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「男は投資」、「女は貯蓄」が好きってホント?


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    “お金”に対する意識の違いは夫婦ゲンカの原因に

    資産運用の話をするとき、しばしば語られるのが「男性は投資が好き、女性は貯蓄が好き」とする説。これは事実なのでしょうか? 男性ホルモンにはハイリスク・ハイリターンを好む傾向があるから投資好き、女性ホルモンは協調性を好むので周囲と同じようにするために貯蓄好き……と言われたりもしますが、明確な学説があるわけではなさそうです。

    夫婦ゲンカの理由の多くは「貯金(の必要性)に対する意識の違い」と言われています。確かに夫婦となったら、お金の使い方・貯め方に対する考え方の違いを、男女の特性だからで済ませるわけにはいきません。では、夫婦ふたりで上手に家計を管理するためにはどうしたらいいのでしょう。ご夫婦でFPオフィスを主宰する平野泰嗣さん、平野直子さんにお話をうかがいました。

    投資の好き嫌いに男女の違いはない!?

    「投資に対する考え方は、好き嫌いの問題ではないと思っています」と、最初から定説とは違う視点を披露してくれたファイナンシャル・プランナーの平野泰嗣さん。「投資経験は、年収や資産が多い人ほど高い傾向があります。20代の女性はそれほど資産がありませんし、結婚して専業主婦になると家計を預かる立場としてはリスクを伴う証券取引には手を出しにくい。こうした理由が重なって、女性は投資と接する機会がなかったからだと類推します。かつて男性は狩猟をし、女性は実を採っていたから……という説もありますが、血液型と同じラベリングのようなもので、投資の好き嫌いに男女の違いはないように思います」。

    妻でファイナンシャル・プランナーの平野直子さんも「FX投資が話題になったとき、マスコミに登場するのは主婦の方が多かったですよね。ネット社会になって情報を得ることが手近になり、取引も自宅に居ながらできるようになりました。男女の違いというよりも、自分の資産をどうするかへの関心の有無の差ではないでしょうか」。

    やっぱり女性は預金・保険が好き!

    とはいえ実際の金融資産の保有行動には、やはり男女の特徴が表れています。

    総務省統計局の平成26年「全国消費実態調査」の貯蓄・負債の現在高と保有率によると、単身世帯の場合、有価証券の保有率は30歳未満は男性=5.5%、女性=4.3%と大きな差はありませんが、30代になると男性=22.4%、女性=8.1%と大きく差が開いています。また、全年齢平均の定期預金保有率は男性=53.3%、女性=66.5%、生命保険などの保有率は男性=37.8%、女性=48.3%で、女性が大きく上回っています。

    「女性の方が寿命が長いので、将来への不安が大きいことも影響がありそうです。先がわからないから、安全な商品でコツコツ貯めていこうと思うのではないでしょうか。収入が少ないから、減らすことへの不安も大きいのかもしれません」(泰嗣さん)。

    投資はきっかけ、周囲の環境の影響が大きい

    投資経験の有無や意欲を左右するのは、男女の違いというよりも環境やきっかけによるものが大きいという平野夫妻。

    「相談者のご夫婦を見ていると、ライフプランを作成しキャッシュフローはこのままで問題ないことがわかったとき、投資経験のある夫はそれでも投資商品での運用を検討します。ところが投資経験のない妻は、問題がなければあえてリスクを取って運用をしようとは考えません。でも、これは男女による違いではなく投資経験の差によるものだと思います」(泰嗣さん)。

    女性でも両親や祖父母が株式投資をしていた人は、投資に対して抵抗が少ない傾向があるといいます。女性向けの投資セミナーなども活況を呈していますし、20代女性の4割以上が株式投資は魅力的だと考えているという統計データもあります。草食男子・肉食女子時代でもあり、近い将来は投資をする女性が大きく増えるかもしれません。

    ライフプランがあれば、投資も貯蓄も好き嫌いは関係ない

    共働きが多くなり、家計はそれぞれの給料から生活費を出し合い、残りは各自で管理するという家庭が増えています。これだと生活費以外の部分が不透明になり、きちんと貯められていないと夫婦ゲンカの原因になります。

    「きちんと家計管理をしようと思ったら、まず二人でライフプランを作ってください」と泰嗣さん。

    確かに同じ年収の家庭でも、住宅はどうするのか? 子どもは何人欲しいのか? といった夢や目標によって“必要なお金=貯めなくてはいけないお金”は変わってくるはずです。

    「家族としてのプランだけでなく、それぞれがやりたいことも書き出してみましょう。そうすると貯めなくてはいけないお金がわかります。夫婦の小遣いは、収入から家計費と貯めるお金を引いた残りの金額。予算を決めたら、支出内容にはお互いに関与しないことがポイント。個人的な支出は夫婦ゲンカの原因になりやすいので、予算さえ守っていればお互い自由にすることでケンカを避けるのです」と直子さんはアドバイスします。

    投資と貯蓄を成功させる秘訣は?

    「ライフプランをきちんと作っている人は、きちんと貯められていますし、投資をしている人も多いです」と泰嗣さん。

    長い時間のお金の動きを数字で理解すると、長期投資は効果が大きいことに気づき投資を始めようと考えるのだといいます。

    「確実に貯めるには、給料天引きなどできるだけ上流で、かつ解約しにくい方法で貯めるお金を確保してしまうこと。投資を成功させるには、積み立ての仕組みを作り途中で止めない強い意志を持つこと。ライフプランを明確にすると、収支を毎月ではなく一生で考えられるようになります」(泰嗣さん)。

    好き嫌い、得意不得意ではなく、夫婦でお互いに必要な情報と目的を共有することが、ケンカすることなく上手に家計管理をするコツといえそうです。

    <取材協力>

    平野泰嗣さん

    FPオフィス「Life&Financial Clinic」主宰、ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者)。行政書士、キャリア・コンサルタントなど各種資格も保有。自分らしく生きるためのお金の使い方をアドバイスしてくれる。

    平野直子さん

    FPオフィス「Life&Financial Clinic」主宰、ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者)。銀行勤務などを経てFP資格取得。理想のワークライフ&マネーバランスを実現するためのアドバイスに定評がある。

    文:鈴木弥生

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