個人投資家は優待のメリットを手放したくないので売らない。だから株価が大きく下がらない傾向があります。優待株はその企業が優待をやめない限りはあまり損をしないといえると思います」

    桐谷さんが毎日持ち歩いている「優待財布」は、さまざまな企業の優待券でパンパン。ただ今夏、大失敗したとのこと。。

    「お盆休み中に平日用の優待券を持ってその企業のお店で食事をしたら、『お盆なので休日券しか使えません』って言われちゃって…。泣く泣く現金で支払いました」(桐谷さん)

    株主優待は少額投資家ほどおトクな制度

    優待投資は少額投資家ほど得をする仕組みになっていることも魅力だと、桐谷さんは話します。「資本主義社会というのは、お金持ちがよりお金持ちになるような仕組みになっていますが、例外が株主優待なのです」。株主優待を受けるには所定の株数を保有していることが条件になりますが、大抵の銘柄は株の売買単位である100株を保有していれば優待が受けられます。

    「ですが、100株の10倍の1000株持てば優待品が10倍になるというものでもないのです。中には株数に応じて優待内容がアップする銘柄もありますが、たいていは優待に必要な最小の株数を保有している場合が一番割りがよく、優待品を金額換算した数値を投資金額で割った“優待利回り”が一番高くなります」

    例えば、株価が1000円で、100株以上保有していれば年に4000円相当の優待品がもらえる銘柄があったとしましょう。この銘柄を1000株購入した場合の優待利回りは、『優待品の金額換算(年4000円)÷銘柄の購入金額(株価1000円×1000株=100万円)=0.4%』となります。一方、100株だけ購入した場合の優待利回りは、『優待品の金額換算(年4000円)÷銘柄の購入金額(株価1000円×100株=10万円)=4%』と、1000株の場合の10倍に!「このように少額投資家のほうが得をするのが優待投資なのです」。

    優待投資は長期的な資産形成に向く

    でもまとまった資金がないから……。そう尻込みする人もいるかもしれませんが、「優待株は数万円程度から買える銘柄もあるので、使途の決まっていない余裕資金があるなら、まずは1つ買って試してみましょう」と桐谷さんは勧めます。「買ってみて株の値動きを実感したり、優待品が届く楽しさを味わったりして、優待株投資のよさが実感できたら、少しずつ銘柄を増やしていくといいですね」。

    「優待品としてコンビニなどで使えるクオカードをくれる企業も多いので、例えば1000円分のクオカードをもらえれば、その分買い物代金の節約ができます。そうやって優待で浮いた分をコツコツ貯めて、次の銘柄を買う資金の足しにして投資を続けると、定年退職するぐらいまでに相当な銘柄数を保有できます。優待品である程度生活が賄えるぐらいになるかもしれませんよ」。

    優待に加えて配当も受取れれば、年金生活の大きな助けになると考えられます。現役時代に増やしてきた銘柄を状況に応じて売却し、老後資金として使うこともできます。今から優待投資をしておけば、人生100年時代ともいわれる時代にも老後不安にかられずに対応できそうです。

    桐谷さん流のお得な銘柄の見分け方、教えます!

    ではどのように選べばいいのでしょうか。「私はいつも総合利回り4%以上を基準に選んでいます」(桐谷さん)。総合利回りとは、「年間の優待品+年間の配当金」の割合が投資金額に対して何%に相当するかを示したもの。『{優待品の金額換算(年間)+配当金(年額)}÷銘柄の購入金額』という計算式で求められます。

    「これが4%以上ならお得な銘柄だと判断できます」。ただし総合利回りが高ければいいというものではないと桐谷さん。「優待の継続には企業業績の安定がポイントになります。業績の安定性を示す指標の一つが配当。総合利回りが4%以上で継続的に配当を出している銘柄を選ぶようにすると、あまり失敗はないでしょう」。

    下の表は桐谷さんが共働き子育て世帯にお勧めする銘柄。レジャー、外食、食品・飲料の3つのカテゴリーにつき、4銘柄ずつ厳選してもらったのでご参考に。

    「レジャーのフジ・メディア・ホールディングス(4676)は“隠れ優待”が魅力。隠れ優待とは正規の優待品ではないのですが、株主総会の前に送られてくる議決権行使書を返送したりするともらえる品のこと。同社の場合、お台場にあるフジテレビ本社の球体展望台『はちたま』の無料見学パスポートがもらえてお得。1回につき8人まで無料で入場できるので、友人家族やおじいちゃん・おばあちゃんと一緒に遊びにいくときに役立ちそうです。ほかに隠れ優待として、クオカードやお菓子の詰め合わせなどをくれる企業もありますよ」。

    外食で注目なのはカッパ・クリエイト(7421)。「かっぱ寿司で有名ですが、外食大手のコロワイドの傘下にあり、優待ポイントはコロワイドグループ(コロワイド、アトム、カッパ・クリエイト)の各店舗で使えます。」

    食品・飲料で要チェックはホリイフードサービス(3077)。「外食チェーンの会社なので店舗で使える優待券がもらえるのですが、これを使わずに返送するとお米と引換えてくれます。100株の場合、4kgのお米がもらえます。お米をくれる銘柄は多いのですが、その中でも利回りが高いのでお勧めです」。

    わが家にいくら余裕資金があるか確認し、株式投資に充てる予算を決めて選んでみましょう。

    (文/萬真知子 撮影/木村輝)

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