タイプ別・あなたが投資を始められない理由と即効解決策
超低金利時代のいま、預金だけでなく投資もした方がよさそうだと感じている人は大勢いるはずですが、簡単に始める気になれない人もまだ多いようです。分かっているのに行動に移せないのは、どうしてなのでしょう?
投資デビューをためらう人たちの心のうちを、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんが、マネー相談やセミナーで出会った人たちの実例に基づいてタイプ分析。投資を始められない人が、投資デビューするためのアドバイスをいただきました。
氏家祥美さん
(ハートマネー代表/家計研究家)
2005年、家計簿主婦から一転、FP会社の立ち上げに参画。2010年にFP事務所ハートマネーを設立。お金・仕事・時間のバランスが取れた幸福度の高い家計を追求する。「子どもの年代別 学校に行かせるお金の貯め方」(PHP研究所)ほか著書多数。
超低金利時代のいま、預金ばかりしている場合じゃない?!
メガバンクの普通預金金利は年0.001%、定期預金でも年0.01%という超低金利時代(2017年9月時点)。コツコツ貯蓄をしているだけでは、お金はほとんど増えません。たとえば年0.01%の利率で毎月1万円を20年間積み立てても、運用収益はわずか2,400円ほど。一方、同額の積み立てでも年3%で運用できたとすると、20年間で約87万6,600円の収益が見込めます(手数料、税金等は考慮していません)。
大和証券「カンタン!つみたてシミュレーション」 による結果
毎月1万円を20年間、年0.01%で積み立てた場合(左)と年3.0%で積み立てた場合(右)のシミュレーション。0.01%では運用収益はごくわずかなので、20年たってもほぼ投資元本のまま。それに対し3%で運用すれば約1.36倍に増えます(手数料、税金等は考慮していません)。
「投資を難しく考え過ぎて、なかなか始められない人も多いですね。でも全部を理解してからやろうと思っていたら、いつまでたっても始められません。まずは小さな金額で始めてみてください。実際に始めてみると、経済や投資に関する情報を意識して集めるようになります。そして値上がりや値下がりを経験することで、投資との付き合い方も分かってくるはずです」と氏家さんはアドバイスします。
投資を始めないのはどうして? 理由と対策をタイプ別に分析
投資は必要と分かっていても始められないのは、どんな気持ちが影響しているのでしょう? その原因を具体的なタイプに分け、タイプごとにどう考えれば投資デビューができるのか、どんな商品なら始めやすいのかを氏家さんに解説していただきました。
【タイプ1】知識も経験もないし、投資って難しそう。「よく分からないから無理ムリ」さん
◆どんな人?
投資を始めるには本を読んだり、セミナーへ行って勉強しなくてはいけないと思っている人。そもそも、知らないことや経験がないことにチャレンジするのが苦手。
◆投資デビューへのアドバイス
詳しい運用知識がなくても始められるのが、投資の専門家(ファンドマネジャー)に運用を任せる投資信託。自宅に届けられたり、サイトで提供されたりする運用状況に関するレポートなどをチェックして、分からないことを調べるなど、少しずつ知識を増やしていきましょう。
◆こんな商品がおススメ!「バランス型投資信託」
複数の金融商品に投資する投資信託の中でも、バランス型はさまざまな投資先や投資対象を組み合わせたもので、いわば世界中の金融商品にお手軽に分散投資ができるような便利な商品です。
【タイプ2】投資はお金持ちがやることでしょう?「庶民の私には関係ない」さん
◆どんな人?
投資はまとまったお金を持っていて、家計に十分余裕がある人がやるもの。自分には縁がないと決めつけて、自分が投資をすることは眼中にない人。
◆投資デビューへのアドバイス
「お金に働いてもらう」投資は、低金利時代のいま、資産が少ない人にこそ将来のため必要なこと。証券会社は、株式や投資信託に少額から積み立てで投資できるサービスも提供していますから、資金が少ない人は積立投資でデビューをしましょう。
◆こんな商品がおススメ!「投信積立」
投資信託を指定のタイミングで一定額ずつ買い付けていく投信積立。
積立金額は100円以上1円単位と少額からOK、気軽に始めることができます。
【タイプ3】お金が減るのはイヤだから始められない、「怖がりのチワワ」さん
◆どんな人?
