どうすれば間に合う?子どもの進学資金が足りないとき「今すぐやること」
子どもが中学生や高校生になり大学進学まであと数年というところで、大学資金が足りないと感じたら一体どうすればよいでしょう。まだあと何年かあるのならばいくつも対策を立てられます!いますぐ子どもと一緒に話し合いを開始しましょう。
まずはチェックシートを使って現状と問題点を知ろう
お金の問題を解決するには、現状と問題点を明確にしなければ始まりません。怖いからと見て見ぬふりをしがちですが、問題を先送りにしたら解決への道は遠くなります。子どもと一緒に話しながらチェックシートに埋めてみましょう。
(1)まず今後の進路と費用を知る
今後大学までの希望の進路とおおよそかかる費用を知りましょう。複数の選択肢がある場合は、最もお金がかかるパターンで書き込みます。
(2)今後教育費として出せる金額と、大学資金として貯められる金額を知る
これから貯金をしながら、毎年教育費として家計から出せる金額と、高校3年時に用意できる金額を書き込みます。
(3)不足する時期と金額を知る
大学資金以外にも不足する時期がある場合は、早急に対策を立てないといけません。上のチェックシートの例では、大学2年以降の学費について54万円不足している他、高校においても毎月4万円不足しており、すぐに家計や貯金計画の見直しをしないと、大学資金の貯金がさらに不足してしまいます。
対策その1:支出を減らす方法を検討
進路を再検討する
親としては、子どもの夢は最大限応援したいもの。しかし、だからと言って闇雲に借金したり、貯めてきた老後資金を使い切ることが、子どもにとって嬉しいことではありません。大切なのは、家計状況を子どもとも共有し、いくらまでなら出せるということをハッキリ伝えること。子どもの希望にできる限り応えたいと思っているからこそ、対策を一緒に考えたいのだという姿勢で伝えましょう。
(1)なぜその進路が良いのか理由を書き出す
校風やネームバリューなど学校自体に惹かれている、または部活動や専門分野の勉強など、学校が提供する中身に惹かれている、もしくはどうしてもその地域に行きたい、親友と同じ学校に行きたいからといった理由を書き出します。
(2)その理由を満たせる他の進路はない?
書き出した理由を満たす他の選択肢はないかを検討します。例えば、東京の大学に行きたいという理由であれば、国公立で頑張れば受かりそうな進路はないか。また勉強したい内容が進路選択の理由ならば、近隣の大学で希望する学科がないかなど、支出を減らせる方法を子どもにも検討させましょう。
対策その2:大学資金の貯金を増やす方法を子どもと検討
家計の見直し
貯金を増やすには、まずお金の使い方を見直し、ムダを削減することから始めましょう。
(1)通信費・保険料を減らす…すぐに着手できて効果が高いのが通信費。家族全員格安スマホにするだけで、月数千円の節約が可能なことも。また長年見直していない死亡保険はありませんか? 子どもの成長とともに必要保障額は減るため保険料を減らせる可能性も。なんとなく入っていた保険も本当に必要かチェックしましょう。
(2)子ども関連のお金の使い道を見直す…必要以上にモノを買ってあげていると感じたら、子どもと話し合い、親が買ってあげる頻度を減らすか、本人の小遣いをアップして必要な物を買うよう自己管理させるのも手。また子ども自身にも無駄遣いが多くないかをチェックさせ、減らせた分は「教育資金のため」として貯金にそっくり回しましょう。
運用の力を借りる
子どもが中学に入学したばかりなど、大学入学の費用が必要な時期まで少し時間があるなら、運用の力を借りることも一つの選択肢。その場合は19歳以下の人が口座開設できる(※)少額投資非課税制度「ジュニアNISA」も検討してはどうでしょうか。この口座の運用・管理は親権者等が代理となって行ないますが、年間投資上限額の80万円までは売却益、配当、分配金にかかる税金が非課税(5年間/継続管理勘定に移し替えれば20歳まで非課税で保有可能)。一般的な証券取引口座では20%超の税金を納めるため、非課税である点が大きなメリットです。しかし元本は保証されておらず減るリスクもあるため、大学資金形成の手段の一部として利用することが大切です。
(※)口座を開設する年の1月1日時点で19歳以下の人が対象で、開設できるのは2023年まで。そのほか非課税となる投資対象が決まっている、払出しは本人が18歳になってから、などの条件があります。2024年1月1日以降は払出し制限がなくなり、18歳に達していなくても払出し(出金・出庫)ができます。また、2023年1月1日より「20歳」と記載の箇所は「18歳」、「19歳」と記載の箇所は「17歳」となります。
対策その3:お金をもらう・借りる方法を親子で調べる
支出を減らす・貯金を増やす対策をしても不足する可能性がある場合は、今のうちからお金をもらう、または借りる方法を親子で調べておきましょう。
給付型奨学金~お金をもらう~
国公立・私立問わず多くの大学で給付型奨学金が用意されているため、候補の大学の制度は早めにチェックを。自治体のほか、財団法人などの団体でも、主に経済的状況の厳しい家庭などの条件で交付する給付型奨学金を設けています。
また国からも、住民税非課税の世帯など一定の条件のもとで月2万~4万円の給付型奨学金を交付する見込みです(平成29年度予算成立した場合)。
貸与型奨学金~お金を借りる~
代表例といえる日本学生支援機構の奨学金には、無利息の第一種と利息がつく第二種があります。どちらも所得要件・成績要件がありますが、第一種は高校2~3年の成績が3.5以上など、第二種よりも選考は厳しくなります(住民税非課税の場合、平成29年より学力基準は撤廃)。また受験前から高校などを通じて申込できる「予約採用」で進学前に奨学金の貸与が決まれば、安心して受験に臨めるでしょう。
ただし、返済義務は子どもが負うため安易な利用は厳禁。例えば第二種奨学金を月8万円、4年間借りた場合は総額384万円となり、この場合は子どもが働き始めてから20年間、毎月2万円超の返済が必要です(金利3%として日本学生支援機構の奨学金貸与・返還シミュレーションで試算)。結婚や出産、車や家の購入などライフイベントが続く中での返済について、子ども自身が理解、納得、覚悟した上での利用が大切です。
教育ローン
奨学金は入学後しか受け取れないので、入学金など入学前に必要になるお金が足りない場合は、教育ローンを利用します。奨学金と異なり教育ローンを借りるのは親となり、借りた翌月から返済がスタートします。所得要件はあるものの利率が低い代表的な教育ローンが、日本政策支援機構の「国の教育ローン」。入学金だけでなく、受験費用や住居代など、子ども一人について350万円(海外留学の場合は450万円)まで借りられますが、審査に時間がかかるため、合格後慌てて申し込むのは避けた方がよいでしょう。奨学金との併用も可能です。
限られた時間の中で大学進学の資金を作るには、家族一丸となった協力が大切。お金の使い方を見直して少しでも貯金を増やすと同時に、親子とも大学や奨学金制度など色々な情報にアンテナを張り、少しでも支出を抑えられる方法を考え、対策をたてましょう。
文:ファイナンシャルプランナー 鈴木さや子
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