子どもが大人からもらうお金。本人の気持ちも大事にしながら、上手に管理する方法とは?
今の子どもたちは、大人からお金をもらう機会が多いものです。お年玉はもちろんのこと、入園や卒業、誕生日などのイベントごとに、祖父母や親戚から多くのお祝いが渡される子も少なくありません。親としては、いただいたお金をこれから必要になる教育費にも活用したいと考えるかもしれませんが、子どもにとっては大切な「自分のお金」です。自分が欲しかったおもちゃや服を買いたいと思うのも当たり前。
では、子どもがもらったお金は、一体どのように扱えばよいのでしょうか。
子どもがもらったお金、親が預かるときの大事なルールとは
小学校に入る前なら、親が「預かっておくね」と言うだけで、子どもも何も思わず渡してくれるかもしれません。しかしどんなに小さくても、もらったのは子ども本人ですから、理由も説明せずに預かってしまうのはよくありませんね。お金の大切さを伝えるためのポイントと合わせて、どのように対応したらいいかをお伝えします。
<子どもがお金をもらったら……>
・いただいた相手に対して、本人からきちんとお礼を言わせる(赤ちゃんの場合でも、ママが手をとって一緒にお礼を言うといいですね)
・何のお祝いでいただいたのかを教えてあげる
・こうしたお金を預かる場合は、「子ども自身のやりたいことを叶えるために使う」ことを約束して預かる
・3歳くらいになると子どもとコミュニケーションがとりやすくなるため、いただいたお金の一部で、子どもが欲しいと思っているモノを親子で買いに行き、残りについては子ども名義の銀行口座を作り、一緒にATMから入金する
預かるときは、どんなに子どもが小さくても、本人のことにしか使わない約束をすることが大切。このときに「本人の教育費もそれに含まれる」ことは一緒に話しておきましょう。また子ども名義の口座を作ってあげると「自分の口座」という意識が高まり、お金を大切にしようと考えるようになります。
一方、親にとってはお金を子ども名義の口座に入れ、「本人のためにしか使わない」と伝えることで、勝手に手をつけてしまう誘惑から逃れ、管理しやすくなるというメリットもあります。
ただ、小学生も高学年くらいになると「自分がもらったお金は教育費ではなく、自分の好きなことをするために使いたい!」といった意見をいう子もいるかもしれません。しかし、教育費だって子どもの夢を叶えるためのお金。学校で必要になるお金や、塾代、習い事代などでかかる金額の概算を教え、いただいたお金の一部を活用することで、子ども自身の人生の選択肢が広がることを伝えてみましょう。
我が家では、いただいたお金の一部は学校にかかるお金以外にも、子ども自身がやりたいこと(部活動での活動費、洋服の購入、将来留学するための費用、学校以外で学びたいことが出てきたときなど)のために貯めているよ、と説明しています。
中学生くらいになったら、その口座とは別に、子どもが自由に使える銀行口座を作って、本人に管理させるとさらにいいでしょう。自分でお金を出し入れして、必要なときにお金が用意できる喜びや、使いすぎて足りなくなった失敗感、悔しさなどを体験することで、やりくりする力が身に付きます。
子どものマネー教育と一緒に、親のマネーセンスも見直して
こうしたとき、子どもには「お金を大切にしなさい」と言いますが、実は子どものマネーセンスは親の日頃の行動にも影響を受けています。小さな頃からママやパパのお金の使い方、扱い方をみて学んでいるのです。子どもが生まれたら、親自身がまずお金を大切に扱うように意識しましょう。
<親自身、見直したい主な行動>
・お金を乱暴に扱わない(例えば小銭をテーブルなどに放り投げたりしない)
・財布をおもちゃ代わりに赤ちゃんに触らせない
・夫婦でお金に関することで口喧嘩をしない
・財布を綺麗に使う
・子どもの前で衝動買いをしない
・家族旅行や子どもの教育費などを計画的に準備しておく
特に、子どものために教育費プランをたてている姿を見せれば、「事前準備の大切さ」や「子どものことを考えている姿勢」を知らせることができます。そして子どもが中学生くらいになったら、どんな高校や大学があるのか、留学はしたいのか、どのくらいかかるものなのか、また、家計からどこまで出してあげられるのかなど、今後の進路やお金についてしっかり話し合いましょう。
もらったお金の運用なら「ジュニアNISA」を活用
もらったお金の一部を子どもが自由に使い、残りを将来のために貯めておくことを本人が了解したら、具体的にどう運用するかを考えていきましょう。すぐに始められそうなのは定期預金ですが、マネー教育の視点からチャレンジしてみたいのが「ジュニアNISA」です。
ジュニアNISAは、ジュニアNISA口座で購入した株や投資信託などで得られる運用益にかかる税金が非課税となるお得な制度。非課税となる投資金額の上限は年間80万円、非課税期間は最長5年間です。利用できる口座名義人は0歳~19歳※1までですが、実際の運用や管理は親権者などが代理で行ないます。さらに預けたお金や運用益は本人が18歳※2になるまで原則として引き出すことができない※3ため、半ば強制的に大学進学などのための教育資金が作れるというわけです。
※1 2023年1月1日より「19歳」と記載の箇所は「17歳」となります。
※2 3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日まで
※3 災害等やむを得ない場合には、非課税での払出しが可能。また、2024年1月1日以降は払出し制限がなくなり、18歳※2に達していなくても払出し(出金・出庫)ができます。
また、マネー教育という意味では、株や投資信託など投資やその背景となる経済社会について実践で学べるという面もあります。「株」であれば、個人も含めた投資家が株を買う⇒企業は投資家から得たその資金を新たな商品やサービスの開発などに活用⇒できた商品やサービスを利用する人が料金を支払う⇒企業は利益の中から従業員に給与を渡す……といった具合に、お金は世の中をグルグル回っています。子どもに投資を教えることを好ましく思わなかったり、早すぎるのではと不安を感じたりする大人もいるかもしれません。しかし、このように社会の動きを支えているお金の流れ、そして株をはじめとする投資の役割は、ぜひ子どものうちから伝えておきたいものです。
そのためにも子ども名義のジュニアNISAの口座を作り、小さい頃は親が選んだ銘柄で、いただいたお金の一部を株式や投資信託などで運用。そして中学生くらいになったら子どもにも投資の仕組みを説明するなど、お金の管理や投資について学ぶ体験をさせてみてはどうでしょうか。
このように子どもがもらったお金をうまく活用すれば、お金の大切さを伝えたり、経済社会の仕組みを勉強させたり、教育資金などの準備につなげたりすることができます。子どもの成長を願って皆さんから贈られたお金ですから、子どもの将来の幸せに役立つ使い方をしたいものですね。
文:ファイナンシャルプランナー 鈴木さや子
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