お金が減るのは絶対にイヤ!絶叫マシンも嫌いな怖がりだから、値下がりするたびにドキドキしそう。損をする可能性もある投資を、あえてやる必要はないと思っている人。
◆投資デビューへのアドバイス
「投資」は短期の売買で利益を追求する「投機」とは違います。リスクを分散して長期間続けていけば、預金以上のリターンが得られる可能性もあるのです。さらに手数料や税金なども意識することで、より収益を減らさないやり方も可能になります。
◆こんな商品がおススメ!「つみたてNISA」
預金の利息と同じように投資商品の運用益にも20.315%の税金(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。これが非課税になるのがNISA(少額投資非課税制度)。現在は20歳※1以上が対象のNISA、0歳から19歳までが対象のジュニアNISAがあり、非課税で投資できる金額に違いはありますが、いずれも長期間の投資をサポートしてくれる制度です。特にジュニアNISAは口座開設者が18歳になるまで原則払出しできないので※2、教育資金を目的とした投資にもってこい。さらに2018年からは積立投資に特化し、非課税期間が最長20年という、つみたてNISAもスタートします。6000本以上ある投資信託の中から、長期の積立・分散投資に適している、低コストなど一定の基準を満たした商品だけが対象になっているので、初心者でも商品選びがしやすい制度です。
※1 2023年1月1日より「20歳」と記載の箇所は「18歳」、「19歳」と記載の箇所は「17歳」となります。
※2 災害時等、やむを得ない事情の場合は非課税で払出し可能。また、2024年1月1日以降は払出し制限がなくなり、18歳に達していなくても払出し(出金・出庫)ができます。
【タイプ4】始めるきっかけがつかめない、「何事も他力本願」さん
◆どんな人?
物事を始めるときには、必ずきっかけがあったり、必要と思える出来事が起きたりするものだと考えている。自分は投資を始めようと思う機会に出会っていないので、まだその時期ではないと思っている人。
◆投資デビューへのアドバイス
投資を始めるきっかけは、意外に身近なところにあるものです。例えば、買おうと思っていたハイブランドのバッグが値上がりしていた、海外旅行で前回と同じ金額を使ったのにクレジットカードの請求額が思ったより高かった。これらは、為替相場の変動によって起こる現象。そんな、小さな「?」を見逃さないことも投資デビューへの道です。
◆こんな商品がおススメ!「外貨預金」
為替の変動に「?」を感じたのも何かのチャンス。外貨預金を始めるきっかけになるかもしれません。特に米ドルやユーロなどは、新聞やテレビのニュースなどで相場を知るのも簡単なので、初心者でも取引を始めやすい通貨。外貨預金は一般の普通預金(円預金)に比べて金利が高いことも多く、将来が楽しみになります。
【タイプ5】金融商品より子どもにお金を使いたい、「子どもファースト」さん
投資をする余裕があったら、子どものためにお金を使いたいと思っている。もちろん教育資金は確実に貯めたいから、投資で増やすことは考えていない人。
◆投資デビューへのアドバイス
子どもが幼稚園から小学校のころは、家計に比較的余裕があるため習い事などを増やしがちですが、この時期から計画的に貯めて将来に備えたいもの。ボーナスや余裕資金の一部を活用して、子育て世代に優しい企業の株式に投資してみる方法もあります。将来の値上がり益に加え、株主優待で親子でお得に楽しむことを考えてみましょう。
◆こんな商品がおススメ!「株主優待が魅力的な日本株」
株を購入して株主になり一定条件を満たしていると、年に1回または数回、商品やサービスなどを株主優待として送ってくれる企業があります。株主優待目的で買うなら、割引券がもらえる外食や小売り、レジャー施設、自社製品がもらえる食品などを中心に、子育て世代にうれしい株主優待の内容をチェックしてみましょう。株価は変動しますが、株を購入すると配当金を受け取れることもあり、預金金利以上の配当利回りを得られる可能性もあります。
まずは口座開設の手続きを。手続きはスマホでも完了!
投資デビューは誰でも簡単にできますが、必要なものがあります。それは証券口座です。口座を開設すればスマホアプリで情報収集をしたり、アナリストのレポートを読んだり、初心者向けのセミナーに参加してみたりと、投資情報に触れる機会をたくさん持つことができます。投資デビューに備え、早めに証券口座を開設して情報をキャッチする習慣をつけておきたいもの。
「思い立ったときに口座を開設しておくことは、そうした機会を逃さないためにもおススメです。それに口座開設だけならお金はいりませんし、証券会社の口座開設者向けのサイトで様々な情報を無料で閲覧できるようになります。投資を始めない理由として、証券会社の窓口へ行く時間がない、行ったことがないから少し怖い気がするという声を聞くこともありますが、口座開設や取引は店頭だけでなくパソコンやスマホでもできますよ」と氏家さん。
まずは投資デビューに向けて、口座開設から始めてみませんか。
取材・文:鈴木弥生
